この記事をまとめると

■自動車の盗難の方法でもある「リレーアタック」を防止する対策を筆者が検証

■トヨタではリモコンキーの操作で一時的な対策は可能

■また金属製の缶にリモコンキーを入れる対策の効果も検証

金属の缶にキーを入れて試してみた

 つい最近、クルマを買い替えたのを機に(すべての車両の画像はイメージです。本文とは関係ありません)、決して盗難されやすい車種ではないものの、電波を発信するスマートキーの弱点でもある、リレーアタック防止効果について改めて検証してみた。

 まずは自動車メーカーによる推奨方法だ。トヨタの説明によれば、リモコンキーでの操作によって、一時的にスマートエントリーができなくなり、リレーアタックによるドアの解錠ができなくなるとのこと。その操作は電子キーのロックボタンを押しながら、解錠ボタンを2度押し。電子キーの赤いインジケーターが4回光ることを確認し、設定OK。設定の解錠はスマートキーのいずれかのボタンを押せばよい。

 ちなみにボクの愛車の場合は、リモコンキーのロックボタンで旋錠。5秒以内にドアハンドルの外側のセンサーに触れる。これでスマートエントリー&スタートシステムが一時的にOFF。最低10秒間待機して、再度ドアハンドルを引いて、解錠しないか確認……。

 設定解除は、リモコンキーのドアロックボタンを使用して解錠。スマートエントリー&スタートシステムがONなる、という説明だ。

 クルマ盗難されたくないなら、このぐらいの手順を面倒がってはいけないのだが、人によっては、あるいは頻繁に乗り降りする人は、いちいち面倒に感じるかも知れない。

 で、自宅でのリレーアタック防止対策としてよく言われるのが、スチール缶にスマートキーをしまっておく方法だ。実際、トヨタでも以下のような方法を紹介している。

 キーを金属製の缶などに入れ電波を遮断するのも有効です。
※あくまでリレーアタックに対する有効な対策であり、盗難防止を保証するものではありません。

 一般に、本体と蓋の接触面積が大きい金属缶(隙間から空気や水が漏れないような金属缶)の方が電波遮断効果が大きく有効な対策となります。(例えば茶筒のようなもの)

 そして、スマートキーを入れた金属缶は、屋内で壁から2m以上離れた位置に保管するとより効果的です。

 また、スマートキーを入れた缶を車内に持ち込み、エンジン始動/Ready ON操作を行うことで、金属缶が電波を遮断できているか簡易的に確認できます。(缶が電波を遮断できていればエンジン始動/Ready ONしません)

 そこで用意したのは、家にあった薄いスチール缶と、深さのあるスチール缶。実験した薄いスチール缶はチョコレートやクッキーが入っていたふたつ。深さがないから出し入れは楽。玄関に置いておいてもジャマにならないし、オシャレな缶ならインテリアのひとつにもなりそう。

 しかし、どっちもリレーアタック防止効果があると思っていたら、これが大間違い。缶の中にスマートキーを入れ、クルマに近づき、ドアノブにタッチしてみると、どちらも解錠してしまった。つまり、電波が遮断されていない証拠である。むむむ、期待していたのに。

茶筒のような缶では電波の遮断に成功!

 次に深さのある、香水の入っていたスチール缶(蓋と缶本体の接触面積がより大きい)にスマートキーを入れてドアノブにタッチしてみると、おおっ!! ドアロック反応せずで、対策になりうるようだ。どうやら、電波遮断効果は、缶の深さも影響しているらしい……(トヨタも高さのある深い茶筒缶を推奨している。短い茶筒缶がよさそう)。

 ただし、スマートキーの出し入れがちょっと面倒で生活臭プンプンなのが玉にキズ。使い勝手にしても、長缶の場合、内側にフックでも付けてキーホルダーのリングで引っかけておくなどの工夫が必要だろう。

 ゆえに、蓋が開けやすく、薄い缶のほうがリモコンキーの出し入れが楽なのだが、ちょっと待てよ、薄い缶でも中にアルミホイルを張り巡らせるとどうなるか?  やってみた。

 すると、蓋を含め、アルミホイルを隙間なく張って両面テープで止めてみると(底にはクッション材を敷いた)、おおっ、クルマのドアの前に立ち、ロックを解除しようとしてもできない。結果、薄い缶でも電波の遮断はOKとなったようだ。手元に薄い缶しかなければ、この方法を試してみてほしい(必ず、クルマに近づき、電波が遮断されている=ドアロックが解除できないことを要確認)。

薄い缶でも内部にアルミホイルを巻けばOK!?

 念のためチャレンジしたのが、リモコンキーそのものにアルミホイルを巻いて、薄い缶に入れるとどうなるか? である。これも正解。薄い缶にそのままスマートキーを入れると、電波漏れを起こしていたにも関わらず、アルミホイルを巻くことで、見事に電波を遮断。これまた缶を持ったままドアをタッチして解錠しようとしても、うんともすんとも言わず、ドアは解錠できなかった。

 面倒なスマートキーの保管方法ながら、発想を転換し、スペアキーの保管であれば、これで十分かも知れない。ちなみに、リモコンキーに巻いたアルミホイルにちょっとでも隙間があると、ダメ。電波漏れを起こしてしまうことも確認した。

 と、ここまでは、家にあるものでのリレーアタック防止対策だが、やはり専用品も試してみないと。で、通販サイトの口コミで「効果あり」とされる、ふたつセットで1260円という電波遮断ポーチを購入(縦14cm、幅9cm)。そもそも缶に比べ出し入れが楽で、場所も取らない。コンパクトサイズだからポケットやバッグに収まりやすく、持ち運びやすく、出先でのリレーアタック防止にもよさそうだ。

 で、専用品の電波遮断ポーチの効果はどうだったかと言えば、さすが専用品、リモコンキーを入れて、がっちり閉められるベルクロでカバーを閉めれば、電波漏れなし。

 電波遮断ポーチを携えてクルマに近寄り、ドアノブにタッチしても、もちろん、ドアは開かない。ただし、今回購入した縦14cm、幅9cmのサイズだと、リモコンキー+キーホルダーのサイズによっては入れるとパンパン。きれいに入らないリモコンキー+キーホルダーもあるかも知れないので、要注意、である。

 個人的には、自宅用は薄い缶の内側にアルミホイルを張り巡らせたもので保管(電波遮断確認済)。出先用に専用ポーチを携帯……という結論になった。