アスレチックス・藤浪晋太郎【写真:Getty Images】

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被本塁打88、251四球、38死球、27暴投、防御率6.88は30球団ワースト

 藤浪晋太郎投手が所属するアスレチックスは25日(日本時間26日)、敵地・シアトルでのマリナーズ戦に2-3で逆転負け。今季ワーストの8連敗を喫し、10勝42敗で借金は「32」に膨れ上がり、同地区首位・レンジャーズとのゲーム差は22.5に開いた。【シアトル(米ワシントン州)=木崎英夫】

 アスレチックスの先発投手陣の勝利数はここまでわずか「2」。この日の先発左腕JP・シアーズが、その数を1つ増やす期待を抱かせる好投を見せたが、後を受けた中継ぎ陣が粘り切れなかった。

 シアーズは5回を投げ2番・フランスの本塁打による1失点無四球と好投。しかし、6回に2番手・メイがフランスにこの日2本目となる同点ソロを浴びると、8回には4番手のアクトンが2死満塁の場面で押出し四球を献上。形勢は逆転し9回も3者凡退。マリナーズの今季最短を更新する2時間ちょうどで試合は終了した。

 連敗は阻止できなかったが、難題の投手陣が同一カード4連戦の最終戦で上向きとなったのは収穫だった。コッツェイ監督は、メジャー2年目の先発・シアーズを「無四球で5回までをうまく組み立てたのは大きい」と称賛。メイの同点弾も「悪い球ではなかった」とし、5月半ばにメジャー初昇格を果たした24歳のアクトンが与えた痛恨の押し出しにも「あの場面での投球はきっといい経験になったはず」と否定的な言葉は一切挟まなかった。

 被本塁打88、251四球、38死球、27暴投、防御率6.88……。30球団でワーストの数字を並べる投手陣だが、故障者続出で現在8人が負傷者リスト(IL)入りしている。

ガレゴス記者が見る藤浪「四球から突然崩れ出す傾向は変わってません」

 駒不足の上に補強もなされず荒野に置き去りのような状況の中で選手たちは苦闘している。勝率.192のメジャー最弱チームではあるが、コッツェイ監督は若手に経験を積ませ日々の成長こそを戦いの糧にして、迷夢になずんでいるわけではない。

 コッツェイ監督は前日24日(同25日)、先発投手が試合序盤で崩れるケースが目立つことからその打開策として「オープナー」と呼ばれる、統計上いちばん失点率が高い初回に、短いイニングを全力投球する役回りの中継ぎ投手をぶつけ、上位打線を凌ぎきる1回〜2回までを目処にする継投戦術を取った。中継ぎのプルイットを先発に起用し、2回から当初の先発予定だったウォルディチャックをマウンドに送った同監督は、今後に藤浪のオープナー起用も選択肢にあると明言しているが、遠征地・シアトルにただ一人同行するMLB公式のマーティン・ガレゴス記者はこんな視角を提供した。

 藤浪がイニングをまたぐと大崩れしていることから、今後の投球によっては「抑えの機会もあり得る」と話し、十全に展開した。

「フジは先発で4試合投げていますが、四球から突然崩れ出す場面が何度もありました。その傾向は中継ぎに回っても変わってません。今カード初戦では2イニングを投げ、1イニング目はフジの可能性を見出せる完璧な3者凡退でしたよね。他のチームのようにここには“定石”がないのです。若く経験の浅い投手陣から引き出せる可能性を監督は今、模索している最中です」

 歴史的な負け越しペースで厳しい論調にさらされているアスレチックスだが、決して意味のない戦いを日々繰り返しているのではない。現場で、その諸相が見えた。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)