公式は「1974年2月2日」ですが、実はその前に…。

高速地上走行中に

「ファイティング・ファルコン」と呼ばれ4500機以上が生産されたアメリカのジェット戦闘機「F-16」。この公式的な初飛行は1974年2月2日とされています。ただ実はこの機、非公式ながらその直前に“飛んでしまった”ことがあります。


F-16の試作機「YF-16」(画像:ロッキード・マーティン)。

 1974(昭和49)年1月20日にF-16試作機(YF-16)は、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で高速地上走行テストを実施していました。この試験は、135kt(時速約250km)まで加速し走行したのち、停止するというものだったそうです。

 しかし試作機はテスト中にバランスを崩してしまい、大きく横方向に振られながら機首も上下動を繰り返します。試作機のテストパイロット、フィル・オーストリッチャー氏は、このまま走行を続けると機体の破壊につながると判断し、一旦離陸。こうして予期せぬ初飛行が実施されることになったのです。このときの飛行時間は6分だったと記録されています。

 このオーストリッチャー氏の咄嗟の判断により、試作機の破損は回避され、計画されていた2月2日の初飛行も成功しました。その後、コストパフォーマンスに優れた戦闘機として、F-16は世界屈指のベストセラー機にまで成長しています。

【実際の映像】飛んでもうた…!F-16の予期せぬ初飛行(45秒)