ホンダに限らず国産メーカーの多くは、EVのコストパフォーマンスにおいてBYDといった中国メーカーに勝てる隙はほとんどありません。自社でバッテリーを作っているためにコストや技術力で優位性があり、現地の文化を知り尽くしているうえ、海外のメーカーが長年かけて構築した自動車のブランド力がほとんど脅威にならないためです。

 中国で苦戦しているのは日産も同じ。ただ、日産は北米が好調で7.2%の増収を予想しています。日産のように過度な中国依存からの脱却を図らなければ、ホンダの苦戦は続くかもしれません。

◆高単価のSUVがアメリカで人気となったマツダ

 6大自動車メーカーのなかで、唯一2桁増収見込み。営業利益も7.7%増と、最も増益率が高い予想を出しているのが、マツダです。2021年3月期には売上高が3兆円を下回り、売上規模が近いスズキに大きく水をあけられていました。

 しかし、2025年3月期は売上高を5兆3500億円と予想しており、回復が鮮明になっています。

 好調なのが北米。2024年3月期の販売台数は51万4000台で、前期から10万7000台も積み上げました。3割近い増加です。今期は更に8万6000台プラスして、2割の増加を見込んでいます。

 ラージ商品と呼ばれるSUVタイプの「MAZDA CX-50」「MAZDA CX-60」「MAZDA CX-70」「MAZDA CX-80」が好調。「MAZDA CX-50」はハイブリッドモデルを投入したことで新たな需要を獲得しました。

 マツダはアメリカの販売拠点のリニューアルも行っており、2024年3月末時点で300店舗以上の転換を行っています。2024年3月期の新型店舗の1店舗当たりの平均販売台数は、前期比12.2%増の826台となりました。2025年3月期は900台以上を見込んでいます。

 円安効果が切れた今期は、自動車メーカーの実力が問われる局面となりました。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界