世界的な半導体不足の影響は電子機器メーカーや自動車メーカーの製品生産に影響を及ぼしており、トヨタが生産ラインを停止したりフォードが自動車の一部機能を制限したりとメーカー・ユーザー共に不利益を被る状況が続いています。そんな中トラック生産大手「ダイムラー・トラック」がトラック用半導体部品の盗難被害を報告しました。

DTNA Combats Theft of CPC Modules | Daimler

https://northamerica.daimlertruck.com/pressdetail/dtna-combats-theft-of-cpc-modules-2022-05-23

Rash of parts thefts is leaving Freightliner trucks inoperable - FreightWaves

https://www.freightwaves.com/news/thefts-of-powertrain-modules-plague-daimler-truck

今回トラック用部品の盗難被害を報告したのはダイムラー・トラックが所有するアメリカの商用車メーカーのダイムラー・トラックス・ノース・アメリカ(DTNA)です。DTNAによると盗難被害に遭っている部品はパワートレインを制御するコモン・パワートレイン・コントローラー(CPC)とのこと。盗難はトラックの駐車中に発生しており、2022年4月にはペンシルベニア州の駐車場で販売前のトラック24台からCPCが盗まれました。他にもディーラーやターミナルでCPCの盗難が発生しているとDTNAは報告しています。



DTNAはCPCの盗難を防止するために以下の対策を講じています。

・CPCが盗難された際に地元の法務執行機関およびDTNAに報告することをユーザーやディーラーに求める

・ユーザーやディーラー、修理店に対してCPCの識別番号をデータベースと照合するように推奨する

・DTNAのサービスシステムで追跡機能を提供し、別の車両に組み込まれる盗難品CPCを検出する

・盗難CPCを確認したディーラーや修理店に対して地元の法務執行機関およびDTNAに報告することを求める

・全てのユーザーにCPCをパスワードで保護するように推奨する

また、DTNAの最高顧客体験責任者であるPaul Romanaggi氏は「CPCの盗難はユーザーの生活を脅かし、ディーラーの業務を混乱させる犯罪です。DNTAはCPCの盗難からユーザーおよびディーラーを守ることに全力を尽くし、窃盗に関与した人物の起訴を支援します」と述べています。

なお、記事作成時点でも半導体不足による自動車産業への影響は続いており、トヨタは2022年6月のグローバル生産台数を10万台削減することを発表しています。また、2022年4月には半導体大手Intelのパット・ゲルシンガーCEOが「半導体不足が解消する時期の予測は、当初の予想である2023年から、2024年までずれ込むと見ています」と発言しており、今後も世界的な半導体不足は続きそうです。

「半導体不足は2024年まで続く」とIntelのCEOが発言、2023年までとの予想から一段と遠のく - GIGAZINE