年齢を重ねると、自分の生き方を振り返るときがあります。そんなとき、立ち止まって考えるのが、「好きなことをやってみたい」という気持ち。女性の生き方にまつわる著書を多数上梓し、もうすぐ60歳を迎えるトップブロガーの中道あんさんに、「好きなことに出合うヒント」について教えてもらいました。

もうすぐ60代、子どもの頃のように生きてみたい

大人になると、よいも悪いも「予測できてしまいます」。とくにマジメな人は失敗せずに賢く生きようとするのではないでしょうか。私もこの60年近くを振り返ってみて、本当に無難に生きてきたと思うのです。でも、それは生まれもった性格ではなく後天的に形成されたものです。

子どもの頃を振り返ると、幼稚園に行く前からわんぱくで好奇心旺盛で、いっぱい遊んで刺激ある毎日を過ごしていました。スカートをはいたガキ大将です。子どものときがいちばん自分らしくてクリエイティブでした。自信に満ちていたと思います。それが、親の価値観、学校のルール、世間の常識の物差しで測られるようになります。親に叱られ、学校でも叱られ、思春期には恥ずかしいという感情も芽生え、周りと同じでないとダメなんだと思うようになったら、まるで道の端っこを歩くかのように…。ガキ大将はあぜ道の真ん中を前だけ見て堂々と歩いていたはずです。で、ときどき足を踏み外して田んぼにドボン。それでも反省より笑いに包まれていた。子どものときは雨の日だって退屈せずに楽しめたのです。あの頃の自分を掘り起こしてみると自分らしさが分かってきます。もうすぐ60代! これからは好きなことだけして生きていこう! と決めました。

今回は、私の実体験を元に50代、60代でも好きなことをして楽しく生きるヒントをご紹介します。

 

●好きなことをして生きるのは責任が必要

この年になれば「どんなふうに暮らしたいのか」「なにを大切にして生きるのか」を自由に決めていいと思います。とはいえ、好きなことだけして生きるには、責任が伴います。なぜなら好きなことをしようと思えば、自分で選んで自分で考え、自分で決めたことを行動に移さなければならないからです。だれかに言われたからとか、人目を気にしてすることではありません。

もし、みんながそうしているからとか外側の理由で始めたことは、本当の「好き」と言いきれないのではないかと思います。「好きなこと」とは、つい時間を忘れて取り組んでしまうようなことです。それが人から見てつまらなそうなことでも自分が楽しければ、それでいいのです。だって自分の人生なんだから、堂々と好きを貫くのが楽しさでしょう。

●「好きなこと」に出合える人の3つの条件

残念ながら「好きなこと」がいきなり目の前にポンと現れることは、まずないでしょう。よく、「どうすれば好きなことに出合えますか?」と質問を受けますが、こうすればいいという「正解」はありません。いろんなことを体験してみて好きかそうでないか分れていく。きっかけになる行動が大事です。行動するのがなぜに大事かというと、行動することでしか体感できないからです。大事なことはすぐに始められる自分に整えておくことです。そのためには以下のことが大切です。

(1) 笑顔でいる

(2) 心の余裕を持つ

(3) 「でも」「どうせ」の言葉を封印する

私は、ピラティストレーニングにハマって3年目になります。きっかけは、体のメンテナンスではじめて鍼とマッサージを受けた日のこと。トレーナーとは笑顔で会話していい感じに話が弾みました。体の不調を相談すると、「ピラティスって知っていますか?」と質問されたのが始まりです。あのとき、疲れているからと仏頂面をしていたら会話は続かなかったでしょう。

人からアドバイスを受けても、心の余裕がなければ、余計なお世話に聞こえたかもしれません。そして、万年ダイエッターの私。「どうせ効果ないんじゃない?」でも「続けなければ意味ないでしょ」という、できない理由を探していれば、きっと始められていなかったでしょう。ブログを始めたのも、ささいなきっかけからです。あのときこそ、「でも」を封印して良かったし、頭から「できそうもない」と否定しなくてよかったと思います。

●「好きなこと」を始めるために必要なこと

『笑う門には福来る』のことわざにあるように、仏頂面にはチャンスは転がってきません。笑顔でいるのは心がけで変わります。普段から口角を上げておく意識と「ありがとう」の言葉かけです。これだけで、周りからの見え方が変わります。

心の余裕には、時間とお金の余裕も深く関わりがあります。お金があっても、残業でボロボロになった体では心に余裕はできないでしょう。逆に時間はたっぷりあってもお金がなければ、お金のかからない好きなことを見つける必要があります。つまり選択肢が限られます。

お金に対するストレスは心を疲弊させる原因にもなります。「好きなこと」を始めるには、ある程度の時間とお金も余裕があった方がいいでしょう。

そのために、どう働き、どう暮らしていくかが、今後の人生のテーマになっています。遊ぶように仕事がでるようになれば、最高だと思います。