世の中には多くのダイエット用食品がありますが、筆者が今回注目したのは「MCTオイル」。あらためてMCTオイルについておさらいしながら、食べ比べを交えて商品の味わいやバリエーションをレポートします。

↑MCTオイルを使った商品と、使っていない同ジャンルの商品を食べ比べてレビュー

 

MCTとは? トレンドの背景とともに解説

MCTとは、Medium Chain Triglyceridesの頭文字をとったもの。日本語に訳すと「中鎖脂肪酸(ちゅうさんしぼうさん)」で、MCTやMCTオイルと中鎖脂肪酸100%のオイルのことをいいます。中鎖脂肪酸はココナッツやパームフルーツなどヤシ科植物の種子に含まれる成分で、一般的な油よりもすばやく消化吸収され、すぐにエネルギーになりやすいのが特徴。ダイエット効果が期待できることから、認知が広まっているのです。

↑MCTを使った商品のパッケージにはたいてい、中鎖脂肪酸の概要が記載されています

 

MCTに関する健康価値を発信しているMCTプラス・コンソーシアムによると、MCTオイルはもともと、手術後の栄養補給など医療の現場で用いられてきたとか。やがて1990年代に入ると、介護食やスポーツ時のエネルギー補給などにも用途が拡大し、その後一般層にも広がりました。家庭用食用油市場におけるMCTオイルの売上金額規模は、2016年から2020年までの4年間で約14倍に伸長したそうです。

 

今回、筆者が特に注目した理由は2点。ひとつは、毎年、日本食糧新聞社が発表している「食品ヒット大賞(2022年度の第41回)」で、日清オイリオグループの「日清MCTドレッシングソース」が優秀ヒット賞を受賞したこと。もうひとつは、2023年春に数種のMCT商品が、大手メーカーから相次いで新発売されたことです。そのなかには、意外性の高い「タカナシ 毎日のMCTヨーグルト」も。

 

そこで、いくつかのMCT商品を食べ比べ、味わいをレポートするとともにカテゴリーとしての伸びしろを探ってみたいと考えました。

↑右端が「タカナシ 毎日のMCTヨーグルト」。こちらを含めた4つの新作MCT商品の味をチェックします

 

MCTの有無で油の味はどう違う?

まずは、オイルそのものからチェック。日清オイリオグループの新商品「日清MCTリセッタ」と、MCTではない「日清キャノーラ油ハーフユース」を比べます。「日清MCTリセッタ」のポイントは、加熱調理がOKで使いやすいということ。というのも、100%のMCTオイルは発煙する温度が一般的な植物油よりも低いため、加熱調理は危険なのです。

 

その点「日清MCTリセッタ」は、独自技術でMCTの機能を食用油として活かしているため、一般的な植物油同様に加熱調理が可能。加えて、特定保健用食品であることもポイントです。

↑左が「日清MCTリセッタ」(753円・税込)で、右が「日清キャノーラ油ハーフユース」(563円・税込)。「日清MCTリセッタ」には14gあたり1.6gのMCTオイルが含まれています。※価格は編集部調べ

 

味比べに関しては、想像通りではあるものの、どちらもほぼ無味無臭。ココナッツオイルやオリーブオイルのような香りもなく、とにかく汎用性が高い油だといえるでしょう。

↑色もテクスチャーも一緒。普通のサラダ油感覚で、違和感なく使えるのが「日清MCTリセッタ」の特徴だと思います

 

意外性のあるヨーグルトは?

お次は意外性のあるヨーグルト、前述した新商品の「タカナシ 毎日のMCTヨーグルト」を取り上げます。まさかヨーグルトにMCTオイルが入っているとは、気になるではないですか。

↑左が「タカナシ 毎日のMCTヨーグルト」(230円・税込)。右のタカナシ乳業「朝らくヨーグルト」(235円・税込)と食べ比べます

 

こちらは、「タカナシ 毎日のMCTヨーグルト」が無糖で「朝らくヨーグルト」が加糖なので味わいがそもそも違うのですが、普通のプレーンヨーグルト感覚で「タカナシ 毎日のMCTヨーグルト」を食べても、違和感がまったくないことがわかりました。

↑「タカナシ 毎日のMCTヨーグルト」は、さっぱりしていてクリアな味が特徴。「朝らくヨーグルト」は、とろっとしたテクスチャーが印象的で、これもアリです

 

むしろ、味に個性があるのは甘みととろみがある「朝らくヨーグルト」のほう。また、「タカナシ 毎日のMCTヨーグルト」はMCTオイルが加わることで酸味が抑えられ、うまみがアップしているそうなので、ヨーグルトに酸っぱさや甘さを求めてない人にとっては非常にオススメな商品です。

 

スープはトマト味でチェック!

次は、ポッカサッポロフード&ビバレッジが発売しているトマト味のスープで比較。同社のスープといえば「じっくりコトコト」シリーズが有名ですが、その知見でMCTオイル入りのスープも開発しています。

↑左が「MCT SOUP 完熟トマトポタージュ」(170円・税別)。1食ぶん24gあたり、MCTオイルを2g含んでいるそうです。そして右が「じっくりコトコト こんがりパン 温サラダミネストローネ  完熟トマト仕立て」(170円・税別)

 

こちらも違和感は一切なしで、実においしいです。メーカーのプレスリリースによると、一般的にオイルが入るとコクやうまみなどがアップするといわれているなか、スープにおいても甘み、うまみ、コクがアップすることを確認。また、トマトのような酸味のある食材に対しては、その味をまろやかにする働きがあることがわかったそうです。

↑「MCT SOUP 完熟トマトポタージュ」にはパンが入っていませんが、とろみもコクもしっかりしていて、トマトスープの味としてのクオリティは十分。熱湯への溶けにくさもありませんでした

 

ラストはマヨネーズ風味の調味料を試食

卵を使わないマヨネーズタイプソースのロングセラー「日清マヨドレ」と、同メーカーである日清オイリオグループの新作「日清MCTマヨネーズソース」を比べます。

↑左が「日清MCTマヨネーズソース」(405円・税込)。右の「日清マヨドレ」(400円・税込)は、1980年に誕生したロングセラー商品です。※価格は編集部調べ

 

「日清マヨドレ」は、卵を使っていないためノンコレステロールであることが大きな特徴。コレステロール値を気にする人のニーズを捉えた画期的な商品ですが、さらにMCTオイルを使って新作を開発するあたり、食の健康に対する強い企業理念を感じます。

↑カロリーや脂質はほぼ同じ。左の「日清MCTマヨネーズソース」には、15gあたりMCTオイルが2g含まれています

 

味わいは、どちらも卵を使ったマヨネーズよりはライトな口当たりですが、コクも余韻も豊か。あっさりめのポテトサラダやパスタサラダを作りたいときには、特に大活躍してくれると思います。

↑違いがあるとすれば、色味。左の「日清MCTマヨネーズソース」のほうが黄色が強く、見た目はよりマヨネーズに近い印象です

 

昨今の健康フードでは乳酸菌が一大トレンドですが、今回リサーチしたり食べ比べを行ったりするなかで、MCTオイルも大きな可能性を秘めていると強く感じました。ダイエットに関してはMCTオイルのほうが乳酸菌より利がありますし、今後いっそうの盛り上がりに目が離せません。