カージナルスのオリバー・マーモル監督【写真:Getty Images】

写真拡大

球団史上2番目の年少記録、35歳で就任のマーモル監督「よき指導者になるには人柄が大切」

■エンゼルス 11ー7 カージナルス(日本時間5日・セントルイス)

 ラーズ・ヌートバー外野手が所属するカージナルスは4日(日本時間5日)、エンゼルスとの第3戦にまたしても投手陣が打ち込まれ7-11で敗れ6連敗となり、今季3度目となる同一カード全敗を喫した。

 5連敗を喫した前夜の敗戦後、オリバー・マーモル監督が「フラストレーションがないと言えばウソになる」と発言したことから、「そのストレスを開放するために辞任すべき」などの辛辣なコメントがSNSに上がりファンからの風当たりが一気に強くなり出した。

 4月を10勝17敗そして5月を3連敗で、50年ぶりとなるワーストスタート。この状況について率直に聞くと、「今はこのチームが試されていると捉えている。選手個々の状態を把握して前向きに進んでいく」とマーモル監督の落ち着いたトーンは変わらないが、「昨晩の睡眠時間は1時間だった」と明かす。

 監督就任1年目の昨季、チームを3年ぶりの地区優勝に導いたマーモル監督は、2007年にMLBドラフトでパイレーツから指名を受けるも、3年で現役を引退。その後は、カージナルスの傘下マイナーでコーチと監督の経験を積み、マイク・マシーニー政権の2017年に入閣した。そして、一昨年のオフに慕っていたマイク・シルト監督の後任となり、球団史上2番目の年少記録となる35歳で名門カージナルスの第51代監督に就任した。

 信条は「選手との対話重視」。指導者として最も影響を受けた人物を聞くと、答えは「とても一人には絞れない」と言葉を切り、こう続けた。

「現役時代とマイナーでのコーチで本当に多くの人たちから学んだ。彼らから聞いたたくさんの話を自分の中でまとめて蓄積してきた。なので、正直、一人というのは無理かな。それと、よき指導者になるには人柄が大切だということ。野球としっかり結びついていると私は思う」

選手と誠実な関係を結べなければ「チーム一丸となって162試合は戦えない」

 ただ、ベンチコーチとして接したシルト前監督からは長丁場のシーズンを戦い抜く心得を習得したと話す。

「選手の調子に起伏がないシーズンなどない。シルト監督が日々、どのように選手と接してきたかを私は観察してきた。カージナルスを指揮させてもらう上でシルト監督から学んだことは私の財産になった。その日の戦いを終えて、言うべきことが選手にあれば必ず伝える。お互いが意見を交わし誠実な関係を保っていかなければチーム一丸となって162試合は戦えない」

 前日の試合では1点リードの7回2死二、三塁の場面で抑え役のヒーリーを投入し無失点。8回を5球で終えたヒーリーに代え、9回を任せたガジェゴスが2本塁打を含む4安打3失点で逆転負け。地元メディアからはこの日の試合前の会見でも起用法に関しての質問が出たが、「ガジェゴスは安定している」と、4月の5登板で1失点の右腕への信頼を改めて口にした。

 7月2日に37歳となるマーモル監督は、早くも訪れたシーズンの荒波の中を操舵し続ける。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)