Appleはアプリ内に「アプリ開発者が独自に用意した課金プラン販売ページへのリンク」を挿入することを一部の国で認めていますが、挿入するリンクには「パラメーターの付与禁止」などの制限が存在していました。しかし、欧州委員会がAppleに対してデジタル市場法(DMA)に違反しているとの訴訟を提起したことを受け、AppleはEU圏内でアプリ内での外部購入リンクの挿入に関する制限を撤廃しました。

Updates to the StoreKit External Purchase Link Entitlement - Latest News - Apple Developer

https://developer.apple.com/news/?id=szrqxadx



Apple announces new fee structure for apps in the EU that link out to the web for purchases - 9to5Mac

https://9to5mac.com/2024/08/08/apple-app-store-eu-link-out-changes/

Spotify and Epic Games call Apple's revised DMA compliance plan 'confusing,' 'illegal' and 'unacceptable' | TechCrunch

https://techcrunch.com/2024/08/08/spotify-and-epic-games-call-apples-revised-dma-compliance-plan-confusing-illegal-and-unacceptable/

EUでは、Apple製品向けアプリの開発者がアプリ内に外部リンクを挿入して「より安価な課金手段」をユーザーに通知できます。しかし、Appleは、外部購入リンクにユーザーを識別するためのパラメーターを含むリンク、リダイレクト、およびランディングページへの中間リンクを認めていませんでした。

そのため、欧州委員会はAppleのこの規則に対して「アプリ開発者に対し、料金を課すことなくユーザーをApp Store以外のサービスに誘導することを認める義務を順守していない」との見解を示し、最大380億ドル(約5兆5900億円)に上る制裁金が科される可能性のある訴訟を提起しました。

AppleがEUのデジタル市場法違反で初の訴訟を提起され違反が認められれば最大6兆円の制裁金を課される可能性 - GIGAZINE



この裁定を受けてAppleは2024年8月8日に、外部購入リンクに関する制限を削除しました。この結果、パラメーターが広告やユーザープロファイリングに使用されない限り、開発者は外部購入リンクに対してパラメータを挿入することが可能になりました。

さらにAppleは外部購入に対して手数料を課す「Core Technology Fee(CTF:コアテクノロジー料)」に代わる新たな料金体系を導入することを発表しました。

Appleはウェブページにリンクするアプリに対して「初期取得手数料」と「ストアサービス料」という2種類の料金システムを導入。「初期取得手数料」はユーザーが外部購入リンク挿入の資格を持つアプリをダウンロード後、最初の12カ月間に適用されます。



また、「ストアサービス料」はデジタル商品やサービスの販売に対する手数料で、アプリのインストールや更新、再インストールの日から12カ月間徴収されます。つまり、アプリを定期的に更新している開発者はストアサービス料を半永久的に徴収され続けるというわけです。

具体的な料金は、EUの代替ビジネス条件に基づいて運用している場合、初期取得手数料は5%、ストアサービス手数料は10%です。また、App Store内で標準のビジネス条件に基づいてアプリを提供する場合の初期手数料は5%、ストアサービス手数料は20%です。

この料金システムに対して、Spotifyは「Appleは最大25%もの手数料を要求しており、DMAの基本要件を露骨に無視しています。私たちは、欧州委員会に対してAppleへの調査を早期に実施し、DMA違反による制裁金の徴収を求めます」と批判しました。



また、長年Appleと法廷闘争を繰り広げているEpic Gamesのティム・スウィーニーCEOは「Appleは競合するストアに移動するユーザーに違法な手数料を新たに課しており、悪意のあるコンプライアンスを続けています」と非難しています。