幹細胞移植を受けたドイツ人のHIV患者に6年間症状が現れなかったことから、「幹細胞移植を受けてHIVから実質的に治癒した7人目の患者となる可能性が高い」と医師らが発表しました。

Seventh person likely 'cured' of HIV, doctors announce

https://www.rfi.fr/en/international-news/20240718-seventh-person-likely-cured-of-hiv-doctors-announce



研究要旨によると、今回長期寛解が確認されたドイツ人男性は2009年に初めてHIVと診断され、2015年に白血病のため骨髄移植を受け、その後2018年に血液中のHIVの量を減らす抗レトロウイルス薬の服用を中止したとのこと。それから6年近くが経過し、HIVもがんも発症していないことから、長期寛解に達したと認められました。

この患者を治療したシャリテ大学病院のクリスチャン・ゲーブラー医師は、「HIVの最後の痕跡まで根絶されたと絶対的に確信することはできません。ただし、この患者のケースはHIVの治癒を強く示唆するものです」と述べました。



国際エイズ学会のシャロン・ルーイン会長は「今回のような症例をどれくらいの期間追跡調査する必要があるのかが明らかではないため、研究者たちは『治癒』という言葉を使うのをためらいます。しかし、5年以上の寛解は、この男性が『治癒に近い』状態にあることを意味します」と語っています。

ルーイン氏によると、今回の男性のケースと長期寛解に達した他のHIV患者との間には重要な違いがあるといいます。話によると、他の患者のうち1人を除いては、HIVが体内の細胞に侵入するのを阻止する珍しい突然変異を持つドナーから幹細胞を受け取っていたそうです。

こうしたドナーはすべて「CCR5遺伝子」の一部が欠損していることが確認されていました。ドナーは変異したCCR5遺伝子のコピーを2つ(両親から1つずつ)受け継いでおり、ルーイン氏いわく「HIVに対する本質的な免疫を持っていた」とのことです。

しかし、今回の患者は、突然変異遺伝子を1つしか受け継いでいないドナーから幹細胞をもらった初めての例だといいます。



ヨーロッパ出身者のうち変異したCCR5遺伝子を2つ受け継いでいる人は1%ですが、1つだけ受け継いでいる人は15%もいるとされており、研究者たちは「将来、より多くのドナーが受け入れられる可能性があることを示しています」と話しています。