今週からスタートする秋競馬。中京競馬場ではGIスプリンターズS(10月2日/中山・芝1200m)の前哨戦となるGIIセントウルS(9月11日/中京・芝1200m)が行なわれる。

 レースの傾向としては、1番人気が目下6連勝中。過去10年の結果を振り返っても、1番人気が10年連続で連対を果たしており、比較的堅い一戦と言える。

 ただし、時に伏兵の台頭も見られ、3連単ではしばしば好配当が生まれている。2012年には37万8500円、2015年には40万5590円といった高額配当も飛び出している。そうした状況を受けて、中日スポーツの大野英樹記者もこう語る。

「1番人気が6連勝中とはいえ、2年前には12番人気のメイショウグロッケが2着に食い込んだり、2015年には10番人気のアクティブミノルが勝つなど、波乱の要素を含んだ一戦であることは間違いありません」

 そして、今年も"荒れる"可能性は十分にあると大野記者は見ている。

「京都競馬場の改修工事によって、今年も中京競馬場での開催。同じく中京競馬場で行なわれた過去2年は、一昨年がダノンスマッシュ、昨年がレシステンシアと人気、実績ともに上位の馬が結果を残しましたが、はたして今回はどうか。

 今年はここをステップに、スプリンターズSでの戴冠を狙うメイケイエール(牝4歳)、米ブリーダーズカップマイル(11月5日/アメリカ・芝1600m)参戦を視野に入れるソングライン(牝4歳)が中心となりますが、いずれも目標は"次"。力は認めても、シーズン最初の戦いで"綻び"を見せても不思議ではありません」

 では、それら実力馬の間隙を突いて波乱を起こすのはどの馬か。大野記者は超人気薄となる"穴馬"の名前を挙げた。

「爆穴として注目したいのが、タイセイアベニール(牡7歳)です。前走のオープン特別・UHB賞(11着。8月14日/札幌・芝1200m)では、後方でじっくりレースを進めていたものの、直線を向くと前には馬群の壁がズラリ。ひと脚も使うことができませんでした。


セントウルSでの一発が期待されるタイセイアベニール

 まさしく敗因は明確。消化不良の一戦でした。7歳馬とあって、急激な上昇を見込むのは酷かもしれませんが、もともと気難しいタイプ。惨敗したと思えば、激変してくるのがこの馬です」

 2020年春にオープン入りして以降、勝ち鞍はないものの、馬券圏内(3着以内)絡むことは何度かあって、常に勝ち馬から差のない走りを見せている。一昨年のセントウルSでも、勝ったダノンスマッシュからコンマ3秒差の4着と健闘している。

「3走前のGIII函館スプリントS(6月12日/函館・芝1200m)でも、人気薄で3着と奮闘。混戦のなか、内から差し込んでくる勝負根性を見せつけました。再びうまく馬群をさばくことができれば、上位に肉薄するシーンがあっても驚けませんよ」

 大野記者はもう1頭、人気の盲点となりそうな4歳馬に注目する。

「ダディーズビビッド(牡4歳)の一撃に期待したいと思っています。GIII京成杯オータムハンデ(9月11日/中山・芝1600m)との二択で、陣営はどちらにするか最後まで悩んでいた様子ですが、舞台適性を考えてこちらに向かってきました。

 ここ2戦は、ともに中京の舞台で連続2着。勝ちきれませんでしたが、内容的には十分に評価できるものでした。

 2走前のオープン特別・鞍馬S(5月8日/中京・芝1200m)は、8枠16番発走で外を回らされたことが響きました。追い出してからは、上がり33秒0の末脚を駆使して2着。内枠を引いていれば......という内容でした。

 前走のオープン特別・安土城S(5月29日/中京・芝1400m)では、スプリント戦を使ったあとで、折り合い面でやや不安がありました。しかしながら、大崩れなく2着。精神状態の成長が見られました。

 この中間も馬体面は筋肉がはちきれんばかりの状態。およそ3カ月の休養明けですが、今週も栗東のCWできびきびとした動きを見せていて、久々をまったく感じさせません。

 心身ともに成長を感じさせての今回。得意の中京であれば、メイケイエールとソングラインの一騎打ちムードに割って入って、予想以上の激走を遂げてもおかしくありません」

 1番人気が圧倒的な強さを見せているセントウルS。だが、今春のGI、今夏の重賞は1番人気が苦戦している。そうした流れがこの秋も続くようなら、ここに挙げた2頭が思わぬ高配当をもたらしてくれるかもしれない。