守田英正が制したCL日本人対決。長谷部誠がフランクフルトの敗因を分析
フランクフルトにとっては初めてのチャンピオンズリーグ(CL。前身のチャンピオンズカップには出場経験あり)。ホームで迎えた初戦でスポルティングに0−3と敗れ、ほろ苦いスタートとなってしまった。
攻め込んでいた前半にひとつでもゴールが決まっていればまた違った展開になったのかもしれないが、90分を終えた印象でいえば、まったく歯が立たなかったと言っていいだろう。
スポルティングは欧州を代表する強豪とまではいかないが、CL やヨーロッパリーグ(EL)の常連。攻め込まれても慌てず、相手のペースが落ちてくると自分たちの持ち味であるポゼッションを回復させていく。特に後半20分に先制した後は、前がかりになったフランクフルトの裏をつき、突き放した。試合巧者でもあった。
「予想できなかった。とても辛い敗戦だ」と、フランクフルトのオリバー・グラスナー監督。予想以上の衝撃だったことをうかがわせた。
ここ最近のブンデスリーガでの2連勝を受けて、フランクフルトはほぼそのまま、攻撃的な4−2−3−1の布陣でこの一戦に臨んだ。
試合はフランクフルトペースで始まった。「前半はすばらしかった。4回はチャンスがあった」とグラスナー監督は言う。がちゃがちゃと落ち着かない内容ながらも、フランクフルトが主導権を握った。2分には、相手のビルドアップの隙を狙い、高い位置でボールを奪うと最後はランダル・コロ・ムアニがシュート。これは相手GKの高い身体能力に阻まれた。16分には相手GKからのパスをイエスパー・リンドストロームがカット。スルーパスに鎌田大地が反応したが、深い位置からの折り返しはGKに阻まれてしまった。
チャンピオンズリーグの舞台で対戦した守田英正(スポルティング)と鎌田大地(フランクフルト)
ベンチから見ていた長谷部誠は言う。
「相手もかなりボールをつなぐいいチームで、リスクのある組み立てをしてくるんですけど、それを奪った時にチャンスになっていた。それが自分たちの狙い」
その言葉どおり、チャンスを作ること自体はできていた。
「そのチャンスを前半、使いきれなかった。後半もそういう形を狙ってやったんですけど、自分たちのミスであったりとか、0−1になってからは自分たちも少し前に出たところを、カウンターで狙われたりとか。全体的に相手が上手だったかなと思います」
守田は2得点に絡む活躍 その長谷部自身も84分から鎌田に代わって出場したが、「もう試合が決まった0−3になったことで出してもらった」と、苦笑い。ただ、ボランチでプレーして、相手の攻撃の芽を摘みながら的確にボールをさばき、味方を落ち着かせていた。ボランチでの90分の出場は難しくても、もう少し長い時間のプレーを見てみたいと思わせた。
一方、輝いたのはスポルティングの守田英正だった。サンタクララから移籍すると、ポルトガルの強豪ですっかりインサイドハーフ、ボランチに定着した。フランクフルト戦ではより攻撃的にプレーした。
「主に攻守両方ですけど、組む相方によって、自分が6番っぽくプレーしないといけない時もあるし、今日はマヌエル(・ウガルテ)っていう選手と一緒に組んだので、僕はどっちかと言うと攻撃的なことを意識して、の役割でした」
結果的に2得点に絡んだ。65分の先制点は、左サイドからの攻撃で、守田がペナルティエリア左でパスを受けると、マイナスの折り返しを入れる。すると走り込んだマーカス・エドワーズは相手ディフェンダーふたりをかわし、左足でゴール右隅に流し込んだ。
「28番の選手(ペドロ・ゴンサウベス)が外に走ったんで、そこが空くのはわかってましたし、チームの練習でそこに走れというのはあったので、そこはうまく連動できたと思います」と、このシーンを振り返った。
失点直後、フランクフルトはボランチのエリック・エビンベに代えてFWラファエル・ボレを投入。得点を獲りにいくという明確なサインだったが、これが裏目に出た。
前がかりになったところで、スポルティングのGKから始まった攻撃だった。中央で縦パスを通され、フランシスコ・トリンコンからの落としを、守田は左足ダイレクトで前線にスルーパス。これが起点となり、最後はトリンコンが決めた。スポルティングはその後1点を追加し、最終的に0−3で試合を終えた。
フランクフルトは昨季のELでの快進撃もあり、強い意気込みでこのCLに臨んだが、出鼻をくじかれてしまった格好だ。長谷部は「今日は負けてしまったので、とにかく次が大事かな」と、来週行なわれる第2節マルセイユ戦に目を向けた。