国の研究開発機関からの委託費を一部不正に受給していたことが判明、対外信用が悪化していた

(株)エンルート(TDB企業コード:271255435、資本金4億9600万円、旧住所=埼玉県朝霞市北原2-4-23、登記面=東京都港区赤坂1-8-1、代表清算人藤本知哉弁護士)は、6月18日に東京地裁より特別清算開始命令を受けた。

 当社は、2006年(平成18年)10月に当時の代表がラジコンの製造、および販売を目的に設立。その後マルチコプターの開発に進出するようになり、近年ではドローンをはじめとした産業用ロボットの開発、販売に従事していた。高い開発・技術力を武器に、農薬散布用ドローンをはじめ、建設業界で使用される各種測量用ドローン、また、敷地内監視用のドローンなど多岐にわたる製品を開発。機体の開発や製造、販売を主体に保守・修理作業、さらに研究開発の受託や技術者講習などの事業も展開し、2016年9月期には年売上高約6億4800万円を計上していた。

 2016年7月には大手情報通信会社系列の傘下に入り、資本も増強して開発力を高め、販路を広げるなどして業容の拡大を推し進めていた。しかし、当初計画通りに売り上げが伸びず、開発費の先行と人件費をはじめとした各種コストの大幅増加により収益性が悪化。2019年3月期(2017年に決算期を変更)は年売上高が約4億2800万円までダウン、最終損益は4期連続の赤字となる約9億4900万円の大幅欠損を計上し、財務面も債務超過に陥っていた。

 さらに、国の研究開発機関からの委託事業について、2016年度から2019年度にかけて委託費の一部を不正に受給していたことが判明し、対外信用も悪化していた。この間、経営体質の抜本的改善が急務となっていたが、先行きの見通しも立たなくなったことで自力での事業継続を断念。別会社にドローン事業を譲渡したうえで当社は清算することを決め、6月3日に会社を解散していた。

 負債は2020年3月期末時点で約17億7700万円だが、その後変動している可能性もある。