2015年3月6日、当時17歳だった男性は愛犬の散歩に出かけたまま行方不明になっていた。先月29日に警察に保護されたことが報じられるも、今月に行われた警察の記者会見で8年間、自宅にいたことが判明した(画像は『Metro 2023年7月4日付「Teen who went missing walking dogs found alive eight years later with cuts and bruises」(Picture: Facebook)』のスクリーンショット)

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8年前、当時17歳の男性が愛犬の散歩に出かけたまま行方不明になっていた。しかし先月29日、彼の生存が確認されたことで注目を集めている。男性は全身に切り傷や痣があり、家族とも話すことができない状態で発見された。だが彼の母親は、息子が見つかったことに喜びのコメントを残していた。ところがこの数日後、警察の調べにより、この男性はずっと自宅にいたことが明らかになった。行方不明とされていた期間中、男性は警察官と対面していたが、偽名を使って嘘をついていたという。母親による虐待の可能性も浮上していると、米ニュースメディア『CNN』などが伝えた。

先月29日午後10時、米テキサス州ヒューストン市の警察は通報を受け、同市東部にある教会のそばで横になっていた男性を保護した。男性の身元を調べると、2015年3月6日から行方不明になっていたルドルフ・ルディ・ファリアス4世さん(Rudolph “Rudy” Farias IV、25)であることが判明した。

ルディさんの所持品の中には、家族を特定できるものがあったことから、警察官はルディさんの母親ジャニー・サンタナさん(Janie Santana)と連絡を取ることができた。ルディさんは全身に切り傷や痣が確認され、髪の毛には血液が付着しており、病院に運ばれて治療を受けた。その時、ルディさんは家族とすら話すことができない状態だった。

行方不明になった当時、17歳だったルディさんは2匹の愛犬を連れて散歩に出かけ、愛犬たちは帰ってきたものの、ルディさんはそのまま行方が分からなくなった。ルディさんは当時、うつ病と心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安障害と診断されていた。彼が薬を服用していなかったことから、見当識障害を起こしている可能性が指摘され、警察官は近隣住民に情報提供を呼びかけながら捜索を続けたが、ルディさんの痕跡を見つけることはできなかった。その後、ルディさんの家族は私立探偵にも捜索を依頼したが、彼の居場所の手がかりすら掴めなかったという。

8年以上も行方不明だった息子が見つかり、ジャニーさんが喜びや感謝のコメントを発表した一方で、近隣住民からは疑問の声があがっていた。「ここ数年間で、ルディさんがジャニーさんと一緒に住んでいるのを見た」という目撃情報や、「ルディさんを自宅に招いたことがある」という証言が寄せられており、むしろ行方不明届が出されていた事実に近隣住民らは驚いていた。2018年には親戚が自宅裏でルディさんを見かけたと警察に通報したが、警察官はルディさんを発見することができなかったと報じられている。

地元の活動家であるクアネル・Xさん(Quanell X)は、ルディさんが発見後に運ばれた病院で彼から話を聞いたそうで、病院の前で記者団に対し、ジャニーさんによる虐待の疑いを語っている。「ジャニーさんは『パパのフリをして。あなたは私の夫でなければならないわ』とルディさんに言っていたんです」と、奇妙な事実を涙ながらに説明した。

さらにクアネルさんによると、ジャニーさんは失踪から2日後に自宅へ戻ってきたルディさんに対して、身を隠すように指示していたそうだ。

「ジャニーさんはルディさんに薬物を与え、何度も彼を部屋に閉じ込めて罰していました。そして『警察官は投獄するためにルディを捜している。逃げ出したから牢屋に入れられるんだ』と彼に信じ込ませたのです。」

様々な情報が飛び交う中、事件は急展開を迎えた。ヒューストン警察は今月6日に行った記者会見で、ルディさんは2015年3月8日に帰宅し、それ以来、ジャニーさんと共に過ごしていたという事実を公表したのだ。理由は明らかになっていないが、ジャニーさんはルディさんが戻ってきた事実を隠し、自身の甥であると近所の人々や親戚に伝えていた。またルディさんはこの8年間に警察官と対面したことがあったものの、偽名を使って誕生日も偽っていたために行方不明扱いのままだった。