雇用形態に関係なく「リモートワーク」は推進できる ――Adecco・執行役員平野氏に聞く「ハイブリッドスタイル」な働き方
ここ数年の“働き方改革”の波と、突如襲った新型コロナウイルスの感染拡大は、否応なしに多くの人の働くスタイルを変えてきた。それは正社員のみならず、派遣社員にとっても同じことだ。コロナ禍を経験して、多くの企業が派遣社員にもリモートワークを取り入れた。裏を返せば、人財を採用する企業側にも柔軟な働き方に対応することが求められている、というわけだ。

「コロナ禍以前は、リモートワークといってもごく限られた職種の人が行っていたに過ぎませんでした。しかしコロナ禍によって、半ば強制的に多くの会社がリモートワークを取り入れたわけです。同じタイミングでこの4月には、大企業を対象に『同一労働同一賃金』の制度が導入されました。職務内容が同じであれば、同じ賃金や処遇を労働者へ支払うことを目指した制度ですが、同制度の導入に伴い、『働く場所』についても派遣社員へ同じ環境を提供するべきと考えて、派遣社員のリモートワークを推進しました。以前から当社では、派遣社員にも柔軟な働き方を取り入れていかねばならないと考えており、そのきっかけのひとつになったのではないでしょうか」

こう話してくれたのは、アデコグループで人財派遣事業と社内の働き方改革を推進している執行役員の平野健二さんだ。平野さんは、コロナ禍でのリモートワークへの転換を経験したことで、そのメリット・デメリットが浮かび上がってきたという。

「例えば、ご家庭を持っている派遣社員の方々にとって、通勤時間がなくなるというメリットは大きいんですよね。家族に向き合う時間を増やすことができる。また、通勤のストレスがなくなったことで本来の業務にフォーカスできるようになったという声もあります」



「派遣社員がリモートワークを行っても、パフォーマンスには大きな違いがなかった」

こうしたリモートワークへの転換によるメリットは、すでに平野さんをはじめとするアデコ社員が感じていたことでもあった。アデコグループでは、平野さん主導のもと、2017年から社内でリモートワークを推進してきたからだ。

結果として、今回のコロナ禍によって派遣社員が強制的にリモートワークへ切り替えたが、多くの取引先企業からは、「派遣社員がリモートワークを行っても、パフォーマンスには大きな違いがなかった」といった声をもらっているという。

「人財派遣の場合、社員の方の働き方は派遣先企業の判断により決まります。リモートワークができないと言われたら、実施は難しい。特に、実施できない要因の一つとしてテレワークに必要なモバイル機器を用意することができない企業が多くあることがわかりました。そこで、アデコではモバイル機器と人財派遣をセットにした『テレワーク派遣』サービスの提供も開始しました。これにより、モバイル機器を調達する手間やコストを最小限に抑え、迅速に切り替えることができます。今では『テレワーク派遣』を利用した派遣先企業から『感染拡大が収束してもリモートワークを取り入れた働き方を続けていきたい』といった声も寄せられています」


アデコでは、就業中の派遣社員のモチベーションを高く保つため専任のキャリアコーチがサポートを行う。こうした十分な支援体制も、リモートワークなどの柔軟な働き方を可能にしている。


しかし、もちろんリモートワークが万能なわけではない。今までは気軽にできた社内コミュニケーションの質・量の低下はリモートワークの課題のひとつだ。自宅で仕事をすることでのオンオフの切り替えの悩みや、育児をしながら仕事をすることの難しさといった問題もある。これらはアデコがリモートワークを導入した際にも浮上した課題と共通している。

「2017年のリモートワーク導入時、正直申し上げて私自身も不安な気持ちがなかったわけではありません。実際にはオンラインツールを活用すれば、業務上のコミュニケーションは問題なく行うことができると分かりましたが、もちろん全てにおいてベストというわけではありませんので、私たちの今までのやり方や考え方を変えていく必要はあります」

「社内コミュニケーション」という課題はあるものの

派遣社員にとっても、派遣先のオフィスで周囲の社員たちとコミュニケーションを取りながら仕事を進められていたが、それがリモートワークでは叶わない。コミュニケーションのスタイルそのものがオンラインとオフラインでは異なるのだ。オンラインに慣れないと、話かけるタイミングが計りにくかったりちょっとした質問も気軽にすることができない人も多い。

「ただ、全体的にみればメリットのほうが大きい。重要なのは、リモートワークに限ることなく、すべての人が人によって異なる柔軟な働き方を主体的に選ぶことのできる環境を作っていくことではないかと思っています。オフィスに行って働きたい人はそうすればいいし、リモートのほうがいいという人はそうすればいい。当社で進めてきたリモートワークでもそれを実感していますし、派遣社員の方にも柔軟な働き方、いわばオンラインとオフラインのハイブリッドスタイルを推進できればいいのではないでしょうか」



派遣社員を含めたすべての人により柔軟な働き方を――。これは、「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。」をビジョンに掲げているアデコグループが力を入れて取り組んでいることのひとつだ。たとえば、派遣社員の地方移住支援や、地方移住希望者に向けた就職支援のサービスも開始している。今後は通勤距離・時間に縛られないリモートワークの強みを活かし、地方在住者に在宅のまま都市部の仕事を紹介したり、地方企業に都心の優秀な人財の在宅での派遣を提案したり、といったことも検討しているという。

「派遣社員の方々がより働きやすいように、たとえば1週間のうち2日だけ出社する、午前は出社で午後リモート、といったハイブリッドの働き方も推進していきたい。そうすることで、今まで働きたくても働くことのできなかった方にも、活躍の場を提供することができるのではないかと思っています」

新たな課題…在宅勤務をする派遣社員を「どうマネジメントする」のか

アデコが目指しているとおりに派遣社員を含めた様々な人へ柔軟な働き方が定着していくと、新たな課題も生まれる。これまではオフィスで目の届く場所で働いていることを前提としたマネジメントだったが、在宅ワークの派遣社員をどのようにマネジメントするのか、という課題が生まれるのだ。平野さんは、「これからはマネージャーには高いマネジメント能力が問われてくる」と話す。

「アウトプットが数字として出せる仕事ばかりではないので、どう評価していくかが求められることになるでしょう。リモートでは、働いている姿を近くで見続けることはできないので、管理者は労働時間の管理ではなく、出てきた成果をいかにして評価していくかという方法に切り替えてマネジメントしていかなければならないと思います」



こうした取り組みは、アデコが以前から推進してきたことのひとつ。それが新型コロナウイルスの感染拡大によって、より実現に近づいた形だ。派遣社員もひとりひとりのスタイルや事情にあわせた、柔軟な働き方ができる時代の到来も近いということか。

「当然、リモートワークを進めるにあたってはデジタルトランスフォーメーションの一層の推進も不可欠ですし、マネジメントや評価の方法も変わってくる。アデコでは2017年以来のリモートワークの経験があることは、同業他社と比較して、この働き方の転換期において大きな強みだと思います。それを生かして、今後は、デジタル化推進やマネジメント、評価方法についても取引先企業をコンサルティングできるようなサービスを提供していきたい。結果的にそれが、働く人がそれぞれの事情に合わせて柔軟な働き方ができる社会づくりのサポートになるはずですから」

――アデコの詳細はこちら

[PR企画: Adecco Group × ライブドアニュース]