そもそも、推薦入試の目的は、一般入試とは異なる観点から学生を吟味し、より多様性のある大学を目指すこと。より多くの属性が入り混じった大学になることは、東京大学側の悲願でもあり、少なくとも「首都圏出身・ミドルアッパー・お受験組」ばかりの現状よりは望ましいものといえるはず。

 また、推薦入試で入学したある男性は「同じ推薦生として、もし悠仁さまがご入学されたら、交友を深めたい」と前向きです。

◆「東大進学反対」は多数派の意見ではない

 国中を巻き込んだ進路問題。お立場上、「自分の意志で自由にキャリアを作る」のは難しいかもしれませんが、本来はそうあるべきでしょう。というより、他人のキャリア形成について周囲を巻き込んで大騒ぎする残念な大人たちについて、残念だと思わされた一件でした。

「赤門ネットワーク」の方々が、現在の東大と入試制度について何も知らないことは明らか。結果的に無知をさらけだしました。それどころか「自分が東大で審査に関わるなら、間違いなく忖度する」と自白しているようなものです。

 もし彼らが大学教員であるなら、入試現場には一切かかわらないでほしい。

 確かに、署名は12,000人を超えました。ですが、これは日本の総人口の0.01%にすぎません。「東大進学反対」は、少なくとも多数派の意見ではなさそうです。

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)