2月6日は2023年で最も地球から遠い満月。どれくらい小さく見える?
2023年2月6日の満月は、ちょっと特別な満月です。
2023年で最も地球から遠く離れた満月、つまり最も小さく見える満月なのです。
「月が遠く離れるってどういうこと? 月までの距離はいつも同じなんじゃないの?」と思われるかもしれません。
確かに、理科の教科書の図を見ると、月はきれいな円を描いて地球を公転しているので、地球からの距離は常に一定のように見えます。
しかし、実は月の軌道は正円(まんまる)ではありません。月はほんの少しつぶれた楕円形の軌道で地球を公転しています。そのため、地球から月までの距離は微妙に変化しているのです。
それに加えて、月の公転運動は太陽や地球の引力の影響を受けています。その影響は太陽と月の位置関係や、公転軌道上の月の位置によって変わるため、月の動きは非常に複雑になります。
以下の図は、2023年における月の地心距離(地球の中心から月の中心までの距離)の変化です。変化する距離の幅やサイクルが一定ではないことがわかります。
【▲ 2023年における月の地心距離の変化(Credit: 国立天文台)】
2023年で最も地球から遠い2月6日の満月は、地心距離は40万6000km、視直径(天体の見かけの直径)は約29分26秒角です。
いっぽう、2023年で最も地球に近いのは8月31日の満月ですが、この時の地心距離は約35万7000km、視直径は33分26秒角です。今回の満月と比較すると視直径は約1.14倍、面積は約1.3倍になり、その分だけ明るさも増します。
【▲ 2023年における地球に最も近い満月と最も遠い満月の比較(Credit: 国立天文台)】
とはいえ、これくらいの差は実際の空では誤差レベルです。写真に撮って比較しない限り、違いはほとんどわかりません。
なぜかというと、月は見かけの大きさが意外と小さい天体だからです。
試しに、空に昇った月に向けて腕を伸ばし、小指を立ててみてください。月はあなたの小指にすっぽり収まってしまうでしょう。
見かけの大きさがこれほど小さいのですから、少しくらい大きくなった、明るくなったといっても、それほど変わったようには見えないのです。
月が小指より小さいと聞いてびっくりした方も多いのではないでしょうか。
空の低いところ、山や家のすぐ上に昇った月はとても大きくて、とても小指に収まりそうには見えません。
しかし、これは錯覚であって、実際に大きくなったわけではありません。月は山や建物に近い高度が低い時は大きく、高い時は小さく見えるのです。
その点でも、今回の満月は「小さな月」と言えます。満月の時、月は地球を挟んで太陽の反対側に位置するため、満月は太陽とは逆に夏は低く、冬は高く昇ります。2月6日の満月はの南中時の高度が77度と、天頂(90度)近くまで昇ります。
冷たい冬空にしんと浮かぶ小さな満月を見ていると、ふと世界から遠く離れてしまったような寂しさを感じます。
ですが、2月6日といえば立春(2月4日)を過ぎています。暦の上ではもう春を迎えていて、寒さもこれからだんだんと緩んでいきます。もちろん、季節のうつろいに合わせて、昇る満月の高度もだんだん下がっていきます。
柔らかな春霞に浮かぶ、大きな満月が見られる季節は、もうすぐです。
※2023年2月の満月は、暦要項によると「6日午前3時29分」頃となっています。
Source
Image Credit: PhotoAC, 国立天文台国立天文台 - 2023年 地球から最も遠い満月(2023年2月)
文/sorae編集部