10日の債券市場で、先物中心限月6月限は下落。米債券安の影響から売りが先行し、その後は今晩に行われる日銀新総裁の就任会見を控え模様眺めムードが広がった。

 前週末7日に発表された注目の米3月雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から23万6000人の増加とほぼ市場予想通りだった一方、失業率は3.5%と市場予想(3.6%)に比べて強い内容となった。これを受けた同日の米市場では景気減速懸念が和らぎ、米長期債相場は7営業日ぶりに反落(金利は上昇)。この流れが東京市場に波及するかたちで、債券先物は午前10時ごろに147円45銭をつける場面があった。この日は日銀の国債買いオペが実施され、「残存期間5年超10年以下」の買い入れ額は前回の5750億円から6750億円に増額されたが、応札倍率は2.27倍と前回の1.67倍を上回り、売り意欲を意識させる結果となったことで相場を押し上げる材料には至らなかった。また、市場参加者の関心が午後7時15分ごろに行われる日銀新総裁の記者会見に集まるなか、積極的には動きにくいとして売買を手控える向きも多かった。

 先物6月限の終値は前週末比9銭安の147円57銭となった。一方、現物債市場で10年債の利回りは、前週末比0.005%上昇の0.460%で推移している。

出所:MINKABU PRESS