『MOTHER マザー』の大森立嗣監督(左)と奥平大兼(右)

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 「第75回毎日映画コンクール」の表彰式が17日、めぐろパーシモンホールで行われ、日本映画大賞を受賞した映画『MOTHER マザー』の大森立嗣監督が登壇。「僕の中では大きな賞なので光栄です。先輩たちに追いついたとは思っていないですが、頑張っていけたらと思っております」と感慨深げに語った。授賞式には、同作に出演する奥平大兼が駆けつけたほか、河村光庸プロデューサー、撮影の辻智彦も出席した。

 実話に着想を得た『MOTHER マザー』は、自堕落な母と暮らす17歳の少年が追い詰められ、殺害事件を引き起こすまでを追ったサスペンス。長澤まさみが従来のイメージを覆す母親役に挑戦し、本作がスクリーンデビュー作となった奥平が母親に翻弄される息子を熱演した。

 トロフィーを手にした大森監督は、「なかなか内容的に厳しいものがあるので、河村プロデューサーからも『作品賞はないんじゃないか』と言われていたんですが、僕としては内心ではそんなことないでしょと思っていました」と笑ってみせると、「実際のトロフィーは重たくて、すごく感慨深いです。毎日映画コンクールは、僕が助監督として入っていた『顔』や『赤目四十八瀧心中未遂』が大賞をとっていて。僕の中では大きな賞なので光栄です。先輩たちに追いついたとは思っていないですが、頑張っていけたらと思っております」と決意を新たにした。

 授賞式に駆けつけた奥平は、「僕自身、はじめての現場、はじめての演技だったので、台本を見てもどうしたらいいのかわからなくて。最低限、役づくりも、見た目を役に寄せるとか、その時に感じたことを大切にして出すということをしていたので。でも撮影の時は自分のことで精一杯で、周りのことが見えていなかったかもしれません」と述懐。母親役の長澤については、「役の中だと怖いお母さんという感じですが、カメラが回っていない空き時間ではプライベートなことを話してくださったりとか、親子のような関係を築いてくれました」とコメント。「この作品を通じて演技をする楽しさを知ることができたので、これからもいろんな作品に出て、演技の道を極めていきたいなと思います」と更なる飛躍を誓った。

 1946年に創設された「毎日映画コンクール」は、日本映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的とする映画賞。対象作品は2020年1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された作品(アニメーションおよびドキュメンタリー部門は、同期間に完成もしくは上映された作品)となり、第一線で活躍するジャーナリスト、専門家など約80名が選考に関わり受賞作を選出した。(取材・文:壬生智裕)