厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第16回:インタクト

 2020年に史上8頭目となる3歳牡馬クラシック三冠を達成したコントレイル。令和を迎えて早々に誕生した歴史的な名馬は、その後も奮闘を重ねてGI通算5勝をマークし、昨年現役を引退した。

 その偉大な兄を持つ若駒が、デビューに向けて調整を進めている。栗東トレセンの矢作芳人厩舎に所属するインタクト(牡2歳/父ハーツクライ)である。


三冠馬コントレイルの弟として注目されているインタクト

 兄コントレイルは、2019年9月にデビュー。初陣で鮮やかな勝利を決めると、続くGIII東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)では、後続に5馬身差をつける圧勝劇を演じた。

 その勢いのまま、3戦目にはGIホープフルS(中山・芝2000m)を快勝。3戦全勝で2歳王者に輝いて、翌年のクラシック最有力候補に躍り出た。

 迎えた3歳クラシックでは、下馬評どおりの強さを見せた。一冠目のGI皐月賞(中山・芝2000m)では後方から大外をまくって、最後にライバルのサリオスをとらえて勝利。二冠目のGI日本ダービー(東京・芝2400m)では、直線に入って早々に抜け出し、2着サリオスに3馬身差をつけて完勝した。

 最後の一冠となるGI菊花賞(京都・芝3000m)でも"距離の壁"を克服。アリストテレスとの壮絶な叩き合いを制し、クビ差前に出て戴冠を遂げた。デビューから無傷の7連勝で、2011年のオルフェーヴル以来となる三冠馬となった。

 その後はハイレベルなGI戦において、なかなか結果を残せなかったものの、引退レースとなった4歳秋のGIジャパンC(東京・芝2400m)を制覇。三冠馬にふさわしい走りを見せて、有終の美を飾った。

 そのコントレイルの弟として早くから注目されているのが、インタクト。兄も管理してきた矢作調教師は、同馬についてどう見ているのだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。

「矢作調教師はインタクトについて、『成長は兄よりもゆっくりだと思うが、小さい時に見て"走る"と思った馬。その目には自信があるし、必ず走ってくる』と力強く話していました。

 距離については、コントレイルに比べて『長めがよさそう』とのこと。このあたりは、コントレイルの父ディープインパクトと、インタクトの父ハーツクライとの差ではないかと見ているようです」

 インタクトの調教には、兄コントレイルの主戦だった福永祐一騎手がすでに騎乗。調教後の同騎手の談話を、先述のトラックマンが伝える。

「福永騎手は『(インタクトは)素材がよくて乗りやすい』と評価。コントレイルとはタイプが違って、現状ではまだ動ききれていない部分があるものの、『Cウッドでの初めての調教にしては時計も悪くない』とまずまずの手応えを得た口ぶりで、これからの上昇に期待している様子でした」

 デビューに向けて着々と準備を整えているインタクト。初陣の日程は未定だが、その姿を競馬場で見られる日はそう遠くはないだろう。今後の動向からも目が離せない。