男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:上場を控えるバツイチ男が交際相手に選んだ、意外な相手。至って“普通”の女がモテるワケは…




今日で、美里とは三度目のデートだった。気のない人とは三度も会わないだろうし、こんな頻度でデートできるということは、相手の気持ちもだいぶ僕に傾いていると思っていた。

「美里ちゃん、僕と結婚を前提にお付き合いしてほしい」

僕は、38歳で独身。

一度婚約破棄を経験しているものの、未婚のままだった。しかし性格も穏やかなほうだし、経営している会社は売り上げも堅調。

家は千代田区の番町に1億超えのマンションを持っている。結婚しても、2人で住むのには十分過ぎるくらいの広さのマンションだ。

自分で言うのも何だが、僕と交際して結婚まで進めば、悪いところは何もないと思う。専業主婦になってくれてもいいし、お金で困ることは一生ないだろう。

しかしそんな予想を覆すかのように、目の前にいる美里は困った顔をしている。

「将生さんすみません。お気持ちは嬉しいのですが…」

断られるなんて思っていなかったので、僕はどう返答すれば良いのかわからず、恥ずかしくなり思わず下を向いた。


Q1:「姉妹で住んでいる」はどこまで本当なの?


美里と出会ったのは、友人である耀子の紹介だった。

耀子とは新卒時代に同じ外資系のコンサル会社で働いていた。今はそれぞれ独立して別の道を歩いているけれど、サバサバとしていて何でも話せる耀子は今でも仲の良い友人だ。

「将生は結婚しないの?」

ある日、耀子と彼女の夫・太郎さんとホムパをしていると、突然そんなことを言われたのだ。

「今、絶賛婚活中だから。でも東京の女の子って、金目当ての子が多いからなかなか良い子がいなくてさ…」

そう嘆く僕に、耀子が目を輝かせる。

「将生!!私、ひとり良い子知ってるよ」
「本当?誰?」
「最近知り合った若い子。いい子だよ」
「それ、信じてもいいの?」
「もちろん。しかもすごく可愛いし、紹介するね」

この時は、耀子の言葉に対し半信半疑だった。しかし、さすが元同僚。耀子は仕事が早く、この翌週早速セッティングしてくれた。




「美里ちゃん、こちら将生。将生、こちら美里ちゃん。可愛いでしょ?」
「耀子さん、そんな…。全然ですよ」

耀子の圧に若干押されて謙遜ながらも、微笑む美里はたしかに可愛かった。ちょっとぷくっとした唇に、すべすべの白い肌。

しかもまだ28歳だという美里は若いのに落ち着いており、品がある。

「耀子にこんな若くて可愛い後輩がいたなんて…」
「ちょっと、紹介してあげたんだから感謝してよね」

僕と耀子の会話も、美里は静かに見守っている。

「お二人は仲良しなんですね」
「昔からの仲だからね。ところで美里ちゃんは、耀子とは何つながりなの?もしかして港区飲み?」
「まさかまさか。私は独立しようと思っていたときに、仕事関係の人に耀子さんを紹介していただいたんです」
「そうなんだ。何のお仕事をしているの?」
「美容関係の仕事です」

この言葉を聞いて、僕の頭の中でまず二つのことが浮かんだ。




まず、仕事はちゃんとしているとわかった。そして耀子とは飲みの場では出会っていない。しかし普段の生活は、まだわからない。

「最近知り合いの経営者仲間に紹介される子たちが、港区女子みたいな子ばかりでさ…。僕、ちゃんと働いている子しか興味なくて」
「それはそうですよね。当然のことです」
「美里ちゃんは、今はどこに住んでいるの?」
「私は今、芝浦です」
「芝浦アイランド?」
「そうです!」

住所を聞いて、“やっぱりクロかもしれない”という可能性が出てきた。28歳の女の子ひとりで、芝浦アイランドに住むだろうか。

経験上、あそこに住んでいながら「ひとり暮らしです」、もしくは「姉妹で住んでいます」と言う女の子の大半は、彼氏と住んでいる。

「美里ちゃんは、今ひとりで住んでいるの?」
「妹と一緒に住んでいます」

この返答を聞いて、僕は胸がザワつく。

― ちょっと様子見かな…。

そう思い、この日は連絡先を交換して別れた。でもこのままだと何も進まないので、僕は思い切って美里を二人でのデートに誘ってみた。


Q2:女がデート中、男を見ながら思っていたことは?


美里と二人きりで会う場所として選んだのは、高輪台にある看板のない鮨店『鮨 梢』だった。




「芝浦から少し遠かったよね。ごめんね」
「いえいえ!来てみたかったお店なので、嬉しいです」

今日の美里はシフォン素材のようなワンピースだった。そしてアクセサリーもバッグも、わかりやすいブランド物とかではなく、小ぶりでシンプルな物だ。

「美里ちゃんは、普段どの辺りで飲むことが多いの?」
「私は恵比寿が多いかなぁ…。でも広尾や十番あたりにもよくいます!」
「西麻布とかは?」
「お店の場所によっては。基本的に相手次第なので、自分のテリトリーってあまりないんですよね」
「どういう人とデートするの?経営者?」
「え〜全然そこもこだわりないです。むしろ将生さんは?モデルさんとか?」

美里の言葉に、一瞬考える。たしかに、僕の前の彼女はインフルエンサー系のモデルだったから。

「まぁ…そうなるかな」
「さすが…なんで別れちゃったんですか?」

美里のピュアな瞳に見つめられ、本当のことを言ったのほうがいいのかなと思い、僕は素直に別れた理由を話した。

「向こうが浮気していたんだよね。生活とかも全部面倒見ていたのにさ…。だからそれ以来、港区界隈に生息する女の子が本当に苦手で」
「そうだったんですね…。ちなみに、何ていう子ですか?私知っているかなぁ」
「いやいや、美里ちゃんは知らなくていいから!そんな変な港区とかに染まらないで(笑)」
「染まるってそんな」

お互い笑いあった後、僕たちは大葉で巻いた鉄火巻「二鶴巻き」など、楽しく食事を楽しんだ。




そしてこの食事で僕はよくわかったけれど、美里は前の彼女のように港区女子的な玄人でもなさそうだし、純粋に良い子だった。

「美里ちゃんって、いい子だね。見た目とか生活とかから、もっと派手で遊んでいるのかと思ったけど…」
「全然ですよ。地味な生活していますから」
「ちなみに、本田さんとかって繋がってる?この前上場して、最近この界隈でよく飲んでいる人なんだけど…」

ちなみに本田さんとは、港区の有名人だ。彼と繋がっているということは、イコール結構遊んでいるという基準にもなる。

しかし美里は、首をかしげている。

「あ〜。お名前は聞いたことあるような、ないような」
「本田さんってすごい遊び人だからさ。周りの女の子たちも結構繋がっていて。彼の毒牙にかかっていたら、嫌だなぁと思ったんだよね」

― あれ?この子、本当にいい子なのかも。遊んでいないんだな。

そう確信ができた僕は、この後も自分から何度かデートに誘ってみた。

もう少し素性が分かってからちゃんと交際しようと思っていたので、結局「付き合おう」と言えたのは三度目のデートになってしまったけれど…。

しかし、美里の反応的に僕のことを気に入ってくれていたようだし、OKをもらえるに違いないと思っていた。

しかし告白した途端に急に困った顔になる美里を見て、僕は確信した。

― やっぱり、男と住んでいたのかも。

でも心のどこかで、まだ信じたくない自分がいる。

▶前回:上場を控えるバツイチ男が交際相手に選んだ、意外な相手。至って“普通”の女がモテるワケは…

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が男の交際オファーを断った本当の理由