フランス料理のシェフから家政婦に転身し、気軽でおいしい家庭料理レシピが大人気のタサン志麻さん。ESSEonlineに掲載されたレシピの中から、今の時季にぴったりの「夏ごはん」レシピを4つ紹介します。

志麻さん流「ピーマンの肉詰め」。“ひと口”サイズだから簡単・おいしい・食べやすい

「ピーマンの肉づめ」は大人も子どもも大好きなレシピですが、意外と手間がかかるもの…。そこで志麻さんに、ピーマンの肉づめのコツを簡単においしくつくるコツを教えてもらいました。

<ポイント>ピーマンは輪切りにすればはがれにくい

通常の肉づめははがれやすいが、輪切りにした状態だと外れにくい。両面を香ばしく焼けるのでおいしさもアップ!

「私は料理に関して、『こうでなくっちゃ』という意識がほとんどないんです。たとえば、豚肉のショウガ焼き。王道のつけ合わせといえばキャベツの千切りですが、『肉巻きにすれば、ひと口で両方味わえてなんだか楽しいかも』と思いついたら、すぐに実践。まだ小さい子どもたちには、いつものスタイルよりもずっと食べやすかったようで、大好評でした。

『この材料がないとできない』『この料理は、こうつくるべき』という思い込みを持たず、自分が食べたいものを自由につくる。もっと適当で、きっといいんだと思います。大切なのは食卓を笑顔で囲むこと、それだけです」

●輪切りピーマンの肉づめ

【材料(4人分)】

豚ひき肉 400g
ピーマン 6個
タマネギ(みじん切り) 1/2個(100g)
A[卵1個 塩、コショウ各少し サラダ油大さじ1]

【つくり方】

(1) ピーマンは2cm幅の輪切りにし、ヘタと種を除く。タマネギはラップで包み、電子レンジ(600W)で2分加熱し、粗熱をとる。

(2) ボウルにひき肉と(1)のタマネギ、Aを入れ、粘りが出るまでよく混ぜる。

(3) フライパンにサラダ油をひき、(1)のピーマンを並べる。(2)をスプーンで押し込むようにぎゅっと等分につめる。中火にかけ、はじめに両面に焼き目をつけ、フタをして弱火で5分蒸し焼きにする。

計量単位は1カップ=200ml、大さじ1=15ml、小さじ1=5ml、1合=180mlです

志麻さんの絶品「ナスと豚バラ炒め」レシピ。ナスが“ふっくら”おいしくなるコツ

簡単にできておいしい「肉野菜炒め」。フライパンで一気につくる簡単おかずのイメージですが、少しの工夫で仕上がりが断然変わってくると志麻さんは言います。さらにおいしくつくるコツを教えてもらいました。

<ポイント1>肉・魚と野菜は別々に炒める

「いちばん大切なポイントは、肉と野菜を別々に炒めること。肉と野菜は火のとおり方が違うので、同時にベストな状態で炒め上げるのはとても難しいのです。魚と野菜も同様。別炒めしてあとでさっと合わせれば、手軽に、そして確実においしく仕上がります。

さらに、別炒めのいいところは、具材別に味つけの濃淡をつけ、食感を生かせること。野菜は塩をふると水気が出るので、あくまで軽めにシャキッと、代わりに肉にはしっかりふるなど、メリハリもつけられます。

<ポイント2>調味料を加えたら、手早く炒め合わせる

調味料を加えてから時間がかかると、野菜から水分が出てべちゃっとしてしまうので、手早く炒め合わせるのも重要。

●豚バラとナスの梅みそ炒め

仕上げにさっと合わせ、ふっくらナスに豚の脂をまとわせます。

【材料(4人分)】

豚バラ薄切り肉 300g
ナス 3個
サラダ油 大さじ1
A[梅干し(はちみつ漬けなど甘めのもの)3〜4個 みそ、酒、みりん各大さじ1 砂糖小さじ1]

【つくり方】

(1) 豚肉は3〜4cm長さに切る。ナスはヘタを除いて乱切りにする。Aの梅干しは種を除いて包丁でたたき、ペースト状にする。

(2) フライパンにサラダ油を中火で熱し、(1)のナスを炒める。全体に焼き色がついたら、ザルに上げる。

(3) 同じフライパンに(1)の豚肉を入れ、中火で炒める。肉の色が変わったら(2)を戻し入れ、混ぜ合わせたAを加えて手早くからめ、器に盛る。

計量単位は1カップ=200ml、大さじ1=15ml、小さじ1=5ml、1合=180mlです

志麻さん流「夏野菜のキーマカレー」。ケチャップの“ちょいたし”で想像以上のおいしさに

夏に食べたくなるカレー。ここでは、夏野菜を使った「キーマカレー」のレシピとコツを志麻さんに教えてもらいました。

<ポイント1>ケチャップなら簡単に味が決まる

ケチャップは、ひとつで十分おいしい万能調味料。入れるだけで、ぴたりと味が決まりますよ。ご紹介するレシピは野菜のうま味たっぷりなので、ルウは少しでヘルシーに。

<ポイント2>野菜は揚げ焼きに

ナスやトマト、オクラなどの夏野菜は、揚げ焼きにするとさらにおいしい!

●キーマカレー

【材料(4人分)】

合いびき肉 400g
サラダ油 適量
タマネギ(みじん切り) 1/2個
カレールウ 1かけ
トマトケチャップ 大さじ3
水 1/2カップ
オクラ(板ずりし、ガクを除く) 8本
ナス(ガクを除き、縦半分に切る) 2本
ミニトマト 8個
温かいご飯 茶碗4杯分

【つくり方】

(1) フライパンにサラダ油少しを中火で熱し、ひき肉、タマネギを炒める。カレールウ、ケチャップ、水を入れて5分ほど煮込む。

(2) 別のフライパンに大さじ2ほどの多めのサラダ油を中火で熱し、オクラとナス、ミニトマトを揚げ焼きにする。

(3) 器にご飯と(1)を盛り、(2)をのせる。

[1人分653kcal]

 

志麻さんの「家族が喜ぶ夏ごはん」。漬け込むだけで肉も野菜もぐんとおいしく

今週はきっと忙しくなるのがわかった時点でマリネを仕込む、という志麻さん。なぜならそのおいしさは、時間が決め手だから。

「まずはしっかり下味をつけ、仕上げは焼くだけにする。あるいは揚げてコクを出してから、漬け込む。つくりおきと、似ているようで少し違うのは、時間をおくことで味わいが増していくこと。つくる理由に、『おいしい!』がいちばんにあること。なによりそれが、私好みなのです」

●マリネは3パターン

「マリネ」と一言で言っても、つくり方はさまざま。3パターンのつくり方をご紹介します。

・フレッシュをマリネする

刺身用の新鮮な魚やフレッシュな野菜は、サラダの延長のように、塩、コショウ、酢、オイルなどであえるだけ。素材の傷みが早い暑い時季は、鮮度のいいうちにさっとマリネしておくと、味わいキープ&おいしさもアップ!

・焼くor揚げてからマリネする

素材をソテー、または揚げ焼きにしてから、調味料に漬け込んで。素材がまとう油のコクがマリネ液と合わさり、時間がたつほど一体感が生まれます。ほぼ完成させて冷蔵庫に入れられるので、志麻さんも忙しい日の前日によく仕込んでいるそう。

・マリネして焼く

肉や魚をマリネ液に漬け、味をしみ込ませてから加熱。「どうせ味の濃いマリネ液に漬け込むから」といって、下味の塩、コショウは省略しないこと。まず下味でうま味を引き出し、それからマリネするのがおいしさの秘訣。

●基本のマリネの味つけ

基本のマリネの味つけは、塩、コショウの下味にレモンなどの酸味をたし、そこに仕上げのオイルをひと回し。

「マリネをおいしくする要素は、塩け、酸味、オイルのまろやかさ。この3つがそろっていれば、難しく考えなくても大丈夫。ちゃんとおいしく仕上がるので、気軽に試してみてください」

酸味は酢とレモンを気分で替えたり、オリーブオイルをゴマ油にして中華風に仕上げたり。塩気をみそやナンプラーに替えれば、和風にもエスニックにも。自分好みの味をいろいろと試してみるのもおすすめです。

●ふんわり甘くやわらかな「ポークジンジャーマリネ」

明日は忙しいけれど、今日は少しだけ余裕がある…。そんなときに志麻さんが仕込むというのが、「ポークジンジャーマリネ」。とんかつ用の厚めの豚肉を使った、ごちそう感あるショウガ焼きです。

リンゴとショウガ、ニンニクをしょうゆ、みりんと一緒にフードプロセッサーでペースト状にしたマリネ液に漬け込めば、酵素の効果でお肉はしっとりやわらか。漬け時間は30分ほどでもいいのですが、できればひと晩じっくりと。

食べるときは、フライパンで焼き目をつけたらソースと一緒に蒸し焼きに。疲れて帰ってきた夕方、さっと焼くだけででき上がるこのおいしいひと皿があると思うと、昨日の自分に感謝です。

●できたても、なじんだ頃も格別な「トマトマリネ」

初夏から一斉に出回るトマト。ついたくさん買い込んで、気づいたら野菜室でしなしなに…なんて経験、ありませんか?

「旬のトマトはもちろんそのままでもおいしいのですが、少し手をかけると、おいしさが長もちするうえに、実に役立つ常備菜になります」と志麻さんは言います。

塩、コショウ、オリーブオイルだけでも十分ですが、今回はそこにタマネギのシャキシャキ感とパセリのさわやかな香りをプラス。色鮮やかなサラダにも、フレッシュなソース代わりにもなる、夏にうれしいひと皿に仕上がります。

ゆでたそうめんとあえたり、ソテーした豚肉や鶏肉につけ合わせ兼ソースとして添えたりするのもおすすめです。