ラーズ・ヌートバーの母・久美子さん(左)と父・チャーリーさん【写真:木崎英夫】

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ヌートバーはブルージェイズ戦で初の開幕スタメンを掴んだ

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で野球日本代表「侍ジャパン」初となる日系メジャーリーガーとして活躍し、明るい性格とペッパーミル・パフォーマンスで日本国内で大人気となったカージナルスのラーズ・ヌートバー外野手の母・久美子さんと父・チャーリーさんが30日(日本時間31日)、ブルージェイズとの本拠地開幕戦を観戦した。【木崎 英夫】

 昨年後半からの活躍で外野の定位置争いに名乗りを上げたヌートバーはメジャー初の開幕スタメンに名を連ねたが、久美子さんは「WBCの緊張とは全然比べものにならないです。WBCはやっぱ緊張しました。プレッシャーもあったしね」と親心をのぞかせた。ヌートバーは世界一を決める決勝の米国戦まで全7試合にリードオフマンとして出場。短期決戦で結果を求められる中でチームを牽引したが、客席から見守った久美子さんの心中は常に起伏に富んでいたようだ。

「WBCは7試合をやらなくちゃいけない。短い試合の中で結果を出さなくちゃいけないから、大変だと思う。でも、レギュラーシーズンは162試合あるから打てない日もあれば打てる日もあるっていう波があるけどWBCは、本当に打たなくちゃいけない。しかも活躍しなきゃいけないというのがあるから大変だったと思います」

WBCの話題が出ない日なし…久美子さん「私が聞いちゃったりとか」

 久美子さんとチャーリーさんはヌートバーの引っ越しの手伝いもあり、27日(同28日)にセントルイス入り。この日までの数日間でWBCの話題が出ない日はなかった。

「やっぱり日本のチームメートの話とかを私が聞いちゃったりとかしてね。余韻のほうが大きいかもしれないですね……」

 久美子さんは埼玉県東松山市出身。息子のミドルネーム「テイラー・タツジ」は祖父の榎田達治さんが由来だ。それだけに、日の丸を背負いともに戦った仲間の選手たちとの日々に興味が尽きない様子だ。一方、父のチャーリーさんは「もう1つのイベント」として、今年の6月に4年ぶり2度目の開催となるロンドンでの公式戦を「息子が健康でセイヤさんと戦う試合を見に行くのがすごく楽しみ」と満面の笑みで話す。キャンプ序盤で左脇腹を痛め侍ジャパンでのプレーを断念したカブスの鈴木誠也は、ヌートバーを激励しアドバイスを送った。6月24、25日にカージナルスとカブスはロンドンで2連戦を行う予定だ。

 WBCで世界一に輝いた侍ジャパンで切り込み隊長の役割をまっとうしたヌートバーは「2番・左翼」でスタメン出場。久美子さんとチャーリーさんに見守られレギュラー定着へ腰を据えるヌートバーのシーズンが始まった。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)