1人暮らしの人が引っ越しをするときに、どのくらいの費用がかかるのか気になる人もいるでしょう。引っ越しは、引っ越し業者や不動産仲介業者に支払う初期費用以外にも、何かと出費がかさみます。今回は、1人暮らしの引っ越しにまつわるさまざまな費用の内訳や、引っ越し費用を節約するコツについて紹介します。

1人暮らしの引っ越しにかかる費用の目安

1人暮らしの引っ越しにかかるだいたいの目安は以下のとおりです。記載した内容は、おおよその目安であるため、荷物の量や地域によっては目安から大きく外れることもあります。

引っ越し業者に払う料金は、荷物の量や距離で決まります。1人暮らしなら荷物量も少ないため、家族がいる場合に比べればコンパクトに安く引っ越しができます。

単身プランや各種の割り引きがある業者を利用すれば、さらに安くなる可能性があるでしょう。ただし、年度の変わり目の3~4月は全国的に引っ越しする人が多く、引っ越し業者は最大の繁忙期を迎えます。その時期は引っ越しの料金相場が通常期の相場よりも高くなります。

厳密な費用を算出するには見積もりが必要

上の表で示した料金相場はあくまでも目安です。実際にかかる引っ越し料金を把握するためには、運ぶ荷物の量や移動距離を提示し、引っ越し業者に見積もりを出してもらう必要があります。見積もりでは、ダンボールのだいたいの個数、家財の大きさや重量、玄関前の道路の道幅、廊下の幅や階段の形状などを確認し、引っ越し料金を決めます。

1人暮らしの場合は荷物がさほど多くないため、格安プランを利用できるかもしれません。コンテナボックスを利用した単身パックや、ミニ引っ越しプランなど、引っ越し業者によってさまざまな料金設定があります。

1人暮らしの引っ越しで費用を節約するポイント

引っ越し業者へ支払う料金は、荷物の量や引っ越しする日によって左右されます。そのため、工夫次第で引っ越し料金を安くすることも可能です。ここでは、どのように引っ越し費用を安くできるか解説します。

荷物を減らす

引っ越し業者の料金は、荷物の量が多いほど高くなります。運ぶ荷物が多ければ、必要な作業人数も増えますし、運搬時間もかかるからです。

そのため、運ぶ荷物を減らせれば、その分引っ越し料金は安くなります。処分する予定の家具や家電があるなら、引っ越し前に処分することがおすすめです。見積もりのときに、どの程度の荷物を減らせば引っ越し費用が安くできるか相談してみるとよいでしょう。

自分で荷物を運ぶ

1人暮らしの荷物量だと、自力での引っ越しは不可能ではありません。ミニバンや軽トラックを借りて、荷物を自分で運搬します。ただし、引っ越し業者に依頼しないのであれば、ダンボールや緩衝材などの準備から自分で行わなければならず、手間は大幅に増えます。

洗濯機や冷蔵庫、家具などを引っ越し先で新たに購入する予定の人は、大きな荷物を運ばずに済むため、自分で荷物を運ぶことも検討してみてはいかがでしょうか。

引っ越し業者は相見積もりをする

引っ越し業者に依頼するなら、複数の業者に見積もりを依頼することがおすすめです。引っ越し費用を節約するためには、見積もり1社だけの即決は避けましょう。

複数社の見積もりがあれば大体の相場が把握できますし、作業内容や対応などから総合的に比較して検討できます。最安値ではない業者であっても、サービス内容や対応がよい場合もあります。

1人暮らしの新生活にかかる費用は引っ越し代だけではない

賃貸物件を借りる場合は、家賃以外にもさまざまな費用がかかるため、ある程度の予算を見込んで計画的に準備しておかなければなりません。ここでは、賃貸物件にかかる一般的な費用について紹介します。

前払いの家賃

賃貸借契約書の内容にもよりますが、基本的に家賃は前払い制のため、入居月の家賃は、前月末までに支払うことになります。月の途中で入居する場合は、日割り家賃と翌月の家賃を契約時に支払う必要があります。いずれ必ず支払うものとはいえ、契約時に一括して支払うことが多いため、その分の費用も用意しておきましょう。

敷金・礼金

賃貸物件の契約には、家賃のほかに敷金や礼金がかかります。敷金とは、物件を退去する際の原状回復費用にあてたり、家賃滞納の際に補填したりするお金です。一般的に、大家さんに入居時に担保として預けておきます。

敷金は、家賃の1~2ヶ月分が相場ですが、ペット可物件の場合は3ヶ月など多めに設定されている物件が多いようです。

敷金不要の物件はお得に感じますが、退去時に原状回復費用やクリーニング代を請求されることがあるため、契約内容を事前によく確認しましょう。

預けた敷金は、退去時に原状回復費用と相殺して、残金を返金してもらえます。修繕などの必要が何もなければ、全額返金されるものです。ただし、契約時に敷金償却について同意を求められる場合もあります。このときは、敷金は戻らない可能性もあります。

礼金とは、大家さんに謝礼金として支払うものです。家賃の1~2ヶ月分が相場で、基本的に返金されることはありません。関西や一部の地域では礼金が相場よりも高い場合があります。

仲介手数料

多くの場合、不動産会社の店頭や賃貸情報サイトなどで借りたい物件を探し、不動産仲介業者を通して入居契約をします。

不動産仲介業者は大家さんと入居者の間に立って、物件の内見の案内や契約締結の事務手続きを行います。複数の不動産を効率的に内見するためには、不動産仲介業者に依頼することが一般的でしょう。

契約が成立すると、入居者は仲介の手数料として、不動産仲介業者に仲介手数料を支払います。法律により、仲介手数料の上限は、家賃の1.1ヶ月分と決められています。

※参考:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」

火災保険

賃貸物件の契約時には火災保険の加入が必要となります。火災保険は、自分の家財を守る家財保険と借家人賠償責任保険がセットになっているものが一般的です。

火災保険料は建物の種別や補償額によって異なりますが、だいたい年間5,000~1万5,000円程度が目安でしょう。賃貸借契約が2年ごとの更新の場合は、火災保険料も2年契約で、2年間分を一括して支払います。

以前の賃貸物件で火災保険に加入していた場合、契約期間がまだ残っていれば、火災保険を流用できる可能性があります。

家賃保証会社への加入料金

過去には、賃貸物件を借りるときに連帯保証人を立てることが一般的でした。しかし、現代では家賃保証会社や賃貸保証会社に保証料を支払えば、連帯保証人は不要とする契約が増えています。

家賃の滞納などに対して、連帯保証人がいても確実に支払うとは限らないため、家賃保証会社への加入を義務付けているケースもあります。家賃保証会社へ支払う保証料は家賃の半額~1ヶ月分程度で、契約時や更新時に支払います。

ただし、保証会社によって、プランや保証内容が異なるため、賃貸契約時に確認しておきましょう。

新生活をおくるために必要なものの費用

これから初めて1人暮らしをする場合は、家具や家電、カーテンや照明器具などが必要です。すべてを新しく買いそろえるのであれば、10~20万円はかかるものと見ておきましょう。

初期にかかる引っ越し費用を節約するためには、必要最低限のものだけ先に購入してほかは少しずつ購入する方法がおすすめです。リサイクルショップやフリマアプリなどを利用すれば、安くよい品物を手に入れられる可能性があります。

近隣住民へのあいさつ費用

場合によっては、引っ越し先の両隣やお向かい、上下階の住人に、手土産を持参して引っ越しのあいさつを行います。手土産は高額過ぎるものだと迷惑になるため、500円~1,000円程度の消耗品やお菓子が無難でしょう。

しかし、単身用のマンションやアパートなどでは、あいさつをしないことが一般的な場合もあります。状況に応じてあいさつをするかどうかを決めましょう。

まとめ

1人暮らしの引っ越しは、荷物の運送料金以外にもさまざまな費用がかかります。新たに1人暮らしを始める場合、家具や家電を買いそろえる必要があるなら、さらに大きな出費が加わります。

引っ越しでは、一度に多額のお金を準備しなければならないため、その後の新生活に影響が出ないよう、なるべく初期費用は抑えたいものです。今回紹介した節約方法を実践して、少しでも引っ越し費用を節約してください。