試合前にシャドーピッチングを行うアスレチックス・藤浪晋太郎【写真:木崎英夫】

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敵地シアトルで登板も…イニングまたぎで急きょ崩れる

■マリナーズ 11ー2 アスレチックス(日本時間23日・シアトル)

 アスレチックスの藤浪晋太郎投手が22日(日本時間23日)、敵地シアトルでのマリナーズ戦で、0-8の7回裏に3番手で登板。2回を投げ2安打3失点、2四死球4奪三振の内容で3登板連続の複数失点を記録。防御率は12.69に悪化した。【シアトル(米ワシントン州)=木崎英夫】

 前回登板から5日ぶりのマウンドは、またしても回またぎで一気に崩れた。

 藤浪は、17日(同18日)のダイヤモンドバックス戦で回をまたいだ9回に安打と2四球で満塁のピンチを招き2失点。この日もその悪夢と重なった。2イニング目の8回1死から乱れ、2番フランシスに四球を出すと、3番ロドリゲスに背中付近への死球、4番ケレニックには右前打を許し1死満塁とされ、5番スアレスに中前に運ばれ2失点。続くローリーの内野ゴロの間に三塁走者が生還し3失点となった。

 今季4度の先発でも顕在化していた急転直下の乱調は、中継ぎに役割が変わると、回をまたいだマウンドで起きる傾向が強くなった。藤浪はこの点をどう捉えているのか――。

 少し間を取ると、一気に解き述べた。

「カウントを悪くして打たれているところがあるので、ファーストストライクが取れるかというところと、カウント優位に進められるかというところだけだと思いますね。カウント優位に進めて打たれることはほとんどないので。そこだけかなと思います」

指揮官も課題は認識「2イニング目を乗り切るのが次のステップ」

 基本中の基本と重なるカウント考だ。投手有利なカウントが作れれば、タイミングを外すこともボール球で誘うこともしやすくなるが、打者有利カウントであれば幅のある組み立ては厳しくなる。カウントにおける打者との主導権の握り合いで分を得るには、当然、制球がポイントになる。が、「日本より内外角の横幅を取ってくれない」を実感する藤浪は、ゾーンへの意識が過敏にならないよう大胆な2分割法で臨んでいると明かす。

「(カウント)0-0はストライクゾーンに投げ込むっていうイメージだけ持ってアバウトに投げています。もちろん、2ストライクに追い込んだら(ゾーンの)左右か上下ぐらいに考えるようにはしています。4分割できるほどのコントロールはないので」

 先発4登板で0勝4敗、防御率14.40。配置転換となってからの10試合を含め今季1勝5敗、防御率12.69はメジャーワースト(20イニング以上)。9イニング相当の四球率7.81は同ワースト2位。それでも、コッツェイ監督は「2イニング目を乗り切ることが次のステップ。そうできるようにトライさせる」と冷静に話し、辛抱する姿勢は変わらない。

 ブルペンでのシャドーピッチング、外野での壁当て、キャッチボール、遠投、ダッシュ……。日々のルーティンを地道に繰り返し、出番を待つ右腕は、この先も試される回またぎでの投球で、首脳陣を納得させる安定感を出すことができるだろうか。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)