なんじゃこりゃ!? エンジン16基&翼が“枠” 超異形の新型航空機、なぜこの形に?
航空機というよりモンスター。枠の中に胴体ある感じです。
「ドア・トゥ・ドア」の移動が可能に?
2019年に設立されたアメリカ・カリファルニア州のCraft Aerospace社が、都市間を結ぶ9人乗り航空機の開発を進めています。同機の外観の特徴としてなにより際立つのが、16基のプロペラ、そして、胴体前部と後部に伸びた翼の翼端がつながり、枠のようになった独特の「ボックスウイング」です。
同機を上から見るとひし形の枠のなかを胴体が貫くような形状となっており、そのルックスは、航空機というよりも、まるでSFアニメのモンスターのようです。
Craft Aerospace社が開発を進める航空機イメージ(画像:Craft Aerospace社公式You Tubeより)。
この機体は、ハイブリッド電気垂直離着陸(VTOL)航空機とされ、最高速度は約550km/h、航続距離は約1609km(1000マイル)で、高度3万フィート(9144m)を巡航できるスペックを持つとのこと。
また、速度こそプライベートジェットには劣るものの、垂直離着陸が可能であることから、空港はもちろんのこと、ヘリポートにも発着できるといいます。同社はこの機を、いわゆる「ドア・トゥ・ドア」の移動ができるものとアピールしています。
そして同機の特徴である「ボックスウイング」は、垂直離着陸のときに大きな効力を発揮します。
「ボックスウイング」、多すぎエンジンの効力とは?
Craft Aerospace社のハイブリッドVTOL機は、翼の後方に「フラップ」とよばれる動翼を備えます。このフラップの使い方が、同機の特徴のひとつです。
多くのVTOL機はプロペラの方向を変えることで垂直離着陸をしますが、この機ではプロペラの方向は変えません。フラップを使ってプロペラの後方へ流れる空気の方向を下方向に変えるのだそう。このことで垂直方向に推力が働くことにより、垂直離着陸が可能になる――という仕組みです。
なお、16基のプロペラは冗長性確保のためとされ、翼の各部分で推力の調整も可能であるとされています。
なお、同機は当初、2022年にプロトタイプの初飛行、2026年に就航と計画されています。現時点でプロトタイプの制作に入ったといった情報はありませんが、もしかすると近いうちに、このユニークの初飛行が見られるかもしれません。