「ミスター旅客機」はこのモデルでしょうね。

パンナムのNY〜ロンドン線で

「ジャンボ・ジェット」として広く知られ、航空業界を変革したボーイング社のロングセラー機「747」。この機は1970年1月22日に商業運航をスタートしました。


ボーイング747(画像:スカンジナビア航空)。

 747は当時のアメリカ最大手であり、世界屈指のメガ航空会社であるパンナム(パン・アメリカン航空)からの強いオーダーのもと開発が進められました。

 前方のみに装備された特徴的な2階席は、アメリカ空軍の戦略輸送機「CX-HLS」計画でボーイング社が発表した機体デザイン案をベースとし、旅客機としての役目を終えた後も、貨物機として転用可能なよう各種のアレンジが加えられたものとされています。

 商業運航初便ももちろんパンナム便で、ニューヨーク〜ロンドン線へ投入されました。ボーイング社によると、初便の乗客は336人だったそうです。ちなみに当初は就航日を21日に予定していたものの、機体のトラブルにより1日後ろ倒しでのデビューとなりました。

パンナムに続け! 東のジャンボ王国となった日本

 その後ボーイング747はパンナムはもちろん、世界中の航空会社で使用されることとなります。ここ日本でも、1970年7月1日、JAL(日本航空)が羽田〜ホノルル線へ就航させました。

 その後747シリーズは、半世紀以上も生産されるベストセラー機となり、各種改良が加えられた派生型も次々デビューします。とくに航空機関士を乗せない2人乗務制を採用し、主翼端に燃費を良くするための立ち上がった板「ウイングレット」が装着された「ハイテクジャンボ」こと747-400は、700機近い生産機数を記録しています。


パンナム向け747初号機の披露には当時の大統領夫人パット・ニクソン氏も駆けつけた(画像:White House Photo Office)。

 とくに日本は“747大国”といえるかもしれません。JALが「世界で最も747を発注した航空会社」としても知られていたほか、ANA(全日空)も同シリーズ導入。また、短距離で高頻度運航が多い日本の路線事情にあわせた「747SR」「747-400D」といったサブタイプも開発され、2社ともにこれらのタイプを国内線で使用するなど、ユニークな747の使い方をしていました。

 なお747シリーズは2022年、実質的な生産終了を迎える予定です。シリーズ累計での生産機数は1500機超。現在は旅客機での使用機数こそ大きく減ってきてはいるものの、貨物機としては世界中でまだまだ健在です。