「働くことの本当の意味とは?」上白石萌音が語る座長・北大路欣也とのエピソード:記憶捜査3

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毎週金曜夜8時からは、北大路欣也主演、金曜8時のドラマ「記憶捜査3~新宿東署事件ファイル~」を放送中! 動画配信サービス「Paravi」では、過去作を一挙配信中だ。

定年間近に起きた事件で怪我を負い、車いす生活となった敏腕刑事・鬼塚一路(北大路欣也)が、人並み外れた詳細な"街の記憶"を武器に、昭和と平成、2つの時代のイメージを呼び起こしながら、令和に起こる難事件を解決する刑事ドラマ。

新宿東署の署長・神啓太郎役を風間俊介、司法係の巡査長として鬼塚の足となり捜査に挑む遠山咲役を上白石萌音が演じ、前作のSPで登場し、今シーズンから新レギュラーとなった、捜査一係巡査長・世条匠役を松島聡(Sexy Zone)が演じる。

「テレ東プラス」は、遠山役を演じる上白石萌音を取材。座長・北大路の現場エピソードから共演者の印象、見どころまで、作品の魅力を思う存分語ってくれた。



人としてたくさんのものを受け取れる刑事ドラマ、人情味と愛にあふれたストーリーになっています

――「記憶捜査」の記者会見を拝見する度に、北大路さんを始めとしたキャストの皆さんの温かくて素敵な雰囲気が伝わってきます。シーズン3を迎え、改めて北大路さんが演じる鬼塚、上白石さんが演じる遠山の魅力をどこに感じていらっしゃるか、お聞かせください。

「鬼塚さんはどんな人に対しても愛を持って切実に向き合う人。その懐の深さが素敵ですし、鬼塚さんが語る言葉には重みがあり、それを北大路さんがおっしゃることでさらに説得力が生まれていると思います。私は、毎回鬼塚さんのセリフを横で聞きながら心の底から感動していますが、ふと鬼塚さんのセリフなのか、北大路さん本当に言っていらっしゃるのか...分からなくなる瞬間があり、共演者の表情は、もはや"ドキュメンタリーなんじゃないか?"と思うくらい(笑)。鬼塚さんという役と北大路さんが出会われたことが奇跡だと思いますし、イチ視聴者としても感謝しています。

私が演じる遠山は、無鉄砲で規定を顧みずに動いてしまいますが、そこが彼女の長所でも短所でもあり、私も演じていてとても楽しいです。遠山は人を心から信じるピュアさがあり、人の痛みや悲しみ、悩みを自分事として捉え、大切に思えるところが素敵ですよね。彼女でしか聞き出すことができない真実もあるので、そういうシーンは特に丁寧に演じていきたいです」


――今シーズンの遠山は、松島さん演じる世条とタッグを組み、捜査に奮闘しています。

「遠山が今までにない壁にぶち当たる大切なシーズンだと思います。これまでは、気持ちが外に向きやすいところがありましたが、今シーズンの彼女は内面と向き合う時間が多くなっています。彼女が積み重ねてきたものや築き上げてきたもの、純粋な人柄や周りの人たちとのつながりが生きてくるシーンも多いので、やりがいを感じています」


――松島さんとのコミカルなシーンも登場します。お2人のコンビネーションはいかがですか?

「私はとてもいい刺激をいただいています。世条と遠山も、互いに切磋琢磨して支え合っていく関係ですし、実際の私たちもそれに近い感じかなと。松島さんご本人も、温かくて清らかな方。松島さんの純粋さに気づきを得ることも多く、お芝居もやりやすくて楽しいです。世条は土壇場で力を発揮するタイプで、男性として守ってくれる強さもあるので、特に先週放送された第1話は、絶対に見返していただきたいです」

―― 一方、神役の風間さんとは長く共演されています。風間さんとの現場エピソードはありますか?

「風間さんは、とにかくずっとしゃべっていらっしゃいます(笑)。どんな話題でも、1聞くと100返ってくるのでその知識量もすごいですし、芝居にかける思いも人一倍熱く、私は心から尊敬しています。今シーズンでは再び同じ署になり、共演させていただく機会も多いのですが、神と遠山のコミカルなシーンを喜んで一緒に作ってくださるので、皆さんにその空気を感じていただけたらうれしいです。遠慮せずにぶつかっていける先輩です」

――ここでいよいよ、座長・北大路さんのお話を...。作品がスタートして間もなく4年になりますが、上白石さんは、北大路さんのどんなところに偉大さを感じますか。

「まず、台本への向き合い方が素晴らしく、誰よりも難解なセリフが多いのに、それを完璧に入れて、一つひとつの言葉の理解の深さがすごいなと毎日感動しています。そして、北大路さんの現場での佇まい。記者会見でも風間さんがお話しされていましたが、至るところで、現場に対する愛情の深さを感じます。北大路さんは、撮影が終わると、スタッフさん1人ひとりに『お疲れ様でした』ではなく、『今日もありがとう』と言葉をかけながら帰っていかれるんですよ。愛情を惜しみなく注いでくださる懐の深さ、そしてすべてに偉大さを感じます」


――そういえば、以前現場にお邪魔した際、見ず知らずの私にまで「君、半袖で寒くないのかい?」と声を掛けてくださったんです。

「わかります! 少し時間が空くとスタッフさんに声をかけていらっしゃるので、私はそれを横で見ているんですけど、やっぱり、北大路さんに話しかけられた方の顔がほころんで、その感じが本当に素敵なんです。北大路さんに話しかけていただいたらうれしいですし、皆さんの緊張もどこかほどけていくような感じがして...。現場での北大路さんのそういった振る舞いが、いろんなものを溶かしてくださるというか、それによってみんなが本来の力を十二分に発揮できるような環境になる。"座長ってこういうことなんだな"というのを間近で拝見しています。

それと同時に毎回驚かされるのは、北大路さんの記憶力です。昔の出来事を鮮明に覚えていらっしゃるのがすごい。『あれは何年の秋、あの場所だった』など、まるで昨日のことのように話してくださるので、鬼塚さんそのもの!と思う瞬間があります(笑)。きっと一つひとつの出会いや出来事、その時に感じたことを大切にしていらっしゃるのだろうなと想像します」

――上白石さんは、以前現場で北大路さんに「君は"働く"という言葉の本当の意味を知ってるか?」と聞かれたことがあるそうですね。

「そうなんです。私が答えに困っていると、北大路さんが『自分が働くことで"傍にいる人たちが楽になる"それが働くことの意味なんだよ』とおっしゃった。私はその時、ものすごく納得しましたし、北大路さんご自身が、それを体現していらっしゃる。素敵な言葉だなと思いました」

――北大路伝説は尽きませんね(笑)。記者会見でも風間さんが話していたように、やはり1冊の本にした方がよいかもしれません。
「記憶捜査」シリーズでは、毎回鬼塚の昭和の記憶が登場します。平成生まれの上白石さんは、昭和に対する憧れなどありますか。

「とても勢いがある時代ですよね。私は昭和歌謡が大好きで、よく聞いていますが、音楽から伝わってくる時代の華やかさ、エネルギーに満ちている感じがとっても好きです。"できることなら生きてみたかったな"とも思います。
私、おそらく昭和が似合う人だと思うんですよ。お芝居の設定でも、昭和時代の方が自分の中でどこかしっくりくるというか(笑)。ただどんなに好きでも、やはり当時の社会情勢まではなかなか知ることができませんし、『記憶捜査』を通して知識も得られるので、役得だなと思います」

――ありがとうございます! 最後にシーズン3の見どころをお願いいたします。

「毎話、痛ましく切ない事件が登場しますが、私は、その後にかけられる鬼塚さんの言葉が本当に好きで、"悪いことをしてはいけないんだな"と思わされます。人としてたくさんのものを受け取れる刑事ドラマ、人情味と愛にあふれたストーリーになっています。私は引き続き、遠山咲として新宿を走り回りたいと思います」

【動画配信サービス「Paravi」 で視聴!上白石萌音おすすめのエピソード!】
「どの作品も思い入れはありますが、中でも2019年2月1日に放送された、シーズン1の第3話は印象に残っています。新宿ゴールデン街で撮影させていただきましたが、実はなかなか撮影許可が下りない場所だと聞きました。ディープなスポットで、寝ている方やお酒を飲んでいる方もいましたが、東京に住んでいる方はもちろん、東京のリアルを知りたいと思っている地方の方にも観ていただきたい回です。
『記憶捜査』は、新宿をくまなく網羅している作品で、映画『君の名は』に登場する須賀神社なども登場します。私も毎回ロケを楽しみにしていますし、新宿ツアーのように楽しめるのもこの作品の魅力のひとつだと思います」

【上白石萌音 プロフィール】
1998年1月27日生まれ。鹿児島県出身。2011年、「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞を受賞し、同年女優デビュー。「恋はつづくよどこまでも」(TBS)、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(NHK)、舞台「千と千尋の神隠し」など、ドラマ、映画、舞台、CMで幅広く活躍。「風景の足跡」(テレビ東京 毎週金曜夜10時54分 ※ナレーター)他、多数出演。

(取材・文/蓮池由美子)

【第2話】


3年前に自らの母・和子(山口果林)を殺したと自首した友川誠(勝村政信)。しかし、誠は遺体のありかも犯行の手口も自白せず「調べてください」と言う。鬼塚(北大路欣也)の推理のもと、啓太郎(風間俊介)、咲(上白石萌音)、世条(松島聡)らが和子について聞き込みを始めると、働いていた食堂では和子は現在入院していることになっており、3年前に突然辞めていたこと、和子には誠とは別に、もう一人の息子・卓(矢柴俊博)がいることがわかる。卓は介護をしていた父が亡くなってから社会復帰ができず、和子とも度々ぶつかっていた。
さらに、誠と卓の兄弟は、母が死亡したあと3年間も年金の不正受給をしていたことも発覚。誠の狙いは一体何なのか?なぜ事件の詳細を語らないのか?
真相が謎に包まれる中、鬼塚は3年前に新宿で起きた「ハクビシン」の大量死を思い出し...。一つの家族と介護を巡る闇が、事件と共に浮かび上がる!?

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