写真コンテスト「1839 Awards」が「AIで生成した画像を審査対象とする部門」を用意した結果、AI生成画像と偽って投稿された「人間が撮影した本物の写真」が入賞してしまう事態が発生しました。

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Real photo wins AI image competition

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1839 Awardsはプロとアマチュアによる写真の投稿を受けつける写真コンテストで、最優秀賞の受賞者には3000ドル(約47万円)の賞金が用意されていたほか、部門別の入賞者にも国際的なメディアへの露出やギャラリーでの展示が約束されていました。

1839 Awardsでは「動物の写真」「自然の写真」「航空写真」「ヌード写真」「建築写真」など多様な部門が用意されており、中には「AIで生成した画像」を審査対象とする部門も設置されていました。写真家のマイルズ・アストレイ氏は、1839 AwardsのAI生成画像部門に「カメラで撮影した本物の写真」を投稿。その結果、審査員による銅賞と一般参加者による投票賞をダブル受賞することとなりました。

アストレイ氏が1839 Awardsに投稿した写真が以下。まるで脳みそに脚が生えたような不思議な画像ですが、これはカメラで「おなかをかくフラミンゴ」を撮影したもので、AI画像ではなく本物の写真です。



アストレイ氏は写真を投稿した後、X(旧Twitter)やInstagramで投票を呼びかけました。





審査の結果、アストレイ氏が投稿した写真は銅賞を受賞。さらに、投票賞も受賞しました。



受賞が決定した後、アストレイ氏は主催者に対して作品がAI生成画像ではないことを告白。その結果、アストレイ氏の受賞は撤回され、ほかの作品が銅賞と投票賞を繰り上がりで受賞することとなりました。



写真コンテストとAI生成画像を巡っては、2023年にソニーが支援する写真コンテスト「ソニーワールドフォトグラフィーアワード(SWPA)」でAI生成画像がクリエイティブ部門の総合優勝作品に選ばれる事態が発生しており、アストレイ氏はAI生成画像が人間の作品と並んで評価された状況を憂慮していたとのこと。アストレイ氏は自身の写真がAI生成画像部門で賞を獲得したことを受けて「人間が創造するコンテンツの妥当性は失われていないこと、母なる自然の解釈者たる人間が機械を打ち負かせること、創造性や感情が単なる数字の羅列ではないことを証明できました」と述べています。

画像生成AIで作った画像が写真コンテストで優勝、制作者は「AI画像は写真ではない」と述べ賞を辞退 - GIGAZINE



なお、アストレイ氏は賞の撤回を不満に感じておらず、主催者の決定を全面的に支持しているとのこと。また、アストレイ氏は賞の撤回の後に1839 Awardsの共同創業者であるリリー・フィアマン氏から「(アストレイ氏の作品がAI生成画像部門で賞を獲得したことで)AIの影響を懸念する多くの写真家に希望のメッセージがもたらされることを願っています」というメッセージを受け取ったそうです。