同い年の久保建英に刺激もらった細谷真大。五輪に出たい気持ちが芽生え、目標はパリ、そしてその先にW杯も
サッカー日本代表「パリ世代」インタビュー04
細谷真大(柏レイソル/FW)後編
2024年パリオリンピックを目指すU−21日本代表が今年、正式に立ち上げられ、細谷真大はそのメンバーに名を連ねている。
柏レイソルでの活躍が目覚ましいストライカーは、今年行なわれたU−21代表の国際大会でも、勝負どころで高い決定力を発揮。チームに貴重なゴールをもたらしてきた。
Jリーグでは"外国人助っ人"への依存度が高いFWというポジションにあって、20歳前後の日本人選手が活躍することは決して簡単なことではない。それだけに、J1でコンスタントに出場機会を掴み、得点ランキング13位タイ(第28節終了現在)につける細谷の存在は、同世代が集まる代表チームにおいても、実に心強いものとなっている。
◆細谷真大@前編はこちら>>武器の「裏抜け」はオルンガを見て学んだ
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細谷真大(柏レイソル)2001年9月7日生まれ
---- 細谷選手が初めて年代別日本代表に選ばれたのは、2019年7月のU−19代表候補キャンプでした。その時は、どんな気持ちでしたか。
「まず、同じ年代の質の高い選手たちが揃っているなかでやれるということが、うれしかったです。あとは刺激にもなったし、その後につながる機会だったのかなとは思います。
ただ、そこに入って自分がどれだけやれるのかを自分自身も確認したかったんですが、やれているというところまでは、まだその時は感じられませんでした。当時はその先の、来年だったり、再来年だったりというところを目標にやっていましたね」
---- だとすると、結果的にコロナの影響で大会自体が中止になってしまいましたが、2021年U−20ワールドカップ出場も現実的な目標としては......。
「見ていなかったですね。実力的に選ばれるとは思っていなかったですし」
---- とはいえ、昨年のU−23アジアカップ予選以降、常にU−21代表に選ばれるようになりました。代表に対する意識の変化はありますか。
「やっぱりユースの時と比べると、プロになってからは代表というものを意識し始めましたし、選ばれ続けることは今の自分の目標でもあります。レイソルでも、代表でも、しっかりと結果にこだわってやっていきたいと思っています」
---- 同世代のトップレベルの選手とやっても、今はやれている自信がある、と。
「そうですね、はい」
---- U−21代表の大岩剛監督が目指すサッカーをどうとらえていますか。
「自分の印象としては、(柏の)ネルシーニョ監督と似ている部分が多いと思っています。FWにも守備のところは要求されますし、攻撃では裏抜けのところを要求されますし。レイソルでやっていることとあまり変わらないのかなと思います」
---- 今年に入り、3月のドバイカップ、6月のU−23アジアカップと国際大会にも出場しました。
「代表での国際大会は初めての経験だったので、まず自分のプレースタイルがアジアでどこまで通用するのかというのは楽しみでしたし、そういう大会に出られる喜びもありました。(大会前は)楽しみでしたね」
---- 実際にやってみて、手応えはありましたか。
「やっぱり、通用した部分もあれば、通用しなかった部分もしっかりありました。今後、それを意識しながらやっていきたいなと思っています」
---- 通用しなかった部分とは?
「フィジカルのところは、まだアジアの戦いでは足りていなかったのかな、というのは感じましたね。手の長さだったり、足の長さというところは、日本人選手とは違うところがあるので苦労しました」
---- Jリーグでも外国人選手と対戦する機会はあると思いますが、それとは違うものでしたか。
「そうですね。Jリーグは基本、ブラジル人選手が多いと思うので、それとはまた違ったフィジカルでした。
ひとつは慣れっていうのも大事だと思いますけど、そういう相手にどう対応するかというところでは、頭を使うことがカギになってくるのかなと思います」
---- それでもドバイカップでは優勝を決めるゴールを決め、U−23アジアカップではチームトップの2ゴールを記録しています。
「結果を残せたというところは自分自身も評価していますけど、決めきらなければいけないシーンは数多くあったので、そういうところを決めないと、試合が終わったあとでやっぱりモヤモヤしてしまうので......、満足はできていないですね」
---- 年代別とはいえ、日本代表として臨む国際大会は特別なものを感じましたか。
「やっぱりアンダー世代であっても日の丸を背負うというところでは、自分自身もしっかり責任と覚悟を持ってやっていました。絶対に勝つという気持ちを全員で持って、試合に入れたと思います。
でも、それと同時に、練習でも試合でも楽しくやれていたので、大会を通して充実していたのかなと思いますね」
---- U−21代表での活躍もあって、7月のE−1選手権では初めてA代表にも選ばれました。
「小さいころから日本代表(A代表)の試合を見ていたので、僕自身すごくうれしかったですし、親だったり僕以外にも喜んでくれる人がいたので、そういった意味でもうれしかったですね」
---- やはりA代表に選ばれると違いますか。
「そうですね、反響は大きかったです(笑)」
---- ただ、細谷選手が先発出場した第2戦の中国戦はスコアレスドロー。うれしさ半分、悔しさ半分だったのではないですか。
「U−21代表の時に大岩さんが『ここに経験を積みに来たんじゃないぞ』ということをよく言うんですけど、E−1選手権でもしっかり優勝して、自分自身も結果を残すというところを目標にしていました。なので、チームとしてはいい結果が出ましたけど、個人としては決定機を逃してしまったので、責任を感じています」
---- 中国戦ではいくつかシュートチャンスがありましたが、一番悔しさが残っているのはどの場面ですか。
「やっぱり、後半のほうですかね」
---- 53分にいい動き出しからニアサイドに入り、脇坂泰斗選手からのパスを受けてシュートを放ったシーンですね。
「そこにいればボールが入ってくるって思いましたし、トラップがうまくいったので、あとは流し込むだけでしたけど、(シュートが)自分が思っているところではない場所に行ってしまった、という感じでした」
---- あとはシュートだけだった、と。
「自分としては、そうですね」
---- それでも準備期間が短いなか、チーム全体で機能するという点ではうまくプレーできていたのではないですか。
「相手が引いてくる分、難しいところはありましたけど、試合を通してコミュニケーションはとれていました。それについては、うまくいったのかなとは思いますね」
---- だからこそ、スコアレスドローに終わって......。
「悔しかったですね、はい」
---- A代表を初めて経験はしましたが、パリ世代のひとりとして、やはり当面の目標はパリ五輪出場ですか。
「そうですね。やっぱりパリ五輪というところは、その(出場資格のある)世代でもありますし、目標として定まっています」
---- 昨年の東京五輪は見ていましたか。
「はい。自分もオリンピックに出たいという気持ちが出てきましたし、同い年の選手(久保建英/現レアル・ソシエダ)も出ていたので、本当にいい刺激になりました」
---- 大岩監督は、パリ五輪経由でA代表に入るのではなく、A代表に選ばれながらパリ五輪に出るくらいにならなければいけないと、選手に目標を課しています。細谷選手はすでにA代表に選ばれ、パリ五輪も見えてきたのではないですか。
「近づいてきているとは思いますけど、現状、まだ何も決まっていませんし、これから結果を出し続けていかないと、何も見えてこないとも思っています。今も大事ですけど、今後がさらに大事になってくるかなと思います」
---- パリ五輪の先に、ワールドカップも目標として見据えていますか。
「もちろん目標にはしていますけど、そう簡単に行けるところではないとも思っています。日々のリーグ戦などでしっかりと結果を示せるような活躍をしないと見えてこないと思っているので、結果にこだわってやっていきたいですね」
---- サッカー選手として、今後のキャリアをどう描いていますか。
「まずはレイソルでスタメンに定着するというところは目標でもありますし、A代表にも常に選ばれているような選手にはなりたいなと思います」
---- もうすでにレイソルではスタメンに定着しているのではないですか。
「今シーズンはスタメンで出ていた時もあれば、ベンチに座った時もあったので、一定してスタメンで出られるような選手になりたいと思っています」
---- 目標達成に近づいている実感はありますか。
「本当に一歩一歩ですけど......、少しは感じているところです」
【profile】
細谷真大(ほそや・まお)
2001年9月7日生まれ、茨城県牛久市出身。中学時代から柏レイソルのアカデミーで育ち、柏U−18所属時の2019年3月にJリーグデビューを果たす。2020年にトップチームへ昇格し、2021年7月にはJリーグ初ゴールを記録する。昨年はU−21日本代表の一員としてドバイカップU−23、U23アジアカップに出場し、同年7月にはE-1サッカー選手権の中国戦でフル代表デビューを飾った。ポジション=FW。身長177cm、体重69kg。