(※写真はイメージです/PIXTA)

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買いやすい価格につられて「ワンルームマンション」や「空き家」を不動産投資の最初の一歩として購入するサラリーマンは少なくありません。実際には、多額の赤字を出してしまうケースが多いのが現状だといいます。不動産投資歴15年、家賃収入3億円超えの実績を誇る名取幸二氏と、一般社団法人マネー総合研究所所長の杉田卓哉氏の共著『不動産投資 絶対にやってはいけない39の落とし穴』より、その要因についてみていきましょう。

危険だらけのワンルームマンション投資

少額の自己資金で購入できることから「ワンルームマンション投資はお手頃!」というプラスのイメージもありますが、それはあくまで表向きです。第1章で解説したとおり、新築区分マンション投資(ワンルーム投資)は非常に危険で、投資対象としてはオススメできません。

実際には投資家にとってさまざまな問題が潜んでいる可能性があります。最近は価格が高騰し、それに伴ってローン年数をむりやり延ばしている人が増えています。

そうすることで利益が出るように見せかける、または「毎月たった1万円の赤字」を負担すれば購入できるように見せかけています。

ネットニュースや動画などで、「不動産投資は危険!」「不動産投資は儲からない!」など、不動産投資に対してマイナスの印象があるのは、このワンルーム投資が大きく影響しています。

実際には、数百万の赤字を出して「損切り」になることが多い

もちろん、ワンルームのすべてが悪いわけではありません。高く買わされてしまうことがよくないのです。

儲からない新築ワンルームを買ってしまった末路といえば、傷の浅い人でも残債と同じ価格(借金がゼロになる売価)での売却がせいぜいです。

しかし、多くの人は買った値段より下げなければ売れず、売却しても借金が残ります。そこで数百万円の持ち出しをして売却をすることになります。これは完全に損切りです。

もっと厳しいケースだと借金が払えなくなって破綻するケースもあります。なかには家族にナイショで物件購入をして、大きな借金を背負って払えなくなる事態となり、家族に愛想をつかされて離婚、一家離散……という最悪な状況に陥ることもあります。

不動産投資家と交流し、有益な情報を得る

そうならないためには十分な情報収集を行うこと。投資はリスク管理や物件選びのスキルが大きなポイントです。投資家自身の経験やスキルを向上させる努力が必要ですし、専門家のアドバイスを受けることも有効です。

不動産投資家との交流も有効です。不動産投資家が集まる交流会やセミナーに参加したり、不動産投資家向けのコミュニティに参加したりすることで、投資に関する情報やノウハウを得られます。

また、不動産投資家との交流を通じて、自分自身の投資に対する考え方を深めたり、モチベーションを高めたりできます。

「ボロ戸建て投資」も同様に、危険な“落とし穴”が…

戸建て投資とは、安く販売されている空き家を購入して、なるべく低コストでリフォームして貸家として運用する手法です。

融資のハードルがある状況で「投資額の小さなボロ戸建て投資は、最初の一歩に最適!」と考える人も多いようですが、それもまた大きな誤解です。

戸建て自体は新築区分マンションや一棟アパート・マンションに比べて安いのも事実ですし、たしかに戸建て投資で成功している人はいます。

空き家を数百万円、場合によってはタダ同然で買ってDIYでリフォーム費用を抑えた修繕をして高利回り物件に仕上げる投資手法もあります。

こうした情報を聞きかじって「戸建てを安く買って、リフォームして儲けよう!」と望んでいる人は増えていますが、ここにも大きな落とし穴があります。

どうすれば戸建て投資で成功できるのか?

そもそも安く買える戸建てはかなりボロボロの空き家です。そのままでは人が住めるような状態ではないからこそ安いのです。そしてボロすぎる家を買ってしまうとリフォーム費用は青天井。下手をすれば購入価格以上の費用がかかってしまいます。

なんとかリフォームを済ませて貸し出しできればキャッシュフローを得ることができますが、お金がなくて、リフォームを途中で断念してしまう人も多いのです。そんな失敗話がYouTube動画でアップされていますし、どうしようもない状態で売りに出されている物件もたまに見かけます。

また、どうにかボロ家を直すことができたとしても、かかった費用が高すぎればまったく儲からないでしょう。

では、どうすれば戸建て投資で成功できるのでしょうか?

まずは、しっかりと調査をするのが大事です。不動産会社の営業マンが口先だけで言うことを信じず、自分の目で建物の状態を確認します。また、リフォームにかかる費用をきちんと調べて、適切な価格で物件を購入すべきです。

そして、最低限の修繕で商品化が可能であれば、売却もひとつの方法でしょう。売却価格が投資額を上回れば利益を出すこともできます。

とにかく不動産投資においては、物件のキャッシュフローを重視することが大切です。そのためには、取得費用とリフォーム費用を最小限に抑えるのが肝心です。

安いからと安易にボロボロの家を買ってリフォームするのは、投資初心者にはオススメできません。
 

名取 幸二

株式会社ペスカトーレ

代表取締役

杉田 卓哉

一般社団法人マネー総合研究所

所長