卓球女子団体戦、悲願の金メダルへ…日本が“世界最強”中国に挑む

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 日本勢の連日のメダルラッシュに盛り上がる東京2020オリンピック。5日は卓球競技の最終種目である団体戦で、女子代表が”世界最強”の中国代表に挑む。初の金メダルを狙う日本と、4連覇を目指す中国。両者一歩も譲れない一戦を前に、この試合の注目ポイントを紹介していく。

卓球団体戦とは?

 ダブルス1試合、シングルス4試合の計5試合で、3試合を先取した方が勝利となる。日本代表のメンバーは石川佳純、平野美宇、伊藤美誠、そしてリザーブの早田ひなの4人。日本代表はこれまで12年のロンドン大会で銀を、16年のリオ大会で銅を獲得しており、3大会連続の表彰台が確定している。
 対する中国はリオ大会の金メダル獲得に貢献した劉詩雯が故障により出場を辞退し、リザーブの王曼碰がメンバー入り。陳夢、孫穎莎の2人とともに日本代表を迎え撃つ。中国は08年の北京大会で団体戦が採用されてから負け無しだが、今回のメンバーは全員が五輪初参加となっている。


◆名実ともに”世界最強”の中国代表

 中国は名実ともに卓球における”世界最強”の国。オリンピックにおいては1988年のソウル大会で卓球が正式採用されてから、金メダルをほぼ独占している。中国が他国に金メダルを許したのは1992年バルセロナ大会の男子シングルス、2004年アテネ大会の男子シングルス、そして2020年東京大会の混合ダブルスの3回のみ。それ以外の金メダルはすべて中国勢の手に渡っている。
 今回の女子代表に選ばれたメンバーの顔ぶれも錚々たるもので、ITTF世界ランキング(2021年8月現在)の1位、2位、4位の選手が揃い踏み。さらに陳夢(世界1位)と孫穎莎(世界2位)は今大会の女子シングルスで金・銀を獲得しており、現在最も勢いに乗っている選手と言っても過言ではないだろう。
 中国の卓球人口は約8000万人とも言われている。日本勢が戦う相手はその過酷な代表争いを勝ち抜いてきたトップ中のトップ。これまでよりもはるかに厳しい戦いが予想される。

◆”大魔王”を擁する黄金世代の日本代表
◯伊藤美誠

 中国代表にはITTF世界ランキング1位、2位、4位が揃っていると述べた。お気づきだろうが、3位に穴が空いている。ここに名前を連ねるのが伊藤美誠だ。2016年のリオ大会でも団体メンバーに選ばれており、日本の銅メダル獲得に貢献した。実力・経験ともに十分な日本代表のエースである。
 伊藤は2018年のスウェーデンOPで中国の主力3選手を次々に倒して優勝し、中国卓球界に大きな衝撃を与えた。そのころから同国メディアにおいて”大魔王”と表現されるようになり、中国勢には脅威として認識されている。今大会の女子シングルスでは準決勝で孫穎莎に敗れたものの銅メダルを獲得。水谷隼とペアを組んで臨んだ混合ダブルスでは中国ペアを破って初の金メダルを手にしている。

◯石川佳純

 世界ランキング9位に入る実力者で、五輪の団体戦は今回が3度目のベテランだ。2012年のロンドン大会では銀メダル、2016年のリオ大会でも銅メダルの獲得に貢献。中国代表と相まみえることなく散った前回大会を経て成長し、今大会では主将としてチームを牽引している。

◯平野美宇

 伊藤美誠、早田ひなともに”黄金世代”の一角を担う存在。17歳で挑戦した2017年のアジア選手権では中国勢を3人連続で倒し、日本女子として21年ぶりの優勝を果たした。これを機に平野は”ハリケーンヒラノ”として世界に名を轟かせることになった。持ち味は「爆発力」で、日本卓球協会の宮崎義仁氏も「爆発すれば伊藤よりも強いと思う」と評価している。

 伊藤、石川は前回のリオ大会の正メンバーであり、平野もリザーブとして入っていた。対する中国代表は全員が五輪団体戦は初出場。経験値でのアドバンテージを活かし、”世界最強”を相手に初めての金メダルを獲りにいく。

◆決勝日程
8月5日(木)19:30〜 卓球女子団体 決勝