この記事をまとめると

クルマが劇的に進化したと思える装備類を5つ紹介

■いまでは当たり前のように使用しているが登場した当時は画期的なものだった

■どれも利用者の使い勝手の向上につながっている

鍵を差し込んで捻る……なんて動作も過去のもの

 携帯電話が登場して私たちの暮らしが劇的に変わったように、クルマにもまた、ビフォーアフターと呼べるほど、クルマの使い方を変えた革新的な技術が存在します。その代表的なものをピックアップしてみました。

 ひとつめは、便利になっただけでなく、クルマのキーというものの使い方さえ変えてしまった、「プッシュスタートボタン」です。昔はステアリングコラムのキーシリンダーにキーを差し込み、ぐるっと回すことでエンジンを始動させていましたが、プッシュスタートボタンが登場してからは、キーを手にもつ必要さえなくなってしまいました。

 登場したばかりのころは、なぜかキーをインパネなどの穴に差し込むようになっていて、そのあとにボタンを押す操作となっていたクルマや、キーは差し込まなくてもいいけど、ツマミを指でつかんで回す操作が必要なものなど、不思議なクルマもあったものですが、過渡期を過ぎればボタンを押すというシンプルな操作に落ち着きましたね。

 ふたつめは、聞くところによると日本人ユーザーの声によって欧米のクルマにも広がっていったという、折りたたみ式サイドミラー。固定式のサイドミラーのころは、壁際いっぱいに寄せて駐車する際にガガガとサイドミラーを擦ってしまって泣いたり、狭い駐車場では歩行者が歩く幅が狭くて気を遣うなど、日本の道路事情、駐車場事情では、けっこう不便なことが多かったんですよね。

 突起物なので、駐車している間にぶつけられてサイドミラーだけ折れていた、なんてことも多かったようです。初期のころは、運転席から手が届きにくい助手席側のミラーだけ電動で折りたためて、運転席側は手動で折りたたむようになっていたクルマもありました。

燃費がひと目でわかる……なんて当たり前じゃなかった!

 3つめは、いまではキーレススタートシステムとセットで使えるようになっているものが一般的ですが、集中ドアロックが登場した時は一気に便利になったものでした。信じられないかもしれませんが、ほんの30年くらい前までは、まずキーで運転席のドアを開けて、ドライバーが乗り込んだあとに、助手席のドアロックを内側から解除して、助手席の人が乗るという面倒な手順を踏んでいたのです。後席も同様です。

 これだと、うっかりして助手席のドアロックを忘れて運転席のドアだけロックしていた、なんて不用心なことになりがちでした。今なら、運転席か助手席のドアノブを触ったり、キーを持っている人がドアに近づくだけで全ドアのロックがガシャッと解錠できるので、乗り降りの時間短縮になります。でも登場した当初は、「誰も乗らないドアのロックまで解除されてしまうのはいかがなものか」なんて異論を唱える人がいたり、防犯上よくないという意見があったりしたものです。

 4つめは、まだ一部のメーカーでは採用されていませんが、車線変更などサッと済む時に、指で軽くウインカーレバーを弾くと4〜5回だけ点灯して勝手に消えてくれる、便利なワンタッチウインカー。高速道路など、頻繁にウインカー操作をする必要がある時には、いちいちウインカーを点灯する操作と、消す操作を繰り返さなくてもいいので、疲労軽減やつけっぱなし防止にもつながります。

 でも初期の頃は、ウインカーを軽く弾いたつもりが通常の点灯になってしまったり、戻そうとしたら点灯してしまったりと、その操作感の度合いがメーカーによってマチマチで、相性が悪いと操作しにくく感じたりしたものでした。安全上の理由や、初心者には操作しにくいといった理由で採用を見送ったり、一度は採用したけどやめてしまったメーカーもありますが、慣れればとてもラクで使いやすいものではないでしょうか。

 5つめは、細かいところですがメーター内などに表示される「燃費計」。これはハイブリッドカーなどエコカーと呼ばれるモデルがスタンダードとなり、多くのユーザーが燃費を気にするようになった今、もはや欠かせないものとなっていますが、昔は燃費を計算する術といったら、いわゆる満タン法。ガソリンを満タンにしてから走り出し、ある程度走行したら再びガソリンを満タンまで入れて、入った分のガソリンの量とそこまでの走行距離で計算して、燃費を測る方法です。

 これだと、クルマやガソリンの温度や地面の水平、空気の混入具合などによって、最初に満タンにした時と走行後に満タンにした時の状態が必ずしも同じとは限らないため、誤差が大きくなる可能性もありました。だいたいの燃費を知るには十分ですが、手間がかかるので、毎回やるのはちょっと大変。今は瞬間燃費までわかるようになって、手軽にエコドライブの指標が得られるようになったと思います。

 ということで、クルマを変え、私たちの意識も変えた革新的技術たち。今後はどんな技術が生まれ、何が変わっていくのか楽しみですね。