中国の住宅需要低迷の裏には消費者の先行き不安がある。写真は経営危機に陥っている不動産大手、恒大集団の開発物件(同社ウェブサイトより)

中国では不動産不況が長期化するなか、各地の地方政府が(景気対策の一環として)住宅取得規制の緩和を進めている。だが、住宅需要の回復は期待通りには進んでいない。

国慶節(中国の建国記念日)の大型連休は、例年なら中国の住宅販売業者にとって書き入れ時だ。しかし市場調査会社の中指研究院が10月7日に公表した速報データによれば、2023年の国慶節の連休期間(9月29日〜10月6日)に主要都市で販売された新築住宅の成約面積は前年比17%減少。新型コロナウイルス流行前の2019年との比較では24%も縮小した。

地方都市では成約面積半減

注目すべきなのは、都市の規模によって住宅の売れ行きに大きな格差が生じたことだ。北京、上海、広州、深圳の4大都市(一級都市)では、連休期間中の成約面積が合計33万3000平方メートルに達し、1日当たり平均の成約面積は前年比62%増加した。

対照的に、省都クラスの14都市(二級都市)の成約面積は合計86万1000平方メートルと、前年比14%減少。その他の地方都市(三級都市および四級都市)の状況はさらに厳しく、成約面積は前年の半分の28万2000平方メートルにとどまった。

各地の住宅販売業者は、国慶節の商戦に向けて新築マンションの営業強化や値引き拡大に取り組んでいた。にもかかわらず売れ行きが振るわなかった背景には、旅行ブームで連休期間中の(地元以外への)外出が増えたことや、不動産市況の先行き不安が解消されていないことなどがあったと見られている。


不動産業界は消費者の不安払拭に躍起だが、成果に結びついていない。写真は経営危機が囁かれる不動産大手、碧桂園の完成物件引き渡し会場(同社ウェブサイトより)

「一部の都市では、連休期間中に注目度が高い物件のショールームの訪問客がいくぶん増えた。しかし見学から商談につながったケースは少なく、特別に人気が高い都市や(都市の中の)人気エリアを除けば成約量は伸びなかった」。中指研究院のチーフアナリストの陳文静氏は、今回の国慶節商戦をそう総括する。

規制緩和の効果見えず

住宅需要の低迷が続く中、各地の地方政府は7月から(住宅投機を防ぐための)住宅取得規制の緩和を段階的に進めてきた。その結果、大部分の主要都市で1軒目および2軒目の住宅を購入する際に課されていた住宅ローンの頭金の最低比率や、ローンの金利が引き下げられた。

しかし住宅市場の実態を見ると、こうした規制緩和が目に見える需要の回復をもたらしているとは言いがたい。


本記事は「財新」の提供記事です

財新記者の調べによれば、主要都市のなかには現時点でもまだ(相対的に厳しい)住宅取得規制を継続しているところが10都市余りある。そのため業界関係者の間では、規制緩和の余地はまだ残っているとの見方が主流になっている。

(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は10月7日

(財新 Biz&Tech)