森保一監督(撮影:スエイシナオヨシ/PICSPORT)

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日本代表のヨーロッパ遠征が始まりました。23日のアメリカ戦、27日のエクアドル戦を終えると、いよいよ11月のメンバー発表、そして本大会と続きます。

僕は今、森保一監督にとって重要なことが2つあると思います。戦術ではありません。戦い方は、これから新しい要素を加えるのは難しいでしょうし、これまでやってきたことの精度を上げるほうがいいと思います。

重要なことの1つは「ベンチのモチベート」、もう一つは「決断」です。

今、日本代表はヨーロッパのクラブでレギュラーとして戦っている選手をメインに構成されています。ですがそんな選手たちが日本代表に合流すると常に出られるわけではありません。たとえば鎌田大地や堂安律のようにリーグ戦で活躍している選手が、代表戦ではベンチスタートになる可能性もあります。

そんなときに控え選手のモチベーションが落ちてしまうと、チームに悪影響を与えかねませんし、いざ使おうとしたとき本来のパフォーマンスを発揮してもらえないことになります。チームが1つにまとまることはとても大切で、そうでないと結果が出ないときにバラバラになってしまいます。

ですから監督は先発からは外れている選手たちにもきちんと役割を与え、同じ方向を向かせるなければなりません。僕はそれが監督の仕事の中で最も難しいことの1つだと思います。

特に今回から交代枠が5人になりましたから、たとえ試合開始でピッチに立っていなかったとしても途中出場する可能性は増えていますし、監督は状況に応じて次々に選手を投入しなければなりません。ですからレギュラーを11人ではなくて16人と考えるようにして、選手たちと対話しなければならないと思います。

もう1つの「決断」は、たとえば2010年南アフリカワールドカップのときは岡田武史監督が下したような決断です。岡田監督は大会直前に本田をチームの中心に据え、グループリーグを突破しました。

2018年ロシアワールドカップの前、本田圭佑、香川真司、乾貴士たちはヴァイッド・ハリルホジッチ監督の下で選出されてない時期もあり、出場機会を減らしていました。西野朗監督はそんな選手たちを再び起用する決断を下し、そしてベスト16への道を切り開いたのです。

今回の2試合で様々な課題も出てくるでしょう。それに対応するには厳しい決断、思い切った決断が必要になると思います。はたして森保監督がどのように選手たちにモチベーションを与えるか、そしてどんな決断をするか、じっくり見たいと思います。

(撮影:スエイシナオヨシ/PICSPORT)