持続可能な社会をつくるための「SDGs」。2030年までの達成をゴールとした「持続的な開発目標」を指し、世界的に注目されています。一見難しそうに感じますが、じつは私たちの暮らしのなかに取り入れられることがたくさんあります。今回のテーマは「サステナブルなアクセサリーの楽しみ方」について。SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんにつづってもらいました。

サステナブルな暮らしは「ムダをなくす」ことからでいい

サステナブルの言葉の由来は、英語のsustain(サステイン=支える)からきています。
つまり、よい状態が長く維持され、続いていくこと。人も社会も自然環境もそうあるために、SDGsの17の目標が生まれたのです。

【写真】注目のエコ素材でできたアクセサリー

2015年に採択されて、2030年までの達成をめざしているものなので、今はちょうど折り返し地点。

「でも、たくさん目標がありすぎてなにからやったらいいかわからない」
そんな声をよく聞きます。

考え方としていちばんわかりやすいのは、「ムダをなくす」ということです。

たくさんもつことをやめ、つくる過程で人や動物、環境を犠牲にしていないものを大切に使うこと。みんながそういう意識になれば、大量生産・大量消費・大量廃棄という流れが改善され、かなりの問題が解決するでしょう。(もちろんそんなに単純ではないかもしれませんが)かつ、経済も維持されるしくみにすることが求められています。

ものを減らす中で気づいた「アクセサリー」の力・楽しみ方アイデア6つ

私も、最近本気で身のまわりのものを減らそうと、不要なものを捨てたり、譲ったり、リサイクルに回しています。

雑誌や書籍、服、靴…と分野ごとに進めていますが、アクセサリーに取りかかったところで気がついたことがあります。

“上質なアクセサリー”ってサステナブルだなって。
服ほど流行りもないし、場所もとらない。金や銀、プラチナはたとえ切れたり壊れたりしていても買い取ってもらえます。また、デザインが気に入らなくなればリフォームという選択肢も。服のように「サイズ」の問題がないので、次世代につないでいけるという点でもグッド。

最近の若い人は、古着を好んで着たり、お母さんのアクセサリーを身につけたりしていることも多いように思います。先日バブルのころ大流行したティファニーのオープンハートをつけている若い女子を見て、なんとなくうれしい気持ちになりました。

アクセサリーは、なにか特別なときに買ったり、贈られたりすることが多いので、小さい中にもいろいろな思い出がつまっていることが多いですよね。

●母娘で受け継げるパールのネックレス

私が、日常的によく使っているパールのネックレスがあります。
MIKIMOTOのものですが、じつはこれ、母が持っていたロングネックレスを、私と妹用に2つに分けたものなのです。

お店に持っていき、2分割したいと言うと快く対応してくれ、私と妹はそれぞれちがう留め具をつけました。それにより、違った印象のネックレスに生まれ変わったのです。

母に聞いたところ、これは50年くらい前のものだと…。きっとなにかの記念にだれかから贈られたものだろうと思いたずねると、「海外赴任の前に自分で買った」と、コラム的にはやや期待外れの答えが返ってきました。私と妹には、それぞれ娘が1人いますので、そのままこのパールを引き継いでいきたいと思います。

●ふぞろいな「バロックパール」

真珠というと、玉の丸さや大きさが規格にあったものが一級品とされますが、ふぞろいの規格外のパールも好きです。

これも私物ですが、ひとつひとつ形がちがって個性的なバロックパール。お値段もひかえめなところがいいです。規格外のバロックパールを選ぶこともサステナブルな選択の1つです。

●エシカルなジュエリー

製造過程で人(児童労働や紛争・人権侵害)や動物の搾取がないフェアトレード商品で、かつ環境にも配慮した地球に優しいジュエリーも魅力的。こちらのカラフルなブローチやネックレスは、植物象牙(ベジタブルアイボリー)とよばれるタグアでできています。タグアは、南米太平洋沿岸の熱帯雨林で自生するヤシの木 アメリカゾウゲヤシの種子のこと。エコ素材として注目されています。

使い勝手もよく、とにかく軽い。ひとつひとつ形が違うので、同じものはありません。マットな感じも服と合わせやすいので、重宝しています。タグア同士が重なりあったときの優しい音もいい感じです。

この商品がエシカルな理由は、熟して自然に地面に落ちたタグアの種子のみを収穫していて、生産プロセスの中で熱帯雨林に負荷をかけません。

また、落ちたタグア収集の仕事は、地元の人達の貴重な収入源にもなっています。タグアは象牙と質感が似ていることから、象牙の代わりとなる素材です。象牙の乱獲により、絶滅さえ危惧された象を守ることができます。

●アンティークのアクセサリー

アンティークショップで売られていたリング(写真右)もお気に入りのひとつ。

イギリス製のものだそうで、以前にどんな人が使っていたのかなぁ、なんて思いながら愛用しています。義理の母からもらったシルバーのアクセサリー(写真左)も年を重ねるごとにいい風合いに。世代も国境も超えて使えるのも魅力です。

●「婚約指輪」のエコな活用法

最近、友人たちとよく話題になるのが「婚約指輪」をリフォームしてしまっていいかどうか…。この世代の婚約指輪は、「たて爪のダイヤ」が主流でした。ただ、これは日常づかいにはちょっと不向きですよね。そこで浮上するのが、そもそも夫にリフォームしていいかと聞くか・聞かないか問題。下手に聞くと波風が立つからと、夫に内緒でリフォームしている友人を何人か知っていますが、いまのところバレていないようです。

これについては夫婦の価値観によって考え方は違うとは思いますので判断はお任せしますが、もしぜんぜん使ってないようでしたら、SDGs的な観点からも思い切ってリフォームしてみるのもありかもしれません。高価なものですから信頼できるところでリフォームしてくださいね。

●最新技術で生まれた「ダイヤモンド」も

最後にご紹介したいのが、“ラボグロウン”ダイヤモンド。その名のとおり、研究所(ラボ)で育てられた(グロウン)ダイヤモンドのことで、天然ダイヤモンドと同じ成分や特徴を持っているそうです。

長い年月をかけて地中で育まれる天然ダイヤモンドに対して、研究所で数週間でできてしまうとか。採掘を必要としないため環境への影響がなく、水域を汚染したり、土壌を荒廃させることはありません。それで輝きも一緒というから驚きです!

まだ私も見たことがないのですが、これから結婚するSDGs世代は、婚約指輪はラボグロウンダイヤモンド! なんて選択肢も出てきそうですね。