DeNAと引き分け、優勝マジック9が点灯し、スタンドに向かって頭を下げる阿部監督(左)

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 「巨人2−2DeNA」(18日、東京ドーム)

 4時間23分の激戦を終えた試合後、巨人・阿部監督はフーッと息を吐いた。今季18度目の延長戦。勝ち切ることはできなかったが、八回には執念の攻撃で同点に追いついた。強攻策にバント、エンドランと動き、攻めた。負けない野球で価値ある執念ドロー。ついに優勝マジック「9」が点灯した。

 八回、勝ち越しを許した直後の攻撃だ。互いに譲れぬ大一番。ウェンデルケンの制球が定まらず、先頭の岡本和が四球で歩いた。ここで阿部監督が「5番目のバッター」と言う浅野。セオリーなら犠打のサインで得点圏に走者を進める場面。だが、指揮官は動かなかった。強攻策。19歳は期待に応え左前打でつないだ。

 続く無死一、二塁では、オコエがきっちりと犠打を決めた。二、三塁でバットを短く持った岸田が一、二塁間に転がすと、ギャンブルスタートの三走・岡本和はヘッドスライディングで生還。阿部監督の采配が次々にハマり、土壇場で同点に追いついた。初回には丸が今季3本目、通算13本目の先頭打者アーチ。投打で若手、中堅、ベテランと一丸野球が浸透する。

 同点に追いついた後は大勢、泉、平内、高梨と、今季を象徴する自慢の投手陣でリードを許さなかった。試合後の阿部監督は、取材対応なく無言で帰路に就いた。マジックが点灯した一方、阪神との差は1・5差に縮まった。以前から「優勝する時って苦しむんですよ」と話す指揮官。残り11試合。歓喜のセプテンバーまで気を緩めない。