ミャンマー、軍政の市民殺害・拘束が深刻化=国連報告書

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Emma Farge Cecile Mantovani

[ジュネーブ 17日 ロイター] - 国連のターク人権高等弁務官は17日、ミャンマーの人権状況に関する調査報告書を公表した。2021年2月のクーデター以降、軍事政権が抵抗勢力を抑え込み、徴兵制の実施を強行する中で2万7000人強の市民を拘束し、5000人以上を殺害したと指摘した。

ミャンマーではクーデター直後の抗議活動が武装闘争に発展し、各地で内戦状態が続いている。軍政は今年2月に徴兵制実施を発表した。

報告書によると、クーデター以降、5350人の市民が国軍に殺害された。調査官は現地への立ち入りが認められていないため、報告書は数百人の被害者や目撃者との遠隔インタビューに基づく部分もある。

このうち今回の調査期間である2023年4月から24年6月までに2414人が死亡。空爆や砲撃による死者は前回の調査期間比で50%増えた。

報告書によるとまた、クーデター以降、2万7400人近くが拘束された。今回の調査期間は9000人強に上った。拘束者の多くは軍事訓練施設に収容されているとみられる。

拘束者に対する虐待や拷問の実態も明らかにした。食料や水を与えられず天井から吊るされたり、蛇や昆虫で恐怖を与える、竹の棒や鎖で殴打するといった事例が報告されているとした。

国連人権高等弁務官事務所のリズ・スロッセル報道官は記者会見で、クーデター以降、88人の子どもを含む少なくとも1853人が拘束中に死亡したと述べた。