源田グローブ即転売

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想いが詰まった品を配るのは止めよう!

99%の部分で大変嘆かわしく、1%の部分で思いがけない人気に驚く、そんな話題が持ち上がってまいりました。去る5月5日の子どもの日、ゴールデンウィークなのに客足が伸びないことでおなじみの埼玉西武ライオンズがバラまいた、源田壮亮さん監修のキッズグローブがメルカリ等で転売されているというのです。

こちらは当日来場した小学生以下のキッズたちに配布されたもので、硬式球でプレーする仕様ではないものの、初めての野球を楽しむためには十分な逸品。源田さんのサインもプリントされているなど、「野球を知る楽しさを知ってもらいたい」という源田さんの想いが詰まったプレゼントでした。

その想いが伝わったのか、メルカリでは2000円から4000円程度での売買が成立しており、出品した品物はいずれも買い手がついている状態。「その辺の子どもをひとり連れていけばチケット代を払っても儲けが出た」程度には人気の案件となっていました。値段だけで言えば、アマゾンで軟式グローブを買ったほうが安いですので、プレミアぶんのお金を払っても欲しい人がそれなりにいた模様。そんなに人気なら僕も欲しくなってきます。次回の配布の際には僕もぜひその辺の子どもを誘って野球に行きたいものです!

↓連れて行くのはその辺の赤ん坊でも大丈夫でしょうか!?

↓袋から出されもせずに売られていくグローブたち!


「これは売れそうだから袋から出さない」という判断と、「袋から出して一瞬手にはめたけどやっぱいらねーや」で売る判断と、どっちがマシかは悩みどころ!

まぁ、人気があるのは結構なことです!

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個人的には「転売」という行為にはネガティブな感情があります(※配布品を売るのは厳密には転売ではないが)。正規の入手法ではないという「正義感」から生じる売り手・買い手双方への憤りもありますし、タダでもらった品を売って儲けていることへの売り手への「不快感」もありますし、今回のケースにはあてはまらないかもしれませんが自分がそれを手に入れられなくなることへの「機会損失」を感じるケースもあるでしょう。

それら転売一般に関する否定的な感情に加えて、今回は源田さんの「想いが踏みにじられた」ということへの悪感情も沸いてきます。いつも球団が配っている質の悪いフリースとか、Mサイズだけ配布しないユニフォームとか、揺らすと倒れるボブルヘッド人形なども速攻で売りに出されているのに記事になるほど話題にならないのは、やはり「想い」の差なのかなと感じます。

ただ、そうした「想い」の部分を除けば今回のグローブも何ら話が変わるものではありません。子どもたちへの想いが詰まっていようが、サインがプリントされていようが、所詮は大量生産の工業生産品。「もらったものをどうしようが俺の勝手だ」は現実的にその通りであり、興行チケットのように転売が法的に規制されているわけでもない品を、業としての転売をしているわけでもない人が、不用品として売る行為を妨げられるものではないのです。

「もらったけどやっぱいらない」となったときゴミ箱に捨てるもメルカリで売るも、それはその人次第。「大切にとっておく」を推奨したいところではありますが、相手球団のファンや付き合いで来た人にも区別なく配布している以上、「やっぱいらない」を避けることはできません。ゴミ箱行きにされるのがイヤだったり、転売させたくなければ、売らない・配らないが唯一の道です。

そういう意味では、今回は配布する品にしては想いが詰まり過ぎていたように思います。配れば売る輩が出るのは避けられませんし、これだけ想いが詰まった品なら買い手もつくでしょう。そうした売買の様子を見せられればムムッとなるのもまた当然のこと。配るほうももらう方も「つまらないものですが…」「つまらないものだな…」と納得できる程度のものを配布するようにしないといけないのかなと思います。値がついてしまうほどいい品はちゃんと売ったほうがいいですし、それは「(転売品を)買わない」を徹底させるためにも配る側として意識しておくべきことだろうと思います。

↓球場で配り、Lポイント交換品としても配り、メルカリでもいまだ売れ残っている内海哲也さんのボブルヘッド人形はいい感じだと思います!


ここまでくると「不用なので必要な方にお譲りします」って感じが出てきてますよね!

10年後くらいに欲しい人が出てくるかもしれませんし!



さて、実際問題こうした転売という行為に対してどう対応していくべきか。法律で縛れるとは思えず、メルカリなどプラットフォーマーによる対応もあまり期待はできません。かと言って、球団側が「配らない」という道を採用して販促施策を封じられるのも本末転倒です。プレゼント配布試合はやはり来場者も多いと感じますし、不人気カードへのカンフル剤にもなるでしょう。「配布はするが、転売はされず、ガッカリもさせない」という状態を自然に作っていけるよう、工夫をしていくことが必要だと感じます。

まずひとつは、先にも挙げた「配るものは配られる程度のものにする」ということです。そこだけの希少な品は配らないとか、正規品より格が落ちる品にするであるとか、想いを込めないであるとか、売る側にもメリットがなく、買う側にもメリットがなく、「ついでにもらえるなら嬉しいがわざわざ買うほどではない」という塩梅を探っていくことが必要でしょう。身銭を切っていいものを配ればそりゃあ人気にもなるでしょうが、何事もやり過ぎはよくありません。チケット代より高く売れるグローブなら、グローブを売るほうが正解です。

そして、何を配っても転売されることを念頭に、物理的に転売が難しいプレゼントを考えることも必要でしょう。現代の闇市メルカリであっても何でもかんでも転売できるわけではなく、日持ちのしない食料品であるとか、電子データであるとか、現金・金券類、実体のないサービスなどなど販売できないカテゴリは多数あるわけで、そういうところからあらかじめ配布品を選ぶのも一案です。法的な問題はさておき、入場者に源田選手の想いを込めた2000円札を配布し、「これでグローブでも買ってくれよな」であればメルカリで転売はしないと思うんですよね(※まぁより一層浅ましい事態になりそうな気がするが)。

それから、もうひとつこれから考えることとして、「売らない」「買わない」に加えて「もらわない」という意識も必要であろうと。個人的にも配られたものは何でももらってしまうのですが、正直「いらないな…」と思うことはあります。埼玉西武ライオンズが毎度くれるピンバッジも正直いらないのですが、渡されるものだから受け取ってしまい処分に困っています。誰かにあげるのも面倒だし、捨てるのも気が引けるし、でもいらないし。

不用品であるならば「もらわない」のがお互いのため。どんなに素晴らしい品でもいらない人はいらないのですから、「もらわない」の道も整備していくことが必要だろうと思います。そのとき「配布時に辞退する」というのはそれはそれで気が引けますので、「リサイクルボックス」「返却カウンター」「フリー交換所」などゴミ箱以外の遠回しな名前でそっとお戻しできる場所があるとありがたいなと思います。高打率で返却される配布品があったら、球団としてもいい情報が得られるでしょう。「コレいらねーんだな」と。

そして、もらわないことへのインセンティブがあると、より「もらわない」も促進されるだろうと思います。どんなにいらないグッズでも配布されればもらってしまうのが人情であり、不用品をもらってしまえば捨てるなり売るなりされるのは避けられないこと。そんなとき「もらわない」に対して何かいいことがあれば、積極的にそういう道も選べると思うのです。チケットを買うときに100円安いだけでも選択は違ってきますし、配布される品がユニフォームorポップコーンだったら不用なユニフォームより当日食べるポップコーンを積極的に選ぶ、という選択も生まれると思うのです。損得で動く人間を制御するには、損得で対抗するのが効果的。善意だけですべてが上手くいくなら、世の中はこんなに面倒ではないですからね。

売らない、買わない、もらわない。

という理念だけでなく、

売らせない、買いたくさせない、積極的にもらわないを選ばせる。

を考えていくこと。

SDGsでサステナブルブルな未来を実現するためにも、「もらわせない」まで念頭に置いた施策というのを、世のなか全体で考えていくようにしたいものだなと思います。有り体に言って、今回のグローブは「欲しい人はすごく欲しい」けれど、「いらない人はまったくいらないし置き場にも困る」類のものであったことは現実だと思います。見るのは好きだけど、やりたいわけじゃないのですから、グローブorポップコーンならポップコーン選ぶ子どももいたでしょうね!


なお、こんなに人気のモノを配っても23646人しか入りませんでした!