性的なコンテンツが多く投稿されているソーシャルメディアサービス「OnlyFans」は、新型コロナウイルスにより失業した人たちにとってお金を稼ぐための手段の1つとして認知され始めています。しかし、トップユーザーとその他のユーザーの稼ぎは大きく違い、成功を収めるにはかなりの労力が必要だとの指摘もあります。

OnlyFans Isn’t Just Porn ;) - The New York Times

https://www.nytimes.com/2021/05/18/magazine/onlyfans-porn.html

2016年にサービスを開始したOnlyFansでは、クリエイターが写真や動画などのコンテンツを配信することが可能で、その際にはクリエイターが独自で設定した価格で、月額制の「サブスクリプション」とすることができます。OnlyFansのクリエイターは平均して180ドル(約2万円)を稼いでいますが、トップクリエイターの中には月に数百万ドル(数億円)を稼ぐ人物もいるとのこと。OnlyFansのユーザー数は2019年12月時点では700万人でしたが、新型コロナウイルスの影響を受け、2020年8月には5000万人を突破しています。

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OnlyFansでコンテンツの配信を行うクリエイターの1人であるGia氏は毎朝6時に目を覚まし、ファンから届いたメッセージに返信します。金曜日であればその週に配信するコンテンツを撮影し、その他の曜日であればお昼まで机に座り、ビデオの編集・投稿を行います。そして、18時までオンライン状態をキープし、ファンからのメッセージに返信するという生活スタイルを確立しています。Gia氏はOnlyFansを「バーチャルストリップクラブ」と評しながら、今の生活に非常に満足していると語っています。

新型コロナウイルスによりセックスワーカーに多くの失業者が出た後、OnlyFansのクリエイターの数が急増しました。OnlyFansのトップクリエイターたちはもともとInstagramやTwitterなどでファンを獲得していた人が多く、突然の失業によりOnlyFansに参加したクリエイターたちは他のSNSで宣伝を行い、チャンネル登録者を1人ずつ増やしていく必要がありました。OnlyFansはサービス開始以来30億ドル(約3300億円)をクリエイターに還元したと発表していますが、そのうち73%は上位10%のトップクリエイターたちに与えられたとの統計もあります。

しかし、セックスワーカーの人権を保護する団体「Sex Workers Outreach Project(SWOP)」のAshley氏は「OnlyFansはエキサイティングな富の再分配です」と語ります。Ashley氏は「OnlyFansで月に1万ドル(約110万円)以上稼ぐトランスジェンダーの人を10人以上知っています。トランスジェンダーの人がこのような稼ぎを得ることができるサービスを他には知りません」と述べ、OnlyFansが職にあぶれたセックスワーカーたちにとって有益なものであると考えています。



セックスワーカーは現実では犯罪被害に遭いやすく、オンライン上でもSNSから排斥される傾向にあります。Pornhubが未承認ユーザーのコンテンツアップロードを禁止した2020年12月以降、行き場を失ったセックスワーカーはOnlyFansに集い、コンテンツの配信が積極的に行われるようになりました。

しかし、OnlyFansは性的なコンテンツを配信する専用のプラットフォームではなく、検索機能やタグのメニューがないことから「OnlyFansはセックスワーカーの存在を隠したがっている」と主張するセックスワーカーもいます。これに関して、Ashley氏は「OnlyFansがセックスワーカーを隠そうとしているのは正しいですが、これは法的責任を最小限に抑え、サイトを維持するための巧妙な戦術です」と推測しています。



セックスワーカーたちの相互扶助グループである「Whose Corner Is It Anyway」のケイティ・サイモン氏は「機会均等プラットフォームとして知られているOnlyFansの実体は完全に飽和したものです」と述べ、フルタイムの仕事に相当する金額を稼ぐクリエイターたちはほんのわずかであることを改めて主張しています。トップクリエイターの1人であるキンバリー・ケイン氏は「OnlyFansは永遠ではなく、なくなってしまうのは時間の問題です」と語っています。