Androidスマートフォンには、高解像度の写真の共有や既読通知、エンドツーエンドの暗号化などさまざまな機能を備えたメッセージング規格「リッチコミュニケーションサービス(RCS)」が提供されており、2024年からはiPhoneもRCSに対応することが決まっています。Googleが、端末の管理者権限を取得するroot化を行っているAndroidスマートフォンをRCSからブロックしていることが判明しました。

Google Messages is blocking rooted Android users from using RCS - The Verge

https://www.theverge.com/2024/3/1/24087418/google-messages-blocking-rcs-on-rooted-android-devices

Googleがroot化した端末でのRCSを制限していることが判明したきっかけは、あるユーザーが2023年11月に「突然RCSメッセージが送れなくなってしまいました」と掲示板型ソーシャルニュースサイト・Redditに書き込んだことでした。

実際にRCSでのチャットがブロックされている模様は、以下のムービーで見ることができます。



まず、テストメッセージを送信します。



すると、メッセージが送られたように見えました。



ところが、次の瞬間には送ったメッセージが消えてしまいました。この後何通かメッセージを送ろうと試みていますが、いずれも同様の結果でした。



同様の問題がGoogleメッセージのサポートページやフォーラムなどにも複数投稿されており、いずれのケースもroot化された端末で発生していました。

root化された端末のRCS利用をブロックしているのかというメディアの問い合わせに対し、Googleのコミュニケーションマネージャーであるアイビー・ハント氏は、「Googleメッセージでのスパムや不正利用防止のため、メッセージの送信端末がRCS規格で定義された運用方法に従っていることを確認しています」と述べて、ブロックしていることを認めました。

RCSはセキュリティが強化された規格ですが、スパムのまん延といった課題を抱えており、Googleは2022年にインドでのRCS提供をシャットダウンすることを余儀なくされたことがあります。

Googleが「メッセージ」のRCS機能をインド限定で完全シャットダウン - GIGAZINE



同様に、セキュリティ上の懸念からGoogle PayやGoogleウォレットなどの支払いアプリは、デバイスがroot化されていることを検知すると動作を停止するようになっていますが、こうしたケースではサポートされていないデバイスであると説明する警告メッセージが表示されるとのこと。しかし、今回のRCSのブロックではそのような警告メッセージが表示されたという報告はありません。

なお、RCSのブロックは完全性判定の結果を元に不正を検出するPlay Integrity APIで行われていると指摘されており、最初にブロックの問題を投稿したRedditユーザーは、Play Integrity APIを回避することでひとまず問題は解決できたと報告しています。

ハント氏は「GoogleはAndroidユーザーが十分な通信を行えるよう、多くのソリューションを組み合わせて提供しており、1つの通信プロトコルにアクセスできないデバイスでも、常に別の通信プロトコルを利用できるようにしています。この場合、RCSを使えないユーザーはSMSやMMSにアクセスすることが可能です」と述べました。