かまぼこを嫌いな人、あまりいないのではないか。お弁当の中に入っていると、ちょっとうれしかったり......、そんな懐かしい思い出を持つ人もいるかもしれない。

ところで、「力士かまぼこ」ってご存じだろうか。なに、聞いたことない? 

2021年7月13日、次のような写真がツイッターに投稿され、話題となっている。

これが、「力士かまぼこ」だ。えっ、お相撲さんのカタチをした、かまぼこ?

ツイートには「可愛い見た目なのに、すごく攻めたコンセプトでびっくりです」というコメントが添えられている。いったいどんなかまぼこなのだろう?

「changasano」こと、チャン浅野(@changasano)さんが投稿したツイートには、9000件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散中だ(7月15日夕現在)。

Jタウンネット記者は、投稿者のチャン浅野さんと、「力士かまぼこ」の製造元である生地(いくじ)蒲鉾を取材した。

心に巣食う「かまぼこ」とは?

投稿者のチャン浅野さんは、大相撲をテーマに漫画を描いて投稿している。贔屓の力士は、紱勝龍関だという。

「力士かまぼこ」はどういうきっかけで、購入したのだろう。

「力士かまぼこについては、相撲観戦に同行した姉から聞きました。
名古屋場所が開催されている愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)の売店にて購入しました。その場で食べることができる、ちゃんこやきしめんにも、こちらの力士かまぼこが載せられています。
購入日は7月9日ですが、名古屋場所開催中の7月4日〜18 日まで売店で販売されていると思います。
今回は、2年ぶりに名古屋で開催されるということで思い切って足を運びました。声援はダメだったり、動員数を減らす、マスク着用の呼びかけが常にされていたり感染症対策がしっかりされていました。力士かまぼこは今のところこの名古屋場所が初めての販売だと思います」(チャン浅野さん)

チャン浅野さんが「攻めたコンセプト」と呟いたのは、商品のパッケージに書かれた「心に巣食う『かまぼこ』を食べて応援!がんばれ力士!!」というフレーズを見てのこと。

これはどういう意味か、裏面を見るとよくわかる。

相撲用語で「かまぼこ」は、「稽古をさぼっていること、またはさぼっている力士のこと」らしい。壁にもたれかかって休む姿が、板に貼りついたかまぼこのようなので、そう呼ばれているという。

なるほど、さぼってしまう心を、このかまぼこを食べて克服しようということか。

力士かまぼこについてもっと知るため、「生地蒲鉾という会社が製造されているようです」というチャン浅野さんの助言をうけ、Jタウンネット記者は富山県黒部市の生地蒲鉾に取材を申し込んだ。

名古屋場所限定、千秋楽までに完売か?

取材に応じたのは、同社の代表取締役・中陳(なかじん)新平さんだった。

生地蒲鉾の創業は、1927年。黒部の地で、日本海の魚介類と、黒部の名水を生かして、かまぼこ製造を続けている。製品は、富山県内だけでなく、全国に販売されている。

力士かまぼこはいつごろ開発され、発売されたのだろう?

「販売は、今回の名古屋場所が初めてです。1年前ほどでしょうか、販売者様からの依頼があり、数か月前に試作を行い、今回、納品につながりました」(中陳代表)

名古屋場所で力士かまぼこが好評だというが、売れ行きはいかが?

「当初予定ではうどん、ちゃんぽん用に6000個製造して、土産用の3個入りパックを500製造してお引渡しする予定でした。
しかしお土産用の商品が売れ行きが良く、追加追加で結局1000パック製造することになりました。恐らく千秋楽までに完売すると思われます」(中陳代表)
「名古屋場所限定とのお話でしたが、売れ行きとお客様からの評判がいいとのことで、別の場所での販売も視野に入れているそうですし、弊社としてもオンライン販売を検討しております」(中陳代表)

コロナの影響下での動きから一転、製造も発送の方もいっぱいいっぱいで、残業が続く日々だという。まさに嬉しい悲鳴とは、このことだ。

ツイッターなどでも話題になっていることに対しては、次のようにコメントした。

「富山には伝統的にかまぼこに細工を施した、結婚式等でご利用いただく『細工蒲鉾』という食文化があります。今回はその技術を利用して作ったかわいらしいかまぼこです。製造しているときは売れるかどうか心配だったのですが、ツイッターでの評価や弊社インスタでの投稿に対していいねがたくさんついたりしているのを見ると、安心したのと同時に味に関しても好意的な意見も多く、富山のかまぼこ文化というものを広めるのに一役買うことができたのかな、と嬉しく思っています。
ただ小さい会社で、なおかつ1つ1つ手作りでの仕事になりますので、大量生産できない事情もあります。大きなご注文が来ても対応できないこともある点を、ご理解いただければ幸いです」(中陳代表)