今後、Breakng Downルールが浸透して、競技として成熟していったら、格闘技の可能性が広がっていくと俺は思う。ケガのリスクも少なくなるでしょうしね。空手の試合だって1分とか2分が多いし、時間が短いからつまらないというのは論点がズレています」

 才賀によると、もし時間無制限で倒れるまで闘うことになったら、プロ側が圧勝するのは明白だという。時間が長くなればなるほど、技術の差が出てプロ選手が負ける要素は少なくなるというのだ。

だが、これまで多くの強豪たちとしのぎを削ってきた才賀自身も、Breaking Down初出場にあたって油断禁物だと気を引き締めている。SNSでは「弱い者いじめして出稼ぎ 最高」などと憎まれ口を叩いていたが、実際は1分間ルールに合わせて細かい調整を重ねている。

「結局、今は俺が何をやったところでプライベートのことばかり騒がれるじゃないですか。あることないこと好きなように書かれて、それに対しては反論したいことだってあるんです。本当に誤解と勘違いばかりですし。とはいえ、一番大事なのは子供の気持ちですからね。

1年とは言わないまでも、1週間とか3日とか俺の家に記者の人が密着したら実際の様子が伝わるんだと思う。娘は俺がおもいっきり愛情をかけてあげないとダメ。大切に育ててあげられるのは俺だけというのは明らかですから。もっとも記者の人だってPVを稼いだり雑誌を売るのが仕事だから、理解できる部分はあるんですけどね」

 半ば諦めたように現状を語る才賀だが、今回のBreaking Down参戦は自身のキャリアにとっても大きな分岐点になると総括する。絶対に負けられない理由があるというのだ。

「今だから言うと、俺は格闘技を信じられなくなった時期があったんです。K-1のテレビ放送がなくなって、RIZINが人気になるまでの間は『東京に出てきたはいいけど、格闘技一本で本当にやっていけるのかな』という不安が常につきまとっていましたから。

当時はYouTubeで発信していくという方法もなかったですしね。そんなときに俺は喋りも達者だったもので、芸能界の人たちと遊ぶようになっていったんですよね。そこでいろんな人脈ができたし、前の奥さん(あびる優)とも結婚しまして。

でも、それって格闘技から目を逸らしたということでもあるんですよ。一方で武尊なんかは愚直なまでに格闘技に打ち込んで、あれだけの存在になった。本当にすごいことだと思います。逆に俺は自分に負けたんですよ。それが悔しい。

だから今回のBreaking Downは自分を取り戻すための一戦でもあるんですよね。繰り返しになりますが、俺が存在意義を証明できる場所は格闘技でしかない。ここから再び這い上がりたいと思います」

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