四国IL徳島の日隈モンテル【写真:工藤慶大】

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四国IL徳島の日隈モンテルがドラフト候補に急浮上、兄は日隈ジュリアス

 ドラフト会議まで残りわずかとなる中、ここに来て猛烈なアピールをしている注目候補がいる。元ヤクルト左腕の日隈ジュリアス投手を兄に持つ徳島インディゴソックスの日隈モンテル内野手だ。投手として巨人のトライアウトに合格したこともある22歳は、今年7月に投手から野手に転向。「足はちょっと他の人とは違う」と豪語する脚力で、転向後はいきなり12試合で10盗塁と存在感を見せた。

 もともと最速147キロの右腕で、NPB球団の目にも留まっていた才能。身長186センチ、体重90キロの恵まれた肉体ながら、成長痛や怪我に苦しみ、金光大阪高からクラブチームのOBC高島、独立球団の琉球ブルーオーシャンズと渡り歩いてきた。決して順風満帆でない野球人生に、大きな転機が訪れるかもしれない。

 今季から独立リーグ・四国アイランドリーグplusの徳島に加入すると、体力テストでの“超人ぶり”に誰もが目を疑った。垂直跳びで91.8センチ、背筋力は220キロを記録。ドラフト候補がひしめくチーム内で、断トツの数字だった。「垂直跳びはビックリされましたね。自分でもこんなに跳べるとは思っていなかった。やっぱり周りと違うなと。身体能力は絶対に一番だと思いますね」と自信を深めた。

 身体能力を生かすための外野手転向。6月下旬からの後期シーズンでは、センターとして最初の12試合で10盗塁。一塁到達タイムの最速は、NPBでも5本の指に入る3秒69だ。「巨人のプロテストに受かった時よりも手応えはあります。自分の持ち味がはっきりとわかったので。足はちょっと他の人とは違うなと。これならプロでも絶対に通用する」と縦横無尽に駆け回る。

目標とする選手は日本ハムの新庄剛志監督「ハッスルプレーを見てほしい」

 守備でも自慢の快足を遺憾なく発揮。転向当初はセンターに打球が上がると「モンテル大丈夫か?」と心配されたが、杞憂に終わった。「たいていの打球はもう逸らさない自信があります。ボールが後ろに飛んでもだいたいは追いつくので。送球は難しいですが、どんなランナーでも刺せる肩はあるので、そこをもっと練習したい」と日進月歩で成長する。

 打撃では、最初はなかなか打てずに焦りを覚えた。「プロを目指している人ばかりなので、そう簡単には打たせてくれない」。それでも転向からわずか1か月ほどで迎えた7月30、31日のソフトバンク3軍との2連戦で7打数3安打。「ちょこちょこ打てるようになって、ボールも見えてきた。今のこの段階で、NPBを相手にここまでできるのか」と手応えを掴んできている。

 目標とする選手は、日本ハムの新庄剛志監督。「憧れの選手は新庄さんですね。僕もそういう性格なので、盛り上げられる選手になりたいですね」と目を輝かせる。徳島に加入して1年目ながら、既に「盛り上げ隊長」を自称する。「明るく元気でやってるやっているところ、ハッスルプレーを見てほしいですね」と、試合では誰よりも声を出して球場を盛り上げている。

 後期シーズンでは26試合に出場して打率.247、13盗塁。あまりの速さに警戒され、最後はなかなか盗塁できない試合も続いた。今はソフトバンクの周東佑京内野手のスタートなどを見て勉強する日々だ。「警戒された中でも走るのがやっぱりプロ。そこを練習でもっと突きつめていきたいです」。まだ野手に転向して3か月足らず。走攻守すべてで伸びしろしかない“超人”が、NPBへの扉を開くのか注目だ。(工藤慶大 / Keita Kudo)