日本代表で「最も伸びている1人」 OB絶賛した森保J成長の要因…中国戦出場16選手採点
【専門家の目|金田喜稔】進境著しい町田「日本代表の成長にも寄与している」
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング18位)は9月5日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の初戦で中国(同87位)と対戦し、大量7ゴールで初陣を飾った。
「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した日本代表の16選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。
◇ ◇ ◇
<GK>
■鈴木彩艶(パルマ/イタリア)=★★★★☆
無失点で終えたのは素晴らしい結果。ピンチらしいピンチはなかった一方、ストロングポイントを見せるような場面も限られた。
<DF>
■谷口彰悟(シント=トロイデン/ベルギー)=★★★★☆
板倉や町田との連係が良く、相変わらずの安定感。最終ラインの上げ下げを細かく調整し、中国に全くと言っていいほど付け入る隙を与えなかった。
■板倉 滉(ボルシアMG/ドイツ)=★★★★☆
OUT→後半26分
競り合いで強さを見せつけただけでなく、攻撃陣を生かす的確なパスを通してサポート。中国にカウンターの余地を与えず、無失点に大きく貢献した。
■高井幸大(川崎フロンターレ)=★★★★☆
IN←後半26分
上々の代表デビュー戦。相手のプレスをなんなくいなし、危機を察知した際には素早い出足でピンチの芽を摘んだ。常にインターセプトを狙いながらポジションも的確で、与えられたタスクをこなしていた。まだ20歳。次世代のDFとして期待した。
■町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ/ベルギー)=★★★★★
相手を欺くような身体の向きを作りながら絶妙なフィードを前線に送り、攻撃の起点としても機能していた。今、日本代表で最も伸びている選手の1人。彼の成長により3バックを迷うことなく採用できるようになったし、日本代表の成長にも寄与している。
三笘は「ずば抜けている」、伊東に「『おかえり!』と声をかけたい」
<MF>
■守田英正(スポルティング/ポルトガル)=★★★★☆
高い位置で顔を出しながら攻撃をサポートし、時にはゴール前にも侵入。遠藤との役割分担も整理されており、中盤を見事に支配した。遠藤交代後は中盤のバランサー役を担い、終盤のゴールを援護していた。
■遠藤 航(リバプール/イングランド)=★★★★★
OUT→後半26分
大量7得点を支えた中盤のコンダクター。何より序盤の先制点は大きかったし、攻撃から守備への切り替えスピードも圧巻。相手の攻撃が始まりそうな起点はことごとく潰しており、攻撃陣を伸び伸びプレーさせていた。
■田中 碧(リーズ/イングランド)=★★★★☆
IN←後半26分
もっと攻撃面で自由に動きたかっただろうが、バランスを崩すような無理はせず、周囲の動きに合わせて的確なプレーを選択。攻撃に厚みを加え、終盤のゴールラッシュを支えていた。
■三笘 薫(ブライトン/イングランド)=★★★★★
OUT→後半18分
なかなか追加点が奪えない時間帯のなか、前半終了間際に決めたヘディング弾が大量ゴールを導いた。アシストをマークし、ゴールも決めただけでなく、ボールを持てば相手を数人引き付けるなど存在感が際立った。仕掛けだけでなく、味方を生かす技術と視野の広さもずば抜けている。
■伊東純也(スタッド・ランス/フランス)=★★★★★
IN←後半18分
代表復帰戦でゴールとアシストは、さすがの一言。サポーターやチームメイトが温かく迎え入れ、それに応えるように限られた時間のなかで結果を残した。申し分のない働きで最高評価を与えたいし、まずは「おかえり!」と声をかけたい。
■堂安 律(フライブルク/ドイツ)=★★★★☆
OUT→後半18分
三笘へのクロスは一級品。文字どおりのピンポイントパスで、あそこしかないというキックは芸術的だった。久保との連係が光った一方、右サイドから崩すバリエーションはまだまだ増やせそう。
南野に感じた「凄み」 久保が「トドメの一撃でファンを…」
<MF>
■前田大然(セルティック/スコットランド)=★★★★☆
IN←後半18分
相手を狩るように爆発的なスピードで寄せたプレスバックは、これぞ前田の真骨頂というプレー。伊東のクロスに合わせて奪ったゴールは、決して簡単なものではない。前田でなければ追い付かなかった可能性もあり、シュートも高難度だった。
■南野拓実(ASモナコ/フランス)=★★★★★
圧巻の2ゴール。やはり中央付近でプレーすると輝く。動き回る久保に応じて、上手く隙間のスペースを突いて脅威を与えていた。常に足を止めずに駆け引きし、ゴールやスペースを狙い続けていた。改めて、中央でプレーする時の南野に凄みを感じた。
■久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)=★★★★★
縦横無尽に動きながらプレーに多く絡み、攻撃を上手くコントロール。コーナーキック(CK)のピンポイントキックでアシストしただけでなく、トドメの一撃でファンをスカッとさせた。多少のミスはあったにせよ、積極的に仕掛ける姿勢やスペースを使う意識が光った。
<FW>
■上田綺世(フェイエノールト/オランダ)=★★★★☆
OUT→後半35分
足もとにボールが収まり切らない場面があり、ダイアゴナルランの質は課題。それでも身体を張ったポストプレーで良さを見せつけ、南野のゴールを見事にお膳立て。ゴールを決めていれば、ストライカーとしてより怖さを与えられていたか。
■小川航基(NEC/オランダ)=★★★★☆
IN←後半35分
終盤のチャンスは決めたかったが、得意の形で良さを見せた。高さを生かせるヘディングの強さと自分の形を持っている。結果を残せればスタメン奪取の可能性は十分。上田としのぎを削りながら切磋琢磨を続けてほしい。(金田喜稔 / Nobutoshi Kaneda)