ＧＩ高松宮記念（３月26日／中京・芝1200ｍ）の前哨戦となるＧIIIシルクロードＳ（中京・芝1200ｍ）が１月29日に行なわれる。京都競馬場の改修工事により、今年も本番と同じ舞台で行なわれるため、その大一番の行方を占う意味でも重要な一戦となる。

　レースの傾向を見てみると、１番人気は過去10年で１勝、２着１回と今ひとつ。一方で、ふた桁人気の伏兵の台頭が頻繁に見られ、波乱の多い一戦と言える。その点について、デイリースポーツの大西修平記者はこう語る。

「波乱となる要因のひとつは、やはりハンデ戦だからでしょう。直近10年を振り返ってみても、実績上位のハンデ頭が勝ったのは2017年のダンスディレクターだけです。かといって、極端にハンデの軽い馬の好走も少なく、馬券検討において、非常に難解な一戦となっています」

　そうしたなか、３年連続で中京競馬場が舞台となる今年、狙い目を絞るうえでは「左回りに好走実績があるかどうかがカギ」と太西記者は言う。

「昨年の覇者メイケイエールこそ、初の左回りで見事に結果を残しましたが、中京競馬場で行なわれた過去２年で馬券に絡んだ他の５頭は、左回りでの経験が豊富で、ほとんどの馬が中京での好走実績がありました。重賞やオープン特別で馬券に絡んでいるケースもあり、そうした条件が穴馬を導き出すポイントになるのではないでしょうか」

　そこで、太西記者は２頭の"左回り巧者"を穴馬候補に挙げた。

「１頭目は、シゲルピンクルビー（牝５歳）です。近２戦は馬群に沈んでいますが、舞台が北海道の洋芝だったことと、状態がひと息だったことに尽きると考えています。

　翻（ひるがえ）って、今回と同じ舞台で行なわれた３走前のオープン特別・鞍馬Ｓ（５月８日）では、別定戦だったとはいえ、今回と同じ斤量55kgを背負って牡馬相手に完勝しています。

　また、今年からベースとなる負担重量が１kg増加。鞍馬Ｓで５着だったグルーヴィット（当時の斤量は57kg）が今回は58.5kgを背負うことを考えると、過去にＧIIフィリーズレビュー（阪神・芝1400ｍ）を制しているシゲルピンクルビーが55kgでレースに臨めるのは有利に映ります。


シルクロードＳでの一発が期待されるシゲルピンクルビー

　さらに今回は、ＧIIIキーンランドＣ（８月28日／札幌・芝1200ｍ）以来、およそ５カ月ぶりの出走となりますが、間隔をしっかりとって休養したことで、いい頃の動きや活気が戻ってきた印象。１週前の追い切りでは、かなり離れて追走したこともあって、併せた僚馬には遅れましたが、栗東CWで81秒８−11秒７と時計自体は満足いくものでした。

　栗東坂路での最終追い切りでも、寒波による雪の影響で力の要る馬場だったにもかかわらず、52秒６−12秒３でしっかりと駆け上がって、先週からの上昇を示してくれました。相手は近走よりも強化されますが、復調した今なら、十分勝負になると踏んでいます」

　大西記者が推すもう１頭は、昨年のレースでも７番人気で２着入線を果たして好配当を演出したシャインガーネット（牝６歳）だ。

「昨年２着のシャインガーネットは、同レースでのちに高松宮記念を制す３着ナランフレグに先着。クビ差とはいえ、その結果を残したことは、大いに価値がありますし、評価すべきでしょう。

　勝ち味に遅いタイプということもあってか、ハンデも昨年より１kgだけ増の55kgで済みました。これは、今年からの負担重量増を考えれば、実質据え置き。恵まれた、と見ていいでしょう。

　中京・芝ではＧＩを含めて重賞ばかり走って、４戦２連対と相性も上々です。前走は、決して得意とは思えない中山のオープン特別・ラピスラズリＳ（12月４日／芝1200ｍ）で２着と好走。ここにきての充実ぶりも顕著です。

　前走後もここを目標に丹念に乗り込み、直前も２週続けて併せ馬を敢行。きっちりと態勢は整っています。

　鞍上は岩田望来騎手。テン乗りになりますが、昨年はデビュー４年目にして年間100勝を達成し、今年もＧIII京都金杯で早くも重賞勝ちを決めました。実力＆勢いもある若手トップジョッキーですから、きっちり持ち味を引き出してくれるはずです。

　シルクロードＳは、ダンスディレクターが2016年、2017年と連覇を達成し、セイウンコウセイが2017年、2018年と２着に入るなど、もともとリピーターの活躍が目立つレースでもあります。シャインガーネットの２年連続の好走があっても驚けません」

　３歳時には、中京・芝1400ｍのＧIIIファルコンＳを制しているシャインガーネット。昨年の高松宮記念でも７着とはいえ、勝ったナランフレグにコンマ３秒差と大きく負けていない。得意舞台での一発に期待は膨らむばかりだ。

　はたして、シルクロードＳは今年も"荒れる"のか。ここに名前が挙がった"中京巧者"２頭の走りに注目である。