アラフィフでも有利に使える資格はたくさんある!(写真はイメージです)

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「給料がなかなか上がらずボーナスも少ない……」「不況とコロナ禍でパートに入れる日が減ってしまった……」など、収入が減少している人が増えている。経済的に不安定な時代を生き抜くための大きな武器となるのが資格だ。

【写真】「認知症介助士」資格を取得した芸能界の資格マニア・西村知美さん

「多種多様な資格がありますが、副業に焦点を当てた場合、アルバイト系、内職系、プチ独立開業系、SNSで稼げる系の4つのカテゴリーに分けることができます」と話すのは、資格コンサルタントの鈴木秀明さん。

新しくできた資格は合格率が高い

 アルバイト系にはドラッグストアでの就労に有利な登録販売者、家電量販店で働ける家電製品アドバイザーなど、内職系には翻訳の資格や賞状のあて名を書く賞状技法士などがある。ヨガインストラクターや占い、DIYアドバイザーなど独立開業系には幅広い選択肢があり、さらに自身のスキルを活かしてSNSやYouTubeなどで収入を得るという方法もある。世の中には数多くの資格があるが、50歳以上でも“稼げる資格”を選ぶポイントを伺った。

「まず挙げられるのは、簿記検定や宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランニング技能士、TOEICといった定番の資格です。こうした資格に関わる業務は時代を問わず求人が多いので、取得しておくと仕事に就きやすいんです。

 狙い目なのは新しくできた資格です。創設されて間もない資格は合格率が高いうえに希少価値があり、仕事に有利に働きます。また、いまの時代は介護、IT、健康に関する分野の求人が多いので、例えば最先端の技術を扱うスマート介護士の資格あたりはおすすめです」

 現在、700以上の資格を保有し、毎年多くの資格試験を受けている鈴木さんだが、コロナ禍による影響を肌で感じているという。

「これまでは会場で実施していた試験をオンラインで受けられるものが多くなりました。ご当地検定などは基本的にはその地域に行かないと受けられないのですが、去年はオンラインで受けられるものが増え、僕自身、名古屋観光検定や徳島県のあわ検定など、各地のご当地検定をここぞとばかりに受けました。今後はオンラインで受けられるケースがさらに増えていくのではないでしょうか」

 資格を取りたいと思ったとき、「もういい年だから、新しく勉強なんてできない……」とおじけづく必要はない。

「例えば国家資格の宅地建物取引士は、戦略的にしっかりと勉強すればゼロからのスタートでも3か月で合格できます。実際、合格者の中には主婦の方も少なからずいらっしゃいます」

 資格を頑張って取得した後には仕事はもちろん、ほかにも多くのメリットを得られる。

資格を通じて友人ができたり、仕事につながる資格で質の高い人脈を築けたりといったコミュニティー効果もありますし、資格取得の過程で勉強したことは学びになります。努力して資格を取得したことで気持ちが前向きになるメンタル的な効果もありますし、広い目で見れば資格は豊かな人生につながっていきます」

 鈴木さんが厳選した週女世代向けの“稼げる資格”を一挙紹介。

専門家がオススメする“お金”につながる資格

※難易度は鈴木さんの評価です。★3つがいちばん難易度が高くなります

スマート介護士(初級) 難易度 ★

●2019年に創設された狙い目の資格

 創設されて2年の新しい民間介護資格。介護ロボットや介護を補助するセンサー機能など最先端の技術を扱えるスマート介護士は介護の質の向上と効率化に役立つ。介護職の経験がなくても誰でも受験が可能で、取得すれば介護業界への就労の足がかりにすることができる。初級、中級の受験級がある。

介護職員初任者研修 難易度 ★★

●求人多数の介護業界で働ける●

 訪問介護を担ってきた「訪問介護員(ホームヘルパー2級)」から名称が変わった介護職の入門資格で、「介護の基本」など130時間のカリキュラムを履修する。介護の際、身体に触れる「身体介護」を行うには介護資格が必須。求人が多い介護業界への就労機会が広がり、上級職位である介護福祉士やケアマネジャーを目指すことも可能。

医療事務(医療事務検定の場合) 難易度 ★★

●医療事務職への可能性が広がる●

 医療事務には多くの種類の資格・検定がある。医療事務の仕事は資格がなくても行えるが、資格があると相応の知識を持っていることの証明となり採用されやすくなる。また、医療事務の中でも診療報酬計算などを担当する際には専門的な知識が求められるため、資格取得が望ましい。

登録販売者 難易度 ★★

●全国的にニーズが高まっている公的資格

 2009年に設けられた国家資格で、薬剤師のいる薬局やドラッグストア、コンビニエンスストアなどで一般用医薬品を販売することができる。2009年の改正薬事法により、 登録販売者がいれば第二類と第三類医薬品を薬局や薬店、ドラッグストア以外の小売店でも販売できるようになったため需要が増えている。

家電製品アドバイザー(AV情報家電、生活家電ともに) 難易度 ★

●家電量販店やヘルプデスクでの勤務に●

 複雑化する家電製品の価値や機能を理解し、消費者のニーズに合うテレビや冷蔵庫といった家電を選んだり、商品の使い方などに関するアドバイスを行うために必要な知識や技能を認定する資格

「AV情報家電」と「生活家電」の2つの試験区分がある。家電量販店で働く際には有利になるといわれ、資格自体の知名度も急上昇中。

福祉住環境コーディネーター検定(3級) 難易度 ★

●福祉、建築、不動産などの業界で役に立つ●

 高齢者や障害者が暮らしやすい住環境を提案したり、福祉関連の用具のアドバイスや関連する施策の情報提供などを行える公的資格。介護老人保健施設や病院などの福祉業界をはじめ、バリアフリー住宅を手がける建築会社やバリアフリー物件を取り扱う不動産会社など仕事の選択肢は広い。受験級は1級から3級まで。

戦略的な勉強で国家資格

※難易度は鈴木さんの評価です。★3つがいちばん難易度が高くなります

簿記検定(日商簿記検定3級) 難易度 ★★

●求人多数の事務職に就きやすい定番資格

 簿記検定には、いくつかの種類があり、代表的なのが日本商工会議所主催の「日商簿記検定」と、全国経理教育協会主催の「簿記能力検定」。いずれも簿記に関する基礎知識、実務、計算の能力を判定するための公的検定試験で、いくつかの受験級に分けられている。取得すれば求人数が多い経理や事務系の仕事に就きやすい。

宅地建物取引士 難易度 ★★★

●不動産業界で高いニーズを誇る国家資格

 宅地や建物の取引を安全かつスムーズに進めるための国家資格。宅地建物取引士資格試験に合格後、宅建士として業務に就く場合は受験した都道府県で登録申請を行い、交付を受けることが必須。宅地建物取引業者は、従業員5人に1人以上の宅地建物取引士を置くことが法律で義務づけられているため、需要が高く人気の資格

ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士(3級) 難易度 ★★

●資産運用に関わる多様な業界で働ける●

 不動産、保険、年金などに関するファイナンシャル・プランニングの知識・技能を認定する国家資格。「ファイナンシャル・プランニング技能検定」の合格者に与えられ、受験級は1級から3級まで。似た民間資格にAFP資格、CFP資格がある。FPの知識が求められる場面は多く、さまざまな業界に活躍の場がある。

スポーツ医学検定(初級) 難易度 ★

●初級はweb検定でいつでも受験できる●

 一般の人を対象にした、身体やスポーツのケガに関する正しい知識を問う検定試験。スポーツ指導者やスポーツメディカルに携わる仕事を目指せるのはもちろん、スポーツ医学に関するYouTubeを開設するという活かし方も。1級、2級、3級、初級の受験級があり、1級〜3級の試験は年2回実施。初級のみweb検定で随時受験可能。

ネットショップ検定(レベル1) 難易度 ★

●就職にもフリーな働き方にも役立つ●

 商品やサービスをインターネット上で売買するEコマース業界での実務能力を証明する資格「ネットショップ実務士」になるための検定試験。資格を武器にEコマース業界に就職したり、ネットショップのサイトを構築したり、自分のネットショップを開いたりとさまざまな道が開ける。

日本化粧品検定(3級) 難易度 ★

●シニア美容系YouTuberという道も●

 美容に興味がある人を対象に、化粧品・美容に関する知識の向上と普及を目指した検定。美容皮膚科学や化粧品の基礎知識など、体系的に専門的な化粧品や美容の知識を学ぶことができる。美容や化粧品に関わる仕事に就くのはもちろん、シニア向けのメイク動画などを発信するYouTuberを目指すという選択肢も。受験級は1級〜3級。

資格・勉強コンサルタント●鈴木秀明(すずき・ひであき)さん●塾や予備校に通わず独学で東京大学理科一類に現役合格。東京大学理学部卒業。東京大学公共政策大学院修了。行政書士、中小企業診断士、気象予報士、宅地建物取引士など700を超える資格をすべて独学で取得。『7日間勉強法』(ダイヤモンド社)など著書多数。

保有資格50個! 西村知美さんに聞く“極意”

 “ひとつの人生でいろいろな経験をしたい”という思いが資格の取得につながっているという西村知美さん。現在、保有している資格の数はなんと50個! 

「取得したい資格を選ぶとき、私の中には3つの基準があります。1つは好きなものや興味のあるもので、例えば温泉ソムリエや温泉健康指導士です。もともと温泉が好きなので勉強がまったく苦にならなかったですし、温泉ロケが多いので仕事にも役立っています」

 2つ目は苦手なことや嫌いなことにチャレンジすること。意外なことに西村さんは料理が苦手なのだそう。

「キムチを総合的に学ぶキムチビルダーや飾り巻き寿司インストラクター1級、ABCブレッドライセンス(パンのインストラクター)など、料理の資格がわりと多いんです。

 キムチビルダーを取得してからは、さきイカやゆで卵などをキムチに漬けておいしくいただいていますし、飾り巻き寿司は娘の運動会のお弁当などで役立っています。ABCブレッドライセンスのおかげで、コロナ禍の自粛期間には娘とパン作りを楽しめました」

 3つ目は、今は必要ではないもののいつか必要になりそうなもの。

「昔は時代劇のお仕事もさせていただいていたので、着物着付けエクセレント2級の資格は取得していてよかったと思っています。介護職員初任者研修は取得するのが大変だったのですが、いつかは必要になる知識や技術を学ぶことができました」

 常に資格へのアンテナを張っている西村さんに、週女読者におすすめの資格をアドバイスしてもらった。

「今、注目されている資格のひとつが調剤薬局事務です。病院があるところには必ず調剤薬局があるので、調剤薬局事務の資格を持っていると全国どこでも働くことができるんです。

 また、介護業界の仕事はこれからますます需要が高まると思うので、介護職員初任者研修のような介護の資格もおすすめです。仕事はもちろん、介護の技術や知識は家庭内でも役に立ちますから、いざというときの安心感にもつながりますね」

PROFILE●西村知美(にしむら・ともみ)さん●1986年、映画『ドン松五郎の生活』の主演でデビュー後、歌手、ドラマ、バラエティー番組などで活躍中。ラジオ日本『加藤裕介の横浜ポップJ』(月曜パートナー)など出演多数

(取材・文/熊谷あづさ)