また、筋トレの動きは筋肉を縮める「短縮性運動」と筋肉を伸ばす「伸張性運動」に大別されるが、グリコーゲンの消費を促させるのは「伸張性運動」である。

 大腿四頭筋をはじめとする下半身の筋肉をじっくりと伸ばす「ずぼらスクワット」は伸張性運動なので、続けることで自然と「グリコーゲンが消費されやすい体」になっていくのだ。
「ずぼらスクワットを続けると、下半身の筋肉を強化できます。特にお年寄りの方は運動不足や食事量の不足で痩せやすく、75歳以上になると大腿四頭筋の筋肉量は40代に比べて2〜3割も減ってしまうので、筋肉痩せを防ぐためにも、ずぼらスクワットは有効です」(宇佐見先生)

 気になる「ずぼらスクワット」のやり方だが、まずは両腕をまっすぐ前に出し、両足を肩幅よりもやや広げて立つ(ガニ股でもOK)。その後、4秒ほどかけてゆっくり腰を下ろし、ももが床となるべく水平になったところで静止し、その姿勢を2秒間キープする。あとは反動をつけずに、速やかに立ち上がる。

 それぞれの動作をゆっくり行うのがポイントで、呼吸を止めていきむと血圧が急上昇したり、心拍数が速くなってしまうので、呼吸を止めないで行う。また、1回ごとに30秒ほどの休みを入れることで、筋肉にブドウ糖(血糖)を効率よく取り込めるようになる。

★週2回のペースでOK

「ずぼらスクワット」を行う回数は、10回を1セットとした3セットが目安となる。しっかりと時間をかけて、3セットを20分ぐらいで行おう。体力が衰えている人は、これより少ない回数から始めても大丈夫だ。

 また、筋トレをやると筋肉の組織に傷がつくので、「ずぼらスクワット」は毎日行う必要はない。1日やったら休みを1〜2日入れて、週2回ぐらいのペースで行うのが理想的だ。休んでいる間にたんぱく質の再合成が起こり、筋肉の傷が癒えて、より強化される。ぜひ、今日から始めてみよう。

◉健康診断の結果を再確認!「糖尿病」の数値の目安
*チェックする項目 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
*数値 6.5以上 → 糖尿病 5.9以下 → 基準値 5.5以下 → 理想値

◉大きな筋肉を、ゆっくりじっくり動かそう
(1)両腕はまっすぐ前に出して、両足は肩幅よりもやや広げて立つ
ポイント:ガニ股になってもいいので両足の間隔は広くとる。両ひざは必ず、つま先と同じ方向に向けて曲げていく。
(2)4秒ほどかけて、ゆっくり腰を下ろしていく
ポイント:腰を下ろすときに、曲げたひざが足のつま先より前に出ないよう注意する。
(3)ももが床となるべく水平になったところで止めて、2秒間体勢をキープする
ポイント:キープしたあとは、反動をつけずに速やかに立ち上がる。(1)〜(3)を計10回、ゆっくり繰り返して1セットが完了。

◉宇佐見先生の運動療法“ずぼらストレッチ”
やり方
*(1)〜(3)を10回1セットとし、1日3セットが基本。
*1セット内、1回ごとに30秒ほど休みを入れて3セットを計20分ほどかけて行う。
*週2日ほど行えば十分。1日やったら、休みを1〜2日入れるのが理想。

注意点
血圧の急上昇を防ぐため、呼吸を止めないよう意識することが大切。腰を下ろすときに「い〜ち、に〜、さ〜ん、し〜」、下ろした腰を静止するときに「い〜ち、に〜」と声を出してカウントすれば、自然と呼吸しながら行える。

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監修/宇佐見啓治先生
うさみ内科院長。福島県立医科大学卒業後、付属病院第二内科に入局。福島赤十字病院内科勤務を経て、現職。運動療法による糖尿病や肥満、高脂血症などの成人病の治療に力を入れ、その運動や効果が雑誌やテレビ等で反響を呼んでいる。