内向的な性格の人にとって大きな強みとなるのは「情熱」です(写真:Fast&Slow / PIXTA)

マハトマ・ガンジー、マザー・テレサ、ネルソン・マンデラは偉大なリーダーとして知られていますが、その性格は内向型だったと言われています。

「外向型の人でなければリーダーになれない」というのは思い込みで、内向型の人が持つ情熱や粘り強さを力にすれば、とてつもないエネルギーが発揮されるのです。

内向的な性格の人が自身の強さを再発見できる考え方のヒントについて、フランス出身のビジネスコーチ、ティボ・ムリス氏の著書『「ひとりが好きな人」の上手な生き方』から一部を抜粋・再編集してお届けします。

自分は何に情熱を感じるか?

内向型の人が成果をあげるためには、自分が何をしたいかを明確にする必要がある。次の6つの質問は、自分が何に情熱を感じるかを見きわめるのに役立つ。私自身も内向的な性格だ。そこで各質問に対する私の答えを書いておくので、参考にしてほしい。

【質問1】どんな人をうらやましく思うか?

これは素晴らしい質問で、たいていの場合、自分が何に興味を抱いているかを示している。

私は能力開発のブロガーをうらやましく思っていた。ある日、アメリカの哲学者で能力開発のエキスパートとして知られるレオ・グーラの動画を見たとき、すべてが明らかになった。私は「これだ」と思った。自分のやりたいことがわかったのだ。

それは人々の手伝いをするために能力開発の勉強をすることだった。これは私が2014年にブログを始めるきっかけになった。

【質問2】子どものころ何をするのが楽しかったか?

7歳か8歳のころ、私は一日中、本を読んでいた。もちろん、それは児童書だったが、これは読書が大好きになるきっかけになった。

【質問3】現在の仕事に就きながら、どんなボランティア活動(または副業)をしているか?

私は最初の仕事に就いていたとき、ボランティアとしてフランスの文化について日本語で記事を書き、両国の文化や国民性の違いについて日本でセミナーを開催していた。この事実は、私が執筆と心理学に興味があることを示している。


【質問4】どんなテーマについて話すことがワクワクするか? ワクワクする会話を最後にしたのはいつか?

私はさまざまな国の文化や心理学、能力開発について話すのが大好きだ。ワクワクする会話を最後にしたのは、数日前、自分のオンラインビジネスについて友人と話したときである。

【質問5】どんなふうに社会に貢献したいか?

この質問を具体的に表現すると、人々に勇気と希望を与えたいか、人々を楽しませたいか、人々を教育したいか、人々を癒やしたいか、芸術を通じて人々に感動を与えたいか、ということだ。

私は、人々が何を成し遂げられるかに気づくきっかけを与える仕事が大好きだ。つまり、人々の能力開発のサポートである。夢や目標を実現しながら生きるのに必要なツールをひとりでも多くの人に提供するのが、私の使命だ。

【質問6】独自の強みは何か?

言いかえると、あなただけがうまくできることは何か、ということだ。

私の最大の強みのひとつは、人々の最もいいところを引き出す能力を持っていることである。私は人々が大きな能力を秘めていることを心から信じている。たいていの場合、私は本人が信じている以上に人々の能力を信じている。

人々に感動を与えたいという願望は、私のもうひとつの強みである。能力開発の本や動画についてワクワクすると、私はそれをひとりでも多くの人と共有したくなる。

高い学習意欲を持っていることは、私のもうひとつの強みだ。新しい情報を入手し、新しいコンセプトを理解するのが大好きなのである。学ぶことはとても楽しいし、終わりがない。

では、あなたは何に情熱を感じているだろうか?

情熱を燃え上がらせる

内向型の人はひとりで過ごす時間を必要としている。人がたくさんいる騒がしい環境では刺激が強すぎて疲れやすい。人と接するのが苦手で、その場で考えることが苦手である。

しかし、内向型だからといって可能性が狭まるわけではない。たしかに内向型の人はひとりで過ごす時間を必要としているが、それを除けば、やりたいことはなんでもできる。内向性に対する思い込みのために自分の可能性を限定すべきではない。


もし営業の仕事に情熱を感じるなら、その道に進めばいい。内向型の人は相手の話に耳を傾けて適切な質問をするのがたいてい得意だから、営業の仕事で素晴らしい能力を発揮できる可能性がある。

私たちは内向型として、自分の最大の強みのひとつは、何かに取りつかれる能力であることを認識すべきだ。大好きなことを見つけ、それに生きがいを感じるなら、不可能を可能にすることができる。

逆に、ワクワクしない仕事に就いて、大好きなことを軽んじるなら、いつまでたってもうだつが上がらず、不満の多い人生を送るはめになる。

あなたは何に取りつかれているだろうか? 私はかつて、何かに取りつかれているから、人生のバランスをとる必要があると信じていた。しかし、私は人生の大半を何かに取りつかれて生きてきた。

まず、それは本から始まった。子どものころ、寝室で本を読んで一日の大半を過ごしていた。

次に、ビデオゲームで遊ぶようになった。その後、卓球に取りつかれた。中学と高校では、毎日、始業前と放課後に卓球の練習をしていた。

そして、オンラインゲームに取りつかれた。週末は明け方までずっとゲームに熱中していたものだ。言うまでもなく、母は私の心配をした。

大学では勉強に取りつかれた。そして現在では人々の能力開発に取りつかれている。

内向性を受け入れよう

何かに取りつかれることはネガティブなことのように思えるかもしれないが、最近、私はそれを別の角度から見るようになった。何かに取りつかれることが自分の最大の強みかもしれないと考えたのだ。

そこで、それを抑圧するのではなく歓迎したらどうなるだろうかと思った。つまり、自分が情熱を感じることに没頭したらどうなるかと考えたのだ。

あなたの経験は私のそれとは違うかもしれないが、少しは心当たりがあるだろう。

要するに、自分のしていることに意味を見いだしたいという願望が、強い原動力になるということだ。実際、それは内向型としてのあなたの最大の強みのひとつなのかもしれない。

以上の理由によって、自分の狭い殻を破って夢を実現することが、内向型の人の生き方だ、と私は考えている。それは自分の才能を社会のために役立てるということだ。

私の意見では、それは外向型のように振る舞うことではない。もちろん、あなたは私に賛成する必要はない。


結局のところ、最も大切なのは、あなたが内向型として幸せな人生を送り、後悔せずに生涯をまっとうすることである。それについては私たちの意見が一致するはずだ。

いったん内向性について理解を深め、自分の使命に集中すれば、あなたは他の人たちのお手本になることができる。人々はあなたの自制心、集中力、情熱をうらやましく思うだろう。

内向性はあなたの本来の性格だから、それを受け入れて歓迎しよう。それが自分らしさであり、それを変えようとする必要はない。

(ティボ・ムリス : ビジネスコーチ・著述家)