自衛隊練習ヘリどうなる? 米ヘリコプター企業エンストロムが破産 会社清算へ
陸上自衛隊では30機を運用中です。
60年以上続いたヘリコプターメーカーが消滅
アメリカの航空機メーカーであるエンストロム・ヘリコプター・コーポレーションは2022年1月20日、事業を終了し会社を閉じると発表しました。
理由は財政難で、破産宣告を出し、1月21日付で会社を清算するといいます。同社のマット・フランクール社長は「社員たちは新型コロナに関するパンデミックと弊社の財政難がありながらも、新造機を送り出し、既存の顧客に対して整備部品や技術サポートを供給し続けています。お客様への献身ぶりに頭が下がります」とコメントしています。
陸上自衛隊のTH-480B練習ヘリコプター。エンストロム社のタービン480Bがベース(柘植優介撮影)。
エンストロムは1959(昭和34)年にアメリカで設立され、おもに単発エンジンを搭載した小型ヘリコプターを設計・生産してきた企業です。2012(平成24)年には中国の重慶通用飛機工業有限公司(CGAG)に買収され、そこの100%子会社となっていました。
昨年、2021年12月にエンストロムは、ペルー空軍向けに製造していたモデル「280FX」2機を納入しており、これが最後の新造機になったとのこと。なお、同社はすでに2022年1月7日以降、部品の新規受注やオーバーホールの提供を停止しているそうで、テクニカルサポートも1月19日で終了しています。
これに伴い「エンストロム」というヘリコプターブランドは終わりを告げるそうですが、同社が開発・製造したモデル「タービン480B」は、陸上自衛隊が練習ヘリコプター「TH-480B」として採用、30機を導入して現在も運用しています。
TH-480Bは全機が完成機による輸入で、正規代理店としてエアロファシリティー(東京都港区)が行いました。なお、同機のエンジンはイギリスのロールス・ロイス製ですが、メーカーが消滅することに伴いサポート体制がどうなるのか、動向が注目されます。